総務省『就業構造基本調査』から,有業者の年収と配偶関係の関連を知ることができます。最新の2012年調査の結果をもとに,3つの図表をつくってみました。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
まずは,30代後半男性の年収別の未婚率表です。私の年齢層ですが,年収別の変異は如何。最下段の合計には,年収が不明の者も含まれています。
ほう。未婚率は年収とほぼリニアに関連していますね。年収150万未満では,6割以上が未婚者なり。表をよくみると,最も大きな断絶は,年収300万のラインにあります。このラインを下回るや,未婚率が一気に10ポイント以上アップ(34.7%→45.3%)。俗にいう「300万の壁」ってこれかな。
次に,同じデータを他の年齢層についても出し,「年収×年齢」の等高線グラフにて,各層の未婚率の水準を表現してみました。久々に登場の「社会地図」図式です。
同じ年齢層でも,年収によって未婚率は異なります。未婚は年齢現象であると同時に,れっきとした階層現象でもあることが知られます。
あと一つお見せするのは,年収別未婚率曲線のジェンダー差です。私の年齢層を例に,曲線の型の性差をご覧いただきましょう。
男女では,年収と未婚の関連の仕方が反対じゃん。未婚率は,男性では極貧層で最も高く,女性では超富裕層で最も高い。こうした「X」線型に,わが国のジェンダー観念がみてとれます。諸外国でも,こういう型になるんかな。北欧とかではどうなんだろう。
2010年策定の『第3次・男女共同参画基本計画』では,2020年までに,指導的地位に占める女性比率を少なくとも30%程度にまで高める,という数値目標が掲げられています。今後は,ガシガシ稼ぐ女性がどんどん増えてくることでしょう。
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/3rd/index.html
そうなった時,未婚化の進行に拍車がかからないかどうか。上図のような「X」線型が保持されるとしたら,理論上は,総体としての未婚率は高まることになります。
男女共同参画関連の数値目標として,指導者層の女性比率*%を掲げるのもいいですが,ジェンダー観念の克服に関するものも設定したらどうかなあ。たとえば,「夫は仕事,女は家を守る」という性別役割分業への反対率*%というような。これなどは,『男女共同参画に関する世論調査』で計測可能です。
思想統制になってはいけませんが,学校におけるジェンダーフリー教育を活性化させる起爆剤にもなるでしょう。女性の社会進出の進展に伴わねばならないものは,結構あるのです。