高等教育には公的な助成がなされていますが,それは2つの成分からなります。大学等の教育機関への助成と,個々の家計を対象とした助成です。
後者の家計対象助成が総額全体の何%を占めるか。OECDの “Education at a Glance 2013” にこの指標の国際統計が載っていますので,それをグラフにしてみました。2010年の統計となっています。
日本は29.2%であり,OECD平均の23.2%よりは高くなっています。しかし注目してほしいのは,その中身のほとんどが “Student loans” であることです。われわれがいう「奨学金」のことですが,国際統計ではしっかり「ローン」に直されています。青色のスカラシップとはみなされていません。
申すまでもなく,わが国の奨学金は実質「ローン」なのですが,国際統計ではこの点がしっかり認識されているようで,安堵の感を覚えました。国際的にみると,青色のスカラシップ型の国が多いことにも注意しましょう。
文部科学大臣も,今の奨学金は「ローンのようなものだと思う」と認めているようです。正直に「学生ローン」と名称変更されるか,それとも奨学金の名にふさわしいよう,給付型のものに変えられるのか。後者であってほしいと思いますが,どうなることやら。
http://www.mynewsjapan.com/reports/2010
OECDの “Education at a Glance 2013” は,教育分野の基本的な国際統計資料です。下記のサイトにて,フルテキストをPDFでダウンロードできます。教育学徒にとっては必携の資料であるといえるでしょう。
http://www.oecd.org/edu/eag.htm
昔は,こういう資料は大きな図書館に行かないと閲覧できませんでしたが,今はネット上で簡単に入手できます。便利になったものです。こういう条件はどんどん活用されねばなりません。学生さんにも度々,こういうことを言っています。