2014年8月21日木曜日

生涯未婚率の地域構造のジェンダー差

 わが国では未婚化が加速度的に進んでいますが,その程度を測る指標として,生涯未婚率というものがあります。字のごとく生涯未婚のままにとどまる者の出現率であり,統計上は50歳時点の未婚率とされます。この年齢以降は,結婚する者はほとんどいないであろう,という仮定に立つわけです。

 5歳刻みの統計から計算する場合,40代後半と50代前半の未婚率を均すという便法がとられます。私が住んでいる多摩市の男性でいうと,前者が22.0%,後者が17.2%ですから,この平均をとって生涯未婚率は19.6%となる次第です(2010年,『国勢調査』)。5人に1人が生涯未婚。私もその一人になるかしらん・・・。

 それはさておき,首都圏(1都3県)の男女の生涯未婚率地図をつくってみて,「はて?」という現象を見つけました。今回は,それをご報告しようと思います。

 私は,首都圏243市区町村の男女の生涯未婚率を計算しました。用いたのは,2010年の『国勢調査』のデータです。男女とも大きな地域差がありますが,まずはその分布をみていただきましょう。


 5%刻みのヒストグラムですが。男性は高いほうに,女性は低いほうに多く分布していますね。女性は「5%以上10%未満」の階級が最も多いですが,男性は「20%以上25%未満」が最頻階級(Mode)となっています。よくいわれることですが,生涯未婚率は男子のほうが高いようです。

 さて,243市区町村の生涯未婚率を地図化したのですが,私がつくったのは,率そのものの地図ではありません。各地域の値が全分布のどこに位置するかという,相対水準の指標をマップにしました。男女を同列の基準で比較できるようにするためです。

 採用した指標は,みなさんもよくご存じの偏差値です。全体の中の位置を知るにはこれがベスト。平均値が50,標準偏差が10になるように,それぞれのデータを換算します。それぞれのデータをX,平均値をμ,標準偏差をσとすると,計算式は以下のごとし。

 偏差値=10(X-μ)/σ+50

 多摩市の男性の生涯未婚率を偏差値にしてみましょう。この場合,X=19.6,μ=22.0,σ=3.9ですから,上の式にこれらを代入して,偏差値は43.8となります。全分布の中では「中の下」というところですね。同市の女性は49.8であり,ちょうど中間あたりです。

 首都圏243市区町村の男女の生涯未婚率を偏差値に換算して,地図にすると,下図のようになります。生涯未婚率の相対水準のマップです。45未満,45以上50未満,50以上55未満,55以上の4階級を設けて塗り分けてみました。


 いかがでしょう。男女で模様が違いますね。濃い色(55以上)の分布に着目すると,男性はまばらですが,女性は明らかに都心部に集中しています。大雑把にいうと,男性は農村部で高く,女性は都市部で高いという,逆の傾向すら見受けられます。

 女性の生涯未婚率が都心で高いことについては,都心の物価高によるともいえますが,男性にあっては様相が異なることから,そればかりを強調するわけにもいきますまい。

 先日の日経デュアルにて,「未婚率と年収の関係」という記事を書いたのですが,そこで明らかにしたのは,稼ぎのない男性は結婚できない,女性はその反対という傾向です。こういう個人単位のデータと,今回のマクロな地域データは連動しているような気がします。都心には,バリバリのキャリアウーマンが多いですし。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2945

 生涯未婚率の地域構造が性によって違っていることも,わが国の(偏狭な)ジェンダーを可視化した,一つの素材であるように思います。

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