2014年4月27日日曜日

人生のお悩み曲線

 厚労省は毎年『国民生活基礎調査』を実施していますが,3年に一度の大規模調査では,対象者の健康状態も調べています。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html

 悩みやストレスの有無を問い,「ある」と答えた者に対し,具体的な原因を複数回答で尋ねる設問があります。私はこのデータを使って,人生のお悩み曲線を描いてみました。手始めに,「家族との人間関係」で悩んでいる者の出現率曲線をみていただきましょう。


 男女とも40代後半に山があるきれいな型です。その山は女性で高く,40代後半の女性では,13.4%(7人に1人)が家族との人間関係の悩みを抱えていることが知られます。育児と介護に挟まれる「サンドイッチ」年代ですものね。女性の場合,上下からの重圧が男性に比して大きいことでしょう。

 「家族との人間関係」の悩みの曲線は,中年期にピークがある「山」型ですが,他の悩みの曲線はどういう型なのか。17の原因について,上記と同じ出現率曲線を描き,全体を一望できる図をつくってみました。

 ここでの主眼は,曲線のをみていただくことなので,縦軸の目盛幅は揃えていませんし,目盛もカットしています。横軸の年齢層については,先ほどの図と同じ位置に色をつけていますので,これを手掛かりに読み取ってください。色つきは,左から10代,30代,50代,70代です。

 それでは,17のお悩み曲線の一望図をみていただきましょう。青は男性,赤は女性の曲線です。


 細かいコメントはしませんが,曲線の型は多様ですね。ピークの位置に着目すれば,人生各時期の悩みがどういうものかが分かると思います。

 それと,ジェンダー差にも注意してください。前回みたように,育児や家事の悩みは,女性に集中する度合いが高いですね。ほとんどの図において,男性よりも女性の曲線が上にあることも特記事項です。トータルでみて,悩みの量は女性のほうが多いようです。

 前回も申しましたが,名称を隠して,この曲線はどういう悩みの出現率曲線かを答えさせる問題とかどうでしょう。人間形成論やライフコース論などの試験問題として,面白いと思うのですが。

 それはさておき,私は現在37歳ですが,この時期について回る悩みは,①自由時間がない,②収入・家計,③育児,④家事,⑤自分の仕事,⑥住まい,というようなものです。私は独身で定職を持たないので,あまり実感はないのですが,家庭持ち・仕事持ちの方はこれらの悩み・ストレスに苛まれていることでしょう。

 次のステージである40代前半では,離婚や介護の悩みが出てくることが予想されます。自分の「これから」に備えることもできそうです。

 人生は「人それぞれ」ですが,それで片付けてしまっては,人間科学は成り立ちません。ある程度の普遍則を打ち出し,標準的な見取り図を描くことは不可能ではありません。今後も,さまざまな事象の年齢曲線を描き,発信していこうと思っております。