昨日,ツイッターにて,20代の中学校教員の勤務時間を国ごとに比べたグラフを発信したところ,見てくださる方が多いようです。
https://twitter.com/tmaita77/status/754641628669677568
横軸に週間の総勤務時間,縦軸に課外活動指導時間をとった座標上に32か国を配置したグラフですが,これがまあ,日本は「かっ飛んだ」位置にある。勤務時間も長いが,部活指導時間も長い。よくいわれる日本の教員の過労が可視化されていることから,多くの人の関心を引いたのだと思います。
ブログにも載せておこうと思うのですが,全く同じというのは芸がありません。そこで日本については,年齢層別にドットを分けてみます。同じ日本の教員でも,年齢によって勤務時間構造は異なります。おそらく,若手のほうが過重労働を強いられているでしょう。
私は32か国について,中学校教員(フルタイム)の週間の総勤務時間と課外活動指導時間の平均値を計算しました。OECDの「TALIS 2013」に有効回答を寄せた教員の平均値であり,ローデータから独自に計算した次第です。日本は,20代,30代,40代,50代というように,年齢層別に分けて出しました。
http://www.oecd.org/edu/school/talis.htm
では,昨日と同じ形式のグラフにしてみましょう。
日本の教員の長時間労働は昨日見た通りですが,国内でも年齢差があります。予想通り若手ほど勤務時間が長く,下の年齢層ほど国際標準から乖離していきます。
①日本では,50代の年輩教員も,国際標準より多く働いている。②よくいわれるように,若手の過重労働が凄まじい。この2点がファインディングスです。
ちなみに,年齢差が大きいのは,日本の特徴のようです。主要国について,年齢層別のドットを上記と同じマトリクスに配置すると,下図のようになります。
日本は年齢差が大きいですが,フランスやフィンランドは,ほとんどそれがありません。国際的にみた特異性と同時に,国内の年齢差にも注意を払うべきでしょう。大げさに言うと,若手がツブされる事態です。
日本は「年齢」を重視する社会ですが,教員の勤務時間構造にもそれが表れています。