2017年3月4日土曜日

私立のいじめ

 まずは,2つの統計的事実を見ていただきましょう。1)は,2015年度の文科省『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』によります。

 2)は,同じく2015年度の文科省『全国学力・学習状況調査』によります。いじめ容認率とは,「いじめはどんな理由があってもいけないと思う」という項目に,「どちらかといえば当てはまらない」ないしは「当てはまらない」と答えた生徒の比率です。

1)中学校の生徒千人あたりのいじめ認知件数
 公立:17.9件 > 国立:14.1件 > 私立:8.4件
2)中学校3年生のいじめ容認率
 公立:6.2% < 国立:8.0% < 私立:9.1%

 中学校のいじめの統計ですが,生徒千人あたりの認知件数(発生率)は,公立,国立,私立の順に高くなっています。「わが子がいじめに遭わないように」と,中学受験をさせる親御さんも多いと聞きますが,このデータをみると,さもありなんです。

 しかし,いじめの容認率をみると順位は逆になっていて,私立で最も高くなっています。

 私立中学では,いじめを容認する生徒の率が高いにもかかわらず,統計上拾われているいじめの件数は少ない。この2つのファクトからうかがわれるのは,私立ではいじめの暗数が多い,ということです。

 いじめ容認率を生徒数に乗じて,いじめを容認する生徒の推定数を出し,統計に表れているいじめの認知件数と照合してみましょう。下表をご覧ください。


 いじめを容認する生徒数(c)は,実際に起きたいじめの数の測度(measure)になるかと思いますが,公立校のいじめ認知件数(d)は,このうちの28.8%,およそ3割に該当します。砕いて言うと,いじめの真数のおよそ3割が把握された,ということです。

 私立では,この値はたった9.2%。いじめの真数の1割も拾われていないと。まあ私立は,学校の評判もありますので,いじめの摘発に熱心でないのは頷けます。

 よく引き合いに出される,認知件数の統計をそのまま読むだけでは,事態を見誤るというものでしょう。「わが子がいじめに遭わないように」という願いでの中学受験は,理に適ったものなのか…。

 しかし,私立でいじめの容認率が最も高いのはどういうことでしょう。幼少期から塾通いをし,競争的な環境に晒されることで,他人を蹴落とすメンタリティが植え付けられてしまうのでしょうか。

 私なりに思うところはありますが,偏見をぶちまけるのは止めにしておきましょう。公立と私立のいじめ比較のデータとして,上記の数値を提示しておきたいと思います。

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