2012年2月9日木曜日

教員養成大学卒業者の進路

昨年の12月27日,国立の教員養成大学の卒業者の進路状況をまとめた資料が,文科省より公表されました。2011年3月卒業者の統計です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/12/1314814.htm

 教員免許の取得を卒業要件としない,いわゆるゼロ免課程の学生は,調査対象から除外されています。上記の資料は,教員免許の取得が必須である,教員養成課程の卒業生の進路をまとめたものです。

 教員養成大学の教員養成課程は,小・中・高校等の教員養成を主たる目的としているわけですが,この目的は,どれほど達成されているのでしょうか。卒業生のうち,教員になった者が何%か,という情報に興味が持たれます。

 まず,教員養成大学の卒業者の進路がどう推移してきたのかを,大雑把にみてみましょう。下の面グラフは,各年3月の卒業生の進路構成を図示したものです。青色は,正規採用という形で教員になった者の比重です。赤色は,臨時的任用という形で教員になった者の比重です。よって,この両者を足した比率が,広義の教員就職率ということになります。


 1980年では,教員就職率は76.7%でした(臨時含む)。卒業生のおよそ8割が教員になっていたわけです。しかも,そのうちのほとんどが正規採用。すごいですね。

 しかし,教員就職率はその後ぐんぐん低下します。80年代後半のバブル期は,民間が絶頂の好景気だったので,そちらに流れたのかもしれません。90年代以降は少子化により,新規採用の抑制が図られたことによると思われます。

 教員就職率のボトムは,1999年の32.3%です。この年の卒業生は,臨時を含めても,全体の3割ほどしか教員に就かなかったことになります。ちなみに,私はこの年の卒業生です。まったくついてない「ロスジェネ」です。

 教員就職率は,今世紀になってから上昇に転じます。退職者の増加により,新規採用が増やされたためでしょう。2011年の卒業生の教員就職率は61.9%です。80年代後半あたりの水準に持ち直しています。ただし,臨時的任用のウェイトが高まっていることに注意が要ります。

 ところで,緑色の「その他」の内訳が気になります。教員以外の職に就いた者や大学院進学者などですが,これらの量も知りたいところです。2011年3月卒業生について,仔細な進路構成のグラフを描いてみました。


 教員以外の進路としては,「その他就職」が最も多いようです。全体の16.7%を占めます。言葉が悪いですが,ペーパー・ティ―チャー確定群です。実数にすると1,752人。毎年これだけ出るとすると,結構な量になりそうです。

 オレンジ色の「その他」は,進路未定者です。教員採用試験の再トライ組が多いと思われます。私の頃(1999年卒業生)では,この輩がさぞ多かったことと思われます。

 次に,個々の大学ごとの状況をみてみましょう。教員就職率が高いのは,どの大学でしょうか。文科省の公表資料から,44の国立教員養成大学のデータを得ることができます。

 教員就職率(臨時含む)の上位5位は,鳴門教育(77.9%),兵庫教育(74.7%),愛知教育(71.8%),京都教育(70.1%),岐阜(69.5%),です。正規の教員就職率の上位5位は,広島(54.9%),鳴門教育(50.4%),愛知教育(48.8%),千葉(48.4%),大阪教育(47.3%),です。

 単科の教員養成大学が健闘しているようです。鳴門教育大学がすごいですね。教員就職率78%,正規の教員就職率50%!。はて,私の母校の東京学芸大学の姿が見えないようですが,この大学はどこら辺に位置しているのかしらん。

 教員就職率の一覧表をベタに掲げるのは芸がないので,各大学の位置が視覚的に分かるような工夫をしましょう。縦軸に正規の教員就職率,横軸に臨時任用の教員就職率をとった座標上に,44の教員養成大学をプロットしてみました。


 点線は,44大学全体の値です。右上に位置する大学は,正規採用率,臨時採用率とも平均水準を凌駕していることになります。正規,臨時ともに多い「多量輩出型」です。その対極の左下のゾーンは,双方とも少ない「少量輩出型」です。左上は正規採用率の高さが目立つ「正規型」,右下は臨時採用率の高さが目立つ「臨時型」といたしましょう。

 図の斜線は,正規採用率と臨時採用率の均等線です。この斜線より下に位置する場合,前者よりも後者が高いことを意味します。

 さて,わが母校の東京学芸大学はどこかをみると,奇しくも,ど真ん中に位置しています。臨時採用率(25.6%),正規採用率(36.4%)とも,全体の値とほぼ同じです。学芸大は教員養成大学では最も伝統ある大学ですが,やはり全体の縮図であるのだなあ。

 大学院修士課程の母校の鹿児島大学は,少量輩出型。地方では教員採用試験の競争率が高い,という条件もあるのでしょう。

 図の上方の正規型や多量輩出型には,先ほど紹介した教員養成の単科大学が多く名を連ねています。正規の広島,多量の鳴門教育が注目されます。鳴門教育大学のホームページをみると,学生の就職支援行事として,採用試験対策など,いろいろなことをやっているようです。この種の取組が効をなした結果ともいえるでしょう。
http://www.naruto-u.ac.jp/career/01/001.html

 おっといけない。予備校関係者のような文章になってきました。この辺りで筆を置きます。

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