2014年9月3日水曜日

面グラフによる年収分布図

 誰もが関心を持つ年収分布ですが,官庁統計では,おおむね100万円刻みの分布が示されています。200万円台は何人,300万円台は何人,・・・1500万円以上は何人,というデータです。

 これをグラフ化するとなると,各階級が全体に占める割合(%)を出し,それらをつないだ折れ線を描くのが普通でしょう。これがいわゆる,年収分布曲線です。

 しかし,多くの属性の分布を比較しようという場合,何本もの曲線を描くことになります。たとえば,20~50代の5歳刻みの年収分布を比べる場合,8本の曲線を盛り込むことになり,非常に見づらくなります。グチャグチャです。

 私は,この難点をクリアする技法として,面グラフによる表現を思いつきました。いくつかの事例を見ていただきましょう。まずは,男性有業者の年収分布の変化図です。


 どうでしょう。年齢層ごとの年収分布を上から俯瞰する図法です。「失われた20年」と形容される,90年代以降の変化は結構ドラスティック。年収300万未満の低収入層の比重が明らかに増えています。この記事にあるような,貧困にあえぐ若者は決して少数派ではないことが知られます。

 次にジェンダー差をみてみましょう。2012年の『就業構造基本調査』のデータを使って,正社員男女の年収分布を同じやり方で表現してみました。


 同じ正社員でも,明確すぎるジェンダー差。女性にあっては,働き盛りの層でも半分近くが年収300万円未満です。その分,高収入層の比重が男性に比して少なくなっています。賃金のジェンダー差は嫌というほど指摘されますが,それを端的に示すには,上記の図がベストではないかと思います。

 時代差,性差をみましたが,続いて学歴差の図をご覧に入れましょう。男性正社員について,高卒と大卒の図を並べてみました。


 高収入層を強調しましたが,この層のシェアの違いが明白ですね。社会的地位や富の配分に際して,学歴がモノをいう度合いが高い社会を学歴社会といいますが,わが国は,その純度が高い社会であるといえましょう。海外はもっとかも知れませんが。

 最後に,官民差の図を掲げます。男性正規職員全体と,そのうちの公務員の図を対比したものです。後者の公務員とは,『就業構造基本調査』の産業分類で「公務」に括られる者です。おおむね,官庁や役場に勤めている職員が該当します。警察官や教員などは,該当する産業カテゴリー(保安,教育・・・)に入りますので,ここでいう公務員には含まれません。


 男性の正規職員の比較ですが,公務員は年功賃金の色がはっきり出ています。年齢を上がるにつれて,太い青枠が垂れてきます。しかし,年収1000万以上の最高層は民間のほうが多いようですね。

 他にも,正規・非正規差や地域差など,みていただきたいグラフはありますが,これくらいにしましょう。この図法を使えば,年齢という基本的な条件を考慮に入れた属性比較を明瞭に行うことができます。

 昨日の晩,最初の図をツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログでも紹介しようと考えました。多くの人が関心を抱く年収分布。そのビジュアル化技法の一つの提案であります。

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