2013年9月7日土曜日

生存率の世代比較

 長生きしたいとは思いませんが,自分は何歳くらいまで生きるんだろう,と思うことがあります。事故か何かで明日死ぬかもしれないし,まかり間違って100歳くらいまで生きてしまうかもしれない。それは,神のみが知るところなり。

 しかるに,わが国の人口統計はとても充実していて,遠い将来の年齢別人口も細かく知ることができます。私の世代(1976年生まれ)の場合,2012年現在36歳であり,その数およそ180万人(総務省『人口推計年報』)。2056年に80歳になりますが,国立社会保障・人口問題研究所の『将来推計人口(中位推計)』をみると,同年の80歳人口は136万人ほどです。

 当然,今よりも減っていますが,4分の3以上が生き残っているではないですか。では90歳の時点ではどうか,100歳ではどうか・・・。こういう好奇心が出てきました。私は,各年の年齢別人口統計にあたって,自分の世代の年齢別生存率を整理してみました。

 1976年の0歳人口は185万人。これが,出生時の人口量です。この数を100とした場合,各年齢時点の人口はどういう値になるか。10歳間隔のラフスケッチをみていただきましょう。私の世代だけでは面白くないので,恩師の松本良夫先生(1935年生まれ)の世代と比べてみます。


 私の世代でいうと,70歳時の生存率は85.7%,80歳時でも73.4%であり,4分の3近くが生きています。90歳の時点でみても46.9%,半分近くです。結構生き長らえるものですね。人口の「社会増」によるのかもしれませんが,高齢層では,それはちと考えにくい。
 
 しかるに,人間の生存率とは年齢現象であると同時に,時代現象,世代現象でもあります。左側の松本先生の世代をみるとどうでしょう。10歳の時点にして,15%の減です。社会減(人口流出)もあるでしょうが,戦争や医療技術の未発達による部分が大きいことは間違いありますまい。

 でもまあ,松本先生の世代でも,80歳時の生存率は56.2%です。近年の医療技術の進歩,社会保障制度の充実(昔と比した)の影響でしょう。

 以上は10歳スパンの大雑把な整理ですが,50%(半分)を切るのは何歳かという,細かい部分も気になります。また,松本先生より上の世代ではどうか,私より後の世代ではどうかという関心も持ちます。

 私は,4世代の年齢別生存率曲線を描いてみました。上記の2世代プラス,1920年生まれ世代,2000年生まれ世代です。線が途切れている箇所は,戦争期の人口統計不備によります。


 世代によって,曲線の型が違っています。一番上の1920年生まれ世代では,子ども期における人口減のスピードがさらに速くなっていて,2歳の時点にして,1割減です。大正末期の頃ですが,乳児死亡率も格段に高かったことでしょう。青年期での減少も目立っていますが,これは徴兵によります。

 こういうことがあって,この世代の場合,20歳時の生存率は72.6%なり。成人するまでの間に,4分の1以上が命を落としていたことになります(社会減も含まれますが)。大変だった世代。生存の危機と常に隣合わせだった世代。彼らにすれば,現代の子ども期の諸問題なんて,「コップの中の嵐」くらいにしか見えないかもしれません。

 では,2世代を飛び越して,今世紀の初頭に生まれた世代(2000年生まれ)はというと,こちらは子ども期に人口が減るどころか増えています。帰国子女などの社会増によりますが,30~40代の働き盛りの頃でも人口は増える見込みです。労働力不足を補うため,海外からの人口流入を受け入れる,ということでしょうか。でも,国立社会保障・人口問題研究所の人口推計って,こういう点まで考慮されているのかな。

 それはさておき,生存率が50%を切るのが何歳かに注意してみましょう。同世代の半分がいなくなる年齢であり,「人生X年」の目安にもなります。上図から読み取ると,1920年生まれ世代は70歳,1935年生まれ世代は84歳,1976年生まれ世代は90歳,2000年生まれ世代は91歳,です。

 私の世代の場合,人生90年ですか。まあ,日頃ロクなことをしていない私は,普通の人より早く逝くでしょうけど,まかり違って25%のラインまで生きてしまうかもしれない。その場合,人生96年なり。

 病気や災害等の突発事情を考慮していないシュミレートですが,自分の先行きをちょっとばかし展望してみました。また,人の生というのは時代によってやはり違うものだと,改めて思い知らされました。8月6日の記事でも申しましたが,生きた時代を共有する「世代」というカテゴリーは,人間理解に際しての重要な変数なのだと感じます。

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