2012年6月10日日曜日

展望不良による若者の自殺

就職失敗を苦に自殺する大学生の存在が問題になっています。警察庁の『自殺の概要資料』によると,その数,2010年は46人,2011年は41人なり。

 若干減っていることに安堵する関係者もいるかもしれませんが,それを戒めるデータがあります。「進路に関する悩み」という理由による自殺者です。「就職失敗」と「進路に関する悩み」という理由は,類似した側面を持っています。先行きが不透明な状況に絶望し,自らを殺めてしまう人間の量を測るには,両者の合算分に注目する必要があるかと思います。

 「進路に関する悩み」を苦に自殺した大学生は,2010年が73人,2011年が83人です。こちらは10人も増えています。よって,2つの理由による自殺者の合算値は,119人から124人へと増えていることになります。予断を許さない状況は続いているとみるべきでしょう。

 今述べたことは,3月14日の記事で明らかにしたことです。しかるに,学校から仕事への移行を期待されているのは,大学生だけではありません。今回は,10~20代の若者全体について,上記の2つの理由による自殺者がどれほどいるか,どう推移してきたかをみてみようと思います。ひとまず,「展望不良による自殺」と括っておくことにします。

 警察庁の『自殺の概要資料』において,詳細な自殺原因の統計が公表されているのは,2007年以降です。この年以降の展望不良による自殺者数を,10代と20代に分けて跡づけてみました。下表をご覧ください。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/link/keisatsutyo.html


 2つの理由による自殺者数は,10代,20代とも,増加の一途をたどっています。20代では,就職失敗による自殺は2010年から11年にかけて減少していますが,進路の悩みによる自殺が増えているので,総量はトントンになっています。

 20代の進路の悩みといえば,多くが就職関連のものではないかと推測されます。就職失敗を苦にした自殺であっても,遺書や遺族の証言が曖昧であったため,このカテゴリーに放り込まれたケースもあると思います。メディアではあまり取り上げられていないようですが,「進路の悩み」という自殺理由にも目が向けられる必要があるでしょう。

 次に10代の欄に目を移すと,こちらは双方の理由とも増えており,合算値は最近1年間で10人増となっています。その多くが進路関連の悩みです。10代の場合,大学受験失敗の類が多いのでしょうが,就職失敗に類するものも含まれていることと思います。2011年になって数が急増しているところをみると,東日本大震災による地元の雇用市場崩壊ということも影響しているのではないでしょうか。

 本日の読売新聞に,就職に失敗した学生の自殺を防ぐべく,大学とハロワが連携して心のケアに取り組んでいる,という記事が載っています。この手の実践は,自我が未熟な10代の生徒に対し,もっと徹底されて然るべきかと思います。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/syuukatsu/snews/20120610-OYT8T00275.htm

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