2017年3月13日月曜日

自動車学校の苦境

 18歳人口の減少で大学は苦境に立たされていますが,同じく若者を顧客とする自動車学校も大変みたいです。何とか生徒を呼び込もうと,食堂を食べ放題にしたり,カラオケなどのアミューズメント施設を設けたりする教習所もあるとのこと。

 自動車学校は,学校教育法でいう各種学校に該当し,入学者数の長期推移を文科省『学校基本調査』にて知ることができます。私は,同資料のバックナンバーに当たって,1980年から2016年までの変化を跡付けてみました。ついでに,同じく各種学校に分類される予備校の入学者数の推移も明らかにしてみました。

 以下に,数値の表を掲げます。需要層とは,これらの学校の主な顧客である15~24歳人口のことです。


 自動車学校の入学者は,1980年では4万6千人ほどでしたが,2016年現在では1万600人ほどに減っています。この36年間で,およそ4分の1に減ってしまいました。予備校は減少のスピードがもっと速く,9分の1にまで減っています。

 少子化により若年人口が減っているためでしょうが,需要層に占める入学者の比も,低下の一途をたどっています(右欄)。若者のクルマ離れ,予備校離れもあるでしょうね。下のグラフをみても,これらの学校の入学者減少のスピードは,需要層のそれよりも速くなっています。


 若年層だけを顧客に据えているようでは,今後は生き残りは難しいでしょう。最近は,大学受験の予備校が公務員試験予備校に鞍替えするなど,柔軟な措置がとられているようですが。

 自動車学校も,高齢ドライバーの再教習の機能に力点を置くべきではないでしょうか。現在の形式的な免許更新制を改め,70歳になったら免許を取り上げ,希望者はもう一度取得してもらうと。

 昨日,新居の近くを自転車で走っていたら,自動車に接触され転倒しました。原因は相手の前方不注意。幸いケガはなく物損事故という記録になりましたが,一歩間違えば惨事になっていたところです。

 事故処理をしてもらった警察官がいうには,「東京と違って,この辺りは高齢ドライバーが多いので,自動車を見かけたら,止まってくれるとは思わないほうがいい」とのこと。平たく言えば,「ブレーキがついていると思うな」ってことです。

 上述のように,70歳になったら「一から取り直し」の制度にすれば,免許返納以上の効果が得られると思うのですが,どうですかねえ。むろん多大な労力がかかりますが,若年の顧客が減って困っている自動車学校の協力を仰ぐということで。

 少子高齢化が進む日本では,教育の顧客もチェンジしないといけないでしょう。昨日,ちょっとした交通事故に遭って,こういうことを思いました。