2013年1月16日水曜日

出題者が明かす教職教養の重要事項(東京)

 東京都教育委員会は,『小学校教職課程・学生ハンドブック(平成24年度版)』という資料を作成し,HP上で公表している模様です。都内の大学で教職課程を履修している学生さんには,配布されていることと思います。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/senko/senko11.htm

 この資料は7つの章と資料からなるのですが,Ⅶ章の「採用選考に向けて:採用試験の対策」の箇所にて,都の採用試験でどういう事項が出題されるかが明らかにされています。問題を出す側からの情報提供ですので,信頼度は100%です。これは必見。

 全校種の受験者に共通である教職教養試験については,以下の事項を重点的に学習しておくべきとされています(49頁)。当該の箇所を引用しましょう。領域ごとに表でまとめました。


 まずは法規。公務員試験ですので,この手のお堅い分野からの出題の比重が高いようです。国の最高法規である憲法から,教基法,学教法と下っていき,公務員の服務等を定めた地公法からの出題が多いとのこと。教特法は,公務員の中でも教育公務員に固有の事項を定めた法律です。

 今年の夏実施の2014年度試験では,どういう事項が出ることか。まず,大阪の体罰自殺事件が大問題になっていることからして,学校教育法第11条は必出でしょう。

 「校長及び教員は,教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより,児童,生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし,体罰を加えることはできない」。この条文は,諳んじることができるまでに繰り返し読んでおきましょう。

 また,教員の不祥事が続発していることから,地公法が定める公務員の服務についても問われることでしょう。職務上の3つの義務(服務の宣誓,職務上の命令に従う,職務に専念),ならびに身分上の5つの義務(信用失墜行為禁止,秘密を守る,政治的行為制限,争議行為等禁止,営利企業等従事制限)を押さえておきましょう。

 次に,教育課程の国家基準であるですが,学習指導要領総則のさわりの「教育課程編成の一般方針」の原文がよく出ます。また,教育課程の諸領域(各教科,道徳・・・)の目標や指導上の配慮事項等も頻出。学習指導要領の原文は,文科省のHPでみれます。該当箇所を読みこんでおきましょう。

 続いて,教育原理,教育心理,および教育史。ありがたいことに,内容が多岐にわたる3領域からの出題事項はかなり限定されているようです。学習指導の方法については,モニトリアル・システムやドルトン・プランというような,歴史上の著名な教授法を知っておきましょう。発達理論は,有名なピアジェの認知の発達段階説等でしょうか。教育評価は,評価の基準(絶対,相対,個人内)や類型(診断的,形成的,総括的)を押さえておけばよいでしょう。

 最後に,近年の教育事情(教育時事)ですが,全国と東京の2種に分かれます。後者は,いわゆるローカル問題というやつです。

 国レベルの時事では,教育政策の動向が必出です。国の政策の諮問機関である中教審の答申を重点的にみておきましょう。最重要なのは,2012年8月28日に公表された,「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」でしょう。今後の教員に求められる資質能力はどういうものか。答申では大きく3つ提示されています。知っておきましょう,

 加えて,当局が実施している各種の調査の結果も頻出。結果の文章に関する正誤判定が多いようです。上表に載っている調査の結果は,文科省のサイトでみれます。いうまでもないですが,細かい数値を覚える必要はありません。いじめはどの学年で多発するか,東京の子どもの学力は全県の中でどの辺の位置にあるかというような,findingsを確認しておくだけで十分です,

 東京独自のローカル問題は,上表でいわれているように,都教委のHPをみておけば事足りるでしょう。『東京都教育ビジョン』(2008年)や『東京都教員人材育成基本方針』(同年)など,重要文書もあります。アウトラインを把握しておきましょう。メルマガも要確認とありますね。面接での話のネタに使われるトピックが含まれているかもしれません。登録しておいて損はないでしょう。

 もっと補足したい点はありますが,これくらいにしておきます。他の自治体においても,採用試験の出題ポイントをバッチリ書いた文書を公開しているかもしれません。自分が受けようとしている自治体の教委のHPを念入りにみておくことをお勧めします。

 なお,今回参照したハンドブックは平成24年度版ですが,3月ころに25年度版が出るかと思います。25年度版では,違ったことが書かれているかもしれません。その場合は,内容を更新したいと思います。