2018年8月8日水曜日

専門職・指導者層の女性比

 ブロゴスにて,「東京医科大の女性差別入試 主要国最悪の女性差別オンパレードの日本 VS 男女平等が成長の原動力の北欧」という記事が目にとまりました。筆者は,国家公務員一般労働組合の井上伸さんです。
http://blogos.com/article/315924/

 「女性差別オンパレード」という強烈な文言が含まれていますが,そのデータを「これでもか」というくらい提示しています。専門職・指導者層の女性比率の国別ランキングで,その数10個なり。(  )内は,最高と最低の国です。

 ・医師の女性比率(ラトビア74.2% ~ 日本21.0%)★
 ・研究者の女性比率(アイスランド45.6% ~ 日本15.3%)★
 ・高等教育の女性在学率(アメリカ99.6% ~ 日本60.9%)
 ・高等教育教員の女性比率(リトアニア56.1% ~ 日本26.8%)★
 ・国会議員の女性比率(アイスランド47.6% ~ 日本9.3%)★
 ・国家公務員の女性比率(ポーランド69.3% ~ 日本17.6%)★
 ・国家公務員・上級管理職の女性比率(ラトビア54.0% ~ 日本3.1%)
 ・国家公務員・中間管理職の女性比率(ラトビア65.8% ~ 日本3.0%)
 ・上場企業の取締役の女性比率(アイスランド44.0% ~ 韓国2.1%)★
 ・裁判官の女性比率(スロベニア78.0% ~ 日本20.0%)★

 私は,この手のデータをいじりまくっているので驚きもしませんが,初めての人はぐうの音も出ないでしょう。

 これをもって,男女の意志や能力の違いによると解釈する人は,頭がお花畑の人です。女子の入試点数を意図的に減点していた,東京医大の不正からも明らかなこと。

 上記のグラフは,井上氏がOECDの原資料から取ってこられたもので,どれもインパクトがあります。これを10連発ですので,説得力抜群です。紙幅に制限のないブログは,こういうこともできていいですよね。

 ただ紙幅に制限がある場合,それは難しい。依頼原稿の場合,「図表は*個まで」という制限が付されるのもしばしばです。また,結果を一つのグラフの中で一望したい,という欲求もあるでしょう。

 私なら,タテの目盛り上に各国のドットを配置したグラフにします。上記で★をつけた7項目の国別データを,この方式でグラフ化すると,以下のようになります。


 どうでしょう。複数の指標からみた,日本のお寒い状況が一望できます。一つ一つの細かい国名は分かりませんが,自分が注目したい国の位置を俯瞰するには,この図法がいいと思います。

 図には50%のラインを引きましたが,医師の女性比率がこの線を超える国は結構あるじゃありませんか。32か国のうち10か国では,男性より女性の医師が多くなっています。

 家庭の負担が大きい女性が,医師の職務を全うするのは困難。こういう諦めから,東京医大の点数操作を容認する声もあるようですが,現状を甘受していいものか。家庭の負担が大きいなら,それを取り除く(サポートする),ないしは男性も分担すればいいだけのこと。医師の女性比率の国際差は,その度合いの差に他なりません。

 国際比較から,社会を変える余地は多分にあることが知られます。