2015年3月25日水曜日

理系リテラシーのジェンダー差の国際比較

 OECDの国際学力調査PISAでは,15歳生徒の読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシーを調査しています。日本はおおむね良好な結果をおさめていますが,平均点の性差という点ではどうでしょう。

 OECDの「Family Database」というサイトにて,PISA2012の平均点の男女差をまとめた表がアップされています。下記サイトの「CO3.4」の表です。
http://www.oecd.org/els/family/database.htm

 私は,理系学力のジェンダー差が社会でどう違うかに関心を持ちました。下表は,数学的リテラシーと科学的リテラシーの平均点の男女差を整理したものです。男子の平均点から女子の平均点を差し引いた値です。


 プラスの値,つまり「男子>女子」のケースがほとんどです。日本はそれが顕著で,数学では17.9点,科学では11.0点ものジェンダー差があります。しかし,その逆の社会もあるようで,北欧のフィンランドでは,両科目とも女子が男子を凌駕しています。お隣のスウェーデンもそうです。

 表をみると,数字の絶対値や符号による,さまざまなタイプがあるようです。こうした分布をとらえやすくするため,グラフで視覚化してみましょう。横軸に数学的リテラシー,縦軸に科学的リテラシーの平均点の性差をとった座標上に,35の社会をプロットしてみました。


 右上にあるのは,2科目とも「男子>女子」の社会です。わが国はその程度が大きいので,ルクセンブルクに次いで,極地に近い位置にあります。

 米独仏は,数学は「男子>女子」ですが,科学はその逆なので,右下の象限にあります。北欧の瑞芬は両科目とも女子のほうが高いので左下に位置しています。主要国に注目すると,日韓英,米独仏,瑞芬というような,3つのクラスターに分けられそうです。

 「女子の脳は男子に比して理系向きにできていない」などと言われますが,そうした生物学的性差(sex)よりも,社会的な性差(gender)の影響が大きい,ということでしょうね。女子に対して向けられる役割期待のようなものです。この点については,前に日経デュアル誌にて書きました。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=3428

 時代比較や国際比較は,「今,ここ」という自らの状況を相対視するのにもってこいです。「生まれつきだから,身体の違いだから…」というように諦めていた問題が,実はそうではなく,実践によって解決可能であることに気づかせてくれます。こういう考えのもと,私は日々,タテ・ヨコの比較のデータを集めています。

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