2017年1月27日金曜日

教員の長時間勤務率の国際比較

 教員の悲惨な勤務実態を明らかにした調査レポートが,次々に公表されています。たとえば連合総研の調査によると,小・中学校教員の7割は週60時間以上勤務で,この割合は民間の他業種に比してダントツで高いとのこと。

 週60時間といたら,週5日勤務と仮定すると1日12時間。法定の1日あたりの労働時間は8時間ですから,週あたりの残業時間は(12-8)×5=20時間,月あたりにすると80時間,過労死ラインを超えます。

 こんな働き方をしている教員が7割もいると。子どもにとっても,悪いモデルになるでしょう。

 他国もそうなのでしょうか?いや,そんなわけはありません。OECDの国際教員調査「TALIS 2013」のローデータから,中学校教員の週間勤務時間分布を知れます。フルタイム勤務の教員のうち,週60時間以上勤務している者は何%か。この比率の国際比較をやってみました。

 勤務時間が判明する全教員でみると,週60時間以上勤務者の割合は,日本の49.6%からフィンランドの1.0%まで幅広く分布しています。日本では半分ですが,北欧のフィンランドではほぼ皆無であると。スゴイ違いですねえ。

 しかし,様相は年齢によって違います。以下に掲げるのは,32か国の年齢層別の長時間勤務者率です。


  どの年齢層でも,週60時間以上働いている教員の割合は日本が最も高くなっています。20代では67.0%と,7割近くになります。若手では,こんなにも多くの教員が過労死レベルの働き方をしていると。

 日本は率の高さに加え,年齢差が大きいことも特徴のようですが,昔ながらの年功序列のようなものが生きているのでしょうね。今問題になっている部活指導も,若手に多く降ってくるでしょう。

 20代の若手について,長時間勤務者率のランキングのグラフを作ると,実に衝撃的です。


 日本は,2位のシンガポールを大きく引き離してダントツ。国際的な標準から大きく外れた,病理のレベルに至っています。

 次期学習指導要領の目玉はアクティブ・ラーニングですが,AL型の授業の準備には手間がかかります。教えることの専門職たる教員が,本来の業務(授業)に集中できるようにすべく,部活指導のような業務から,彼らを解放しないといけません。

 下位のヨーロッパ諸国では,教員の職務の境界がさぞ明確なのでしょうね。それは,教員が専門職として確立されていることと同義です。

 わが国では,教員の社会的性格が未だに曖昧なまま。「準専門職(semi-profession)」という苦肉の表現があてがわれたりしています。教員自身は,自分たちを専門職と思っているのに,現実には「何でも屋」のようなことをさせられる。教員の苦悩の源泉は,こういう立ち位置の曖昧さにあるともいえるでしょう。

 長時間勤務を是正するのは小手先の手段ですが,もっと根源的には,教員という職業の社会的性格を定かにすること。後者の大きな課題も,絶えず認識しておかないとなりますまい。

1 件のコメント:

  1. 日本の50代教員は管理職を除くと更に若手との差が開くのではないかと思います。

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