2015年10月11日日曜日

父母ともパートでいい

 ISSPの第4回「家族とジェンダー役割に関する調査」のローデータ分析にのめり込んでいます。興味深い設問が満載。

 Q11aにて,「子どもが学校に上がるまでの間は,父母はどういう選択をするのが最も望ましいか?」と尋ねています。主要国の回答を集計したところ,「ほう」というグラフになりましたので,ここに掲げようと思います。


 18歳以上の国民の意見分布ですが,予想通りといいますか,「父フルタイム就業&母主婦」ないしは「父フルタイム就業&母パート就業」という回答が幅を利かせています。

 しかしスウェーデンだけは,「父母ともパート就業」という回答(紫色)が最も多くなっています。発想が違いますねえ。

 われわれの感覚だと,「幼子がいるからって,何で女性が家庭に押し込められないといけないのだ。彼女らもフルタイムで働けるようにしよう」となるのですが,この北欧国では「手のかかる子がいるというのに,何で男性がガツガツ働かないといけないのか。子が学校に上がるまでは,父母ともパートでいいではないか」となるのでしょう。

 女性が男性にキャッチアップするのではなく,ベクトルが逆なわけです。

 煩瑣になるので主要7国の帯グラフしか載せませんが,アイスランド,ノルウェー,スイスでも,「父母ともパート就業にすべし」という回答が相対的におおくなっています(2割超)。

 女性の社会進出ばかりでなく,男性の「家庭進出」も促されないといけません。後者の進展が前者の条件になるのですから。

 自分たちが慣れ親しんでいる常識が相対視される。だから国際比較は面白い。やめられません。