育て上げネットの工藤啓氏より,『働くってなんですか?』を献本いただきました。ありがとうございます。
http://www.sodateage.net/books/891/
うざったい説教のような内容と思われるかもしれませんが,本書に盛られているのは6人の若者の実話です。
①:大学を中退してから働けなくなったが,ショップ店長として結婚もしている若者。
②:新卒入社した会社を一年で退職。「社会不安障害」と診断されたが,アルバイトで働いている若者。
③:専門学校中退からのひきこもりがちな生活を乗り越え,コンビニスーパーで働いている若者。
④:高校卒業から6年間の空白期間を経て,インターン先に就職した若者。
⑤:中学時から不登校。社会的ブランクは10年を超えていたが,現在ではフルタイムで働いている若者。
⑥:20歳から15年間のひきこもり生活を経て,清掃会社の現場責任者となった若者。
(表紙のカバーより)
標準レールを踏み外した人間がどうやって「カムバック」を遂げたかという,ケース報告として読むことができます。若者支援の実践を行っている方々の参考になることでしょう。
しかるに本書の主眼は,表題にある「働くってなんですか?」という問題を考えてもらうことにあるのだと思います。そのための手引きを,6人の若者がしてくれるのでしょう。
パラパラとめくったところ,最後のあとがきにある,以下のセンテンスが印象に残りました。
「私たちは働くために生まれてきたわけでも,働くために生きているわけでもありません。そんな当たり前であることも,『働く』から長く離れることで,いつのまにかそれが生きる目的であったかのような錯覚を起こしてしまうのかもしれません。しかし,実際に働けるようになると,『働く』は手段でしかないことに気がついてきます。」(186~187ページ)
私も「働くとは手段なんだ」と学生さんによく言いますが,「『働く』から長く離れること」を経験した6人の若者は,説得力をもって,それを伝えてくれることでしょう。これからじっくり読ませていただきたいと思います。