2019年10月13日日曜日

広島疎開記

 12日に大型の台風19号が関東地方を襲いました。河川沿いで浸水の被害多数と報じられています。被害に遭われた方には,心よりお見舞い申し上げます。

 私は,台風が襲来する11~12日の間,西の広島県に疎開していました。非常食,水,断水時用トイレ等のグッズは揃え,停電対策もぬかりなく行い,自宅で息をひそめて台風が去るのを待とうと思っていたのですが,先日の15号と19号のデカさを比較したニュースをみて,震え上がりました。
https://twitter.com/tmaita77/status/1182309123649503233

 先月9日の午前2時頃に,台風15号が横須賀を直撃したときは,アパートがヨコに揺れました。外に出ようにも出れず,このまま天井が落ちてくるのを待つのかと,非常に怖い思いをしました。これよりもさらにスゴイのがきたら…。いても立ってもいられなくなりました。10日から11日に日付が変わった頃です。

 西に逃れよう。強風圏から外れる岡山以西の宿を探したところ,山陽新幹線の東広島駅前の宿をとれました。11~12日の2泊です。11日のお昼前に生協が届くのを待って,スマホ,貴重品,今書いている本のゲラ,着替えをリュックに詰め込んで出発。新横浜まで出て,東広島までの自由席券を買い,ちょうど滑り込んできた,のぞみの博多行きに飛び乗りました。

 平日の昼間だし座れるだろうと思いましたが,これが甘かった。のぞみの自由席は,16両中3両しかなく,新横浜にきた時点で,立っている乗客が多数。仕方なくデッキの手すりにもたれて,ドアの窓越しに,高速で流れる景色に見入っていました。

 名古屋,京都,新大阪…。降りる乗客は少なく,座ることができません。もう限界だと,岡山でこだまに乗り換えました。こちらはガラガラ。しかし各駅停車で,停まるたびに,のぞみの通過待ちをしますので,結構イライラします。ゆったりできますので,時間のある人にはいいでしょうね。PCを広げて仕事をしているビジネスマンもいました。

 17時40分頃に,目的の東広島駅に到着。広島の一つ手前です。広島入りしたのは,2002年の教育社会学会以来でした。


 台風の強風圏から外れてますので,風はありませんでした。赤い夕空が広がっていたのが印象的です。


 ホテルにチェックインし,岡山まで立ち通しだった足を休めました。夕食は,無料で提供されるカレーライス。近くのセブンで唐揚げ棒を買ってきて,唐揚げカレーにしたら結構美味い。

 ノートパソコンを借りることができなかったので,仕事は断念。11日の夜は,これから来る台風関連のニュースをずっと見ていました。

 いよいよ台風が襲来する12日。テレビでは,朝から関東地方の大変な様子が報じられています。広島は安全ですので,隣の広島市街まで行って観光しようかと思いましたが,風が思いのほか強し。それに,こんな日に遊び惚けるのは不謹慎な気がしたので,宿で過ごすことにしました。

 お金が浮いたので,お昼は,近くの専門店で最高級のお好み焼きとビール。本場の広島のお好み焼きは美味しかった。使われるそばやソースからして違います。

 午後は3時くらいまで昼寝をして,駅で帰りの新幹線の切符(指定席)を買い,夕方からはテレビにくぎ付けです。台風が上陸し,ものすごい豪雨に見舞われている神奈川県の箱根町。横須賀は大丈夫か,自宅のある長井地区は大丈夫かと,スマホで停電状況等もチェックしました。際立った被害があれば,ツイッター上に画像が上がるはずだと,「横須賀 台風」の語で何度も検索をかけましたが,幸いそれは出てきませんでした。

 そうこうしているうちに夜は更け,ぐっすり眠ろうと,缶ビールを3本空け,床につきました。

 翌日の13日。台風が去り,雲一つない青空が広がりました。しかしテレビをつけると,河川氾濫による浸水被害のニュースのオンパレードで,心を痛めました。

 7時45分頃にチェックアウトし,東広島を8時3分に出る新幹線で帰宅開始。福山で東京行きののぞみ号に乗り換え。今度は指定席なんで,ゆっくりできました。新幹線の指定券って520円なんですよね。行きとは全然違う快適さで,窓越しに流れる風景に見入っていました。

 12時14分に新横浜に到着。こちらは,台風一過で気温が上がっていました。横浜線で東神奈川まで行くも,京浜東北線は完全に復旧しておらず,仲木戸駅から京急に乗りました。東神奈川と仲木戸って,すぐ近く,というかほぼつながっているのですね。

 京急もダイヤが大幅に乱れてましたが,普通で横浜まで行き,そこから快特で三崎口まで帰ってこれました。東広島からの所要時間,6時間ジャストです。


 バスでわが町長井まで戻ってきましたが,見渡したところ,目だった傷跡はないようでした。自宅もほぼ無傷。近くのおばさんに「どうでしたか」と尋ねたところ,「こないだと違って,全然大したことなかったよ」という回答。お金と時間を費やした疎開は,空振りでしたが,うれしい空振りです。

 冷蔵庫以外,軒並み外しておいた電気コードをつなぎ,土埃で汚れた玄関,アイホン,表札を拭き,一休み。週末にする予定だった掃除を半分済ませると,もうすっかり夕方。近くの高台から,台風一過の夕日をカメラに収めました。


 ソレイユの丘の観覧車(左下)と,相模湾がお分かりでしょうか。わたしはやっぱりこの地が好きで,帰ってきて落ち着きます。

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 以上,広島への疎開記でした。しかし,台風がくるたびに遠方に疎開していては,お金がもちません。普通は,ヤバいと思ったら地元の学校の体育館等に設けられる避難所に駆け込むのでしょうが,避難所暮らしはどうなのでしょう。とりわけ女性にとっては酷だという話をよく聞きます。
https://twitter.com/mypippichan/status/1183198366546587648

 災害の死亡者(率)は,いつも男性より女性が多いのですが,もしかすると,女性は避難所を忌避しがちであるからか…。トイレは少なく,盗難や性犯罪の被害と背中合わせ。自宅も危険なら,避難所の体育館も同じくらい危険といえるかもしれません。女性にとっては。

 私としても,盗難の被害は怖い。アパートが潰れた時に困るので,貴重品は全部持っていくことになるでしょうが,その管理をどうするか。貴重品を入れた巾着袋は服の中に入れるか,触れたらブザーが鳴る仕掛けにするか…。いろいろ策を凝らさないといけません。

 ツイッターで,災害避難所の国際比較が流れてきたことがありますが,海外では,全然違うのですよね。仕切り,プライバシーの確保…。災害大国の日本が追随する余地,大有りです。

 どんな時も命を守るのが先決。大きな台風がくると分かった時点で,疎開者が安く泊まれる素泊まりの宿が各地でたくさん用意されるといいと思います。災害が予測される土地からは事前に離れる。しごく当然のことです。