2017年7月26日水曜日

強い町田市

 「子どもの転入超過数全国3位,子育てしやすい町田」という記事を見かけました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170725-00000059-minkei-l13

 転入超過数とは,1年間の転入者数から転出者数を差し引いた数で,人口流入の度合いの指標としてよく使われます。町田市は,2016年の15歳未満人口の転入超過数が808人で,全国3位であったとのこと。

 私はこれまで,親年代(25~39歳など)の転入超過数をもとに,「子育てに選ばれる街はどこか?」という主題を考えたことがあります。しかるに,この中には未婚者も含まれますので,事態を読み違える危険もあるでしょう。

 考えてみれば,子ども人口の動きに着眼するのがベストかもしれません。上記の記事に触発され,首都圏(1都3県)の市区町村について,年少人口の転入超過数を拾ってみました。

 資料は,総務省『住民基本台帳人口移動報告』です。最新のデータは2016年のものですが,ちょっと前の2010年との比較もしましょう。もっと前まで遡りたいのですが,年齢別の転入超過数を市区町村レベルで知れるのは,2010年調査からのようです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000000070001

 両年について,1都3県の市区町村の年少人口の転入超過数を採取し,高い順に並べてみました。上位20位までを示すと,以下のようになります。言わずもがな,年少人口とは15歳未満人口のことです。


 子ども人口の流入度を指標とした,「子育てに選ばれる街」の一覧です。ほう,2010年と2016年とも,トップは町田市ではないですか。東京南端のこのエリアは,一貫して強いのですね。

 黄色マークは,両年とも上位10位にランクインしている地域で,安定して子ども人口を吸い寄せていることが知られます。東京の町田と八王子,千葉北西の3エリアです。「母(父)になるなら流山」のフレーズで知られ,駅前保育を展開している流山市も入っています。

 赤字は,両年とも上位20位に入っている地域。黄色マークの最強5エリアには及びませんが,これらも安定して子育てに選ばれている地域といえましょう。さいたま市や,神奈川の茅ヶ崎市が顔を見せています。

 しかし,町田市がこんなに強いとは知りませんでした,一時,ヤンキーが多いとか,都内で少年非行の発生率が最も高いとか言われたことがありますが,ここまで安定して子ども人口を引き寄せているとは。

 冒頭の記事によると,駅チカの子どもセンター,子育て支援サイトできめ細やかな情報発信をし,今年10月には駅から保育所までの送迎サービスも開始するとのことです。来年には小田急線も複々線化し,都心へのアクセスがさらに快適になります。「伸びしろ」も多く残しています。

 1都3県の全市区町村の転入超過数を拾いましたので,それを地図にしておきましょう。最新の2016年のマップです。4つの階級を設け,242の市区町村を塗り分けてみました。


 白色は転入超過数がマイナス,つまり子どもが出て行っているエリアです。東京の都心は,ほぼ真っ白ではないですか。それを濃い色が円状に取り巻いていて,小学校の社会科で習った「ドーナツ化現象」のような模様になっています。

 都心を取り巻く濃い色は,子育てに選ばれる地域で,千葉の北西部,さいたま市,町田・八王子,そして湘南エリアが該当します。

 親年代の転入超過数のマップは都心が濃い色になり,「子育ても都心回帰」という印象を与えるのですが,この中には未婚者が含まれるので,誤解が生じる恐れがあります。子ども人口の動きに着眼した,上記のマップのほうがベターでしょうね。

 冒頭の記事に接したおかげで,認識を改めることができました。今は,ネットでいろいろな記事を読めますので,とてもありがたい。それを参考に,自分が作ったデータを絶えず精緻化させていこうと思っています。