2012年4月28日土曜日

鹿児島県の小学校教員の離職率(性別・年齢層別)

前々回の記事では,2009年度間の小学校教員の離職率を都道府県別に明らかにしました。その結果,離職率は,最高の38.1‰(鹿児島)から最低の3.3‰(沖縄)まで,大きな開きがあることが分かりました。

 離職率が最も高い鹿児島は,私の郷里です。この県で何が起きているのか気になります。県教委の関係者に取材をするのも一つの手ですが,マクロな統計から引き出せる知見はもっとあります。もう少し詰めてみましょう。

 私は,鹿児島県の小学校教員の離職率を属性別に出してみました。離職率が高いのは男性か女性か,若年層か高齢層か・・・。医学にたとえると,病巣を突き止める作業です。社会病理学の立場から,鹿児島県の教員「社会」の病状を診断してみようと思います。*言葉が悪くてすみません。

 前々回のおさらいですが,ここでいう離職率という指標について説明しておきます。分子の離職者数は,2009年度間の数値で,出所は文科省『学校教員統計調査』(2010年版)です。この資料では,理由別の離職者数が計上されています。設けられている理由カテゴリーは,①定年,②病気,③死亡,④転職,⑤大学等入学,⑥家庭の事情,⑦職務上の問題,⑧その他,です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001016172

 私が分子に充てたのは,これらのうち②,⑥,⑦,⑧の理由による離職者数です。これらの合算値は,各種の危機や困難(不適応)によって教壇を去った教員の量の近似値と考えられます。この数を,2009年5月1日時点の本務教員数で除して,千人あたりの離職率を計算しました。分母の本務教員数の出所は,2009年版の文科省『学校基本調査』です。

 なお,年齢層別の離職率を出す際に分母として使った本務教員数は,2010年の『学校教員統計調査』に掲載されている,2010年10月1日時点のものです。年齢層別の教員数は,『学校教員統計調査』の実施年のものしか分かりませんので,このような措置を取ったことをお許しください。

 では,性別・年齢層別の離職率の計算結果をお見せします。鹿児島県の特徴を検出するため,全国統計との比較も行います。下表をご覧ください。


 性別でみると,鹿児島の場合,男女の差が大きくなっています。男性は17.4‰,女性は56.3‰です。56.3‰を百分比にすると5.6%ですから,当県では,女性教員の18人に1人が,定年や転職といったメジャーな理由とは別の理由で職を辞したことになります。

 それ故,全国水準との差は女性で大きくなっています。鹿児島の女性教員の離職率は,全国のそれの4倍以上です。

 次に,年齢層別の離職率をみてみましょう。どの年齢層も,鹿児島の離職率は全国を上回っているのですが,とりわけ20代の離職率が格段に高くなっています。169.1‰ということは16.9%,すなわち6人に1人が,定年や転職とは異なる理由で教壇を去ったことになります。本当かと思い,何度も原資料を見直しましたが,分子の離職者数は137人となります。年次がズレますが,分母の本務教員数は810人です。よって離職率は,137/810≒169.1‰(16.9%)となる次第です。

 2009年度に限って,何か突発的な事情でもあったのでしょうか。この年度において,当県で大量の懲戒・分限免職者が出たという記録はありません。(文科省の「平成21年度・教育職員に係る懲戒処分の状況について」)。私立小学校における大量リストラでしょうか。しかるに,2009年から2010年にかけて,当県の私立小学校の教員数に大きな変化はありません。そもそも,鹿児島では私立小学校はごくわずかです(3校)。

 最近では,教員を民間企業や福祉施設などに派遣する,「長期社会体験研修」を実施している自治体もあるようですが,それでしょうか。長期にわたる研修のため,いったん籍を外して(辞めさせて)派遣する??。これも考えにくいですねえ。

 あと一つ考えられるのは,産休代替講師などの講師の離職です。文科省の統計では,正規の教員と同じ勤務をする常勤講師は,本務教員としてカウントされています。ですが,鹿児島県において,2009年度間に離職した20代の講師は皆無です。

 考えられ得る可能性を潰してきましたが,20代の教員の6人に1人が辞める状況って一体・・・。

 鹿児島の小学校教員の離職率を高らしめている層は,女性,若年層であることが分かりました。既存統計で詰めることができるのはここまでです。この結果を携えて,県教委の関係者の方に取材を申し込んでみようかと。おそらく歓迎はされないでしょうが・・・。

1 件のコメント:

  1. 突然の投稿失礼いたします。いつもブログのほうを拝見させていただいております。

    私は2012年に東京海洋大学を卒業し、現在鹿児島の大学で高校教員を志して勉強しているものです。私は東京海洋大学で鹿児島の離島に関する卒業論文として勉強しておりました。また私の両親は鹿児島県の教師であり、両親の話、卒業研究から若手の教員の高い離職率について一つの理由にたどり着きました。

    そこでぜひ、先生に私の持論について提示させていただきたく投稿しました。恐縮ですが、もしよろしければkaminin_h@yahoo.co.jpのほうにメールをしていただけませんでしょうか。

    返信削除