2017年7月22日土曜日

共働き男性のWLB,家事分担度

 昨日,共働き男性の家事・家族ケア時間の国際比較を,ツイッターで発信しました。横軸に5時間未満,縦軸に20時間以上の者の割合をとった座標上に,それぞれの国を配置したグラフです。

 日本の外れっぷりが一目瞭然。横軸の値(≒妻ワンオペ率)が飛び抜けて高く,縦軸は最も低し。見てくださる方が多いようです。

 しかるに,男性の家事・家族ケア時間だけを切り取ってみるだけでは不十分でしょう。男性の生活時間の多くを占める仕事時間(①),またパートナーとの分担度という点から,女性の家事・家族ケア時間(②)との対比もしないといけません。

 ①との対比から男性のワークライフバランス度,②との対比から妻との家事分担度が分かることになります。この点のデータも見たいという要望が多数でしたので,それを作ってみることにしましょう。

 ISSPの『家族と性役割の変化に関する意識調査』(2012年)では,各国の成人男女に対し,週間の家事・家族ケア時間と仕事時間を問うています。

 本調査のローデータを加工して,子がいる共働き男性の家事・家族ケア時間(A),仕事時間(B),同じ条件の女性の家事・家族ケア時間(C),の週間平均時間を計算しました。この3つから,以下の指標を割り出すことができます。

 男性のワークライフバランス度=A/(A+B)
 男性の家事・家族ケア分担度=A/(A+C)

 単位は%で出しましょう。下表は,37か国の結果の一覧表です。黄色マークは最高値,青色マークは最低値です。カナダ,インド,韓国は共働き男性(女性)のサンプル数が50人に満たないので,分析対象から外したことを申し添えます。


 日本の共働き男性の家事・家族ケア時間は8.6時間で,飛び抜けて低くなっています。仕事時間は51.9時間で,中国に次いで長し。家事・育児時間が短く,仕事時間が長いので,WLB度は14.1%と低くなっています。37か国で最低です。

 同じ共働き女性の家事・家族ケア時間との対比により,妻との分担度を推し量るとわずか16.0%(6分の1)で,こちらも世界で最低です。

 日本の男性の生活構造の歪みが数字で表れていますねえ。共働きといっても,日本の女性は多くがパートで,就業時間が短いということもあるでしょうが,これはヒドイ。

 算出された,共働き男性のWLB度と家事・育児分担度の布置図を描いてみましょう。下図は,横軸に前者,縦軸に後者をとった座標上に,37の社会を配置したものです。点線は,37か国の平均値です。


 ぐうの音も出ません。日本のパパは,自身のワークライフバランス(仕事と生活の調和)が悪く,妻との家事分担もできていない。

 この要因を,日本の男性の長時間労働だけに帰すことはできますまい。日本国内の共働き男性のサンプル(63人)でみると,就業時間と家事・家族ケア時間に相関関係は認められません。長時間労働の男性ほど家事・育児時間が短い,という傾向はない。

 当人の家事スキル,妻の意識など,いろいろな要因が交じり合っていると思われますが,平均値でみた国際的な位置は上記のようになるのは事実です。これでは少子化に歯止めがかかりません。日本の「働き方改革」,待ったなしです。