2017年1月8日日曜日

231職業の学歴水準スコア

 前回は,68職業の学歴水準を測るスコアを計算してみました。高学歴の職業はどういうものかについて,目星がついたかと思います。

 この記事がウケているようですので,調子に乗って,もうちょっと深めてみましょう。前回は,『就業構造基本調査』のデータを使って,職業中分類(68職業)の学歴水準スコアを出したのですが,基幹統計の『国勢調査』では,もっと細かい職業小分類のデータも得ることができます。

 下記サイトの表13に,2010年の職業小分類と学歴のクロスが出ています。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001050829&cycleCode=0&requestSender=search

 性別の影響を除くため,男性に対象を絞りましょう。年齢も統制したいところですが,職業小分類では,年齢まではコントロールできません。今回の分析対象は,15歳以上の各職業の男性就業者です。

 まず全職業の就業者でみると,最終学歴が判明する者は約3058万人。学歴の内訳は,①小・中卒が11.2%,②旧中・高卒が45.4%,③短大・高専卒が10.0%,④大学・大学院卒が33.4%となっています。高齢者も含みますので,高卒が最も多くなっています。昔は,大学進学率は低かったですので。

 前回と同様,就業者の学歴分布をもとに,学歴水準の高低を測るスコアを計算しましょう。①に1点,②に2点,③に3点,④に4点を与えると,全職業の男性就業者の学歴スコアは,以下のようになります。

 {(1×11.2)+(2×45.4)+(3×10.0)+(4×33.4)}/100.0 = 2.656点

 このスコアを,細かい小分類の職業別に計算してみました。231の職業のスコアです。高い順に並べたランキング表を作ってみましたが,長くなりますので,2つに区切ることにします。まずは上位半分,1位から116位までです。


 医師や教員の学歴スコアが高くなっています。これらの職業には大卒学歴が要るので,大卒・大学院卒のスコア(4点)に近くなっています。

 なお『国勢調査』では,大卒と大学院卒のカテゴリーが同一になってますので,院卒の割合はスコアに反映されていません。そのため,研究者や大学教員のスコアは低く出ています。

 コメントは省いて,今度は残りの半分,117位から231位までです。


 以上です。先に述べたように,年齢を統制していませんので,各職業の年齢構成の影響が入っていることに留意してくださいまし。

 『国勢調査』では,西暦が「0」の年の大調査にて,対象者の最終学歴も調査されます。今度は2020年調査ですが,この時には,「大学院卒」というカテゴリーができるのかな。今では「大学・大学院卒」というようにまとめられてますが,大学院進学率が高まっているので,大卒と院卒が分離されることになると思います。そうしたら,もっと精緻に学歴スコアを出せるでしょう。

 細かい小分類でみた,職業別の学歴レベルの比較です。参考資料として,掲載しておきます。