2016年2月19日金曜日

全国1271市区町村の平均世帯年収分布

 パソコンを新調し,今日の午前中は,そのセットアップに費やしました。前に使っていたパソコンのOSはウィンドウズvistaなのですが,4月以降,これではグーグルクロームが使えなくなるそうです。そこで,最新の「10」が搭載されたパソコンに買い替えることとしました。

 まだ使えますが,もう6年も使用しましたので,まあよしとしましょう。新しくかったのは,F士通のワケありデスクトップ(返品再生品)なのですが,何も問題ありません。格安だったし,トクした気分です。

 新しいパソコンにはエクセル2013が入っているのですが,これが使い勝手がよくない。グラフも作りにくい。まあ,そのうち慣れるでしょうが,今回の記事に載せる散布図を作るのに,えらい苦労しました。

 今回は,タイトルに記したデータをお見せしようと思います。総務省の『住宅土地統計』(2013年)からつくったデータです。前に,首都圏214市区町村の平均世帯年収を出したことがありますが,今回は全国の1271市区町村にまで射程を広げ,その分布を明らかにしてみました。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/03/2013.html

 当該資料には,各地域の世帯の年収分布が掲載されています。私が住んでいる多摩市の分布は,以下です。年収が不明の世帯は除きます。


 年収が判明するのは63870世帯ですが,最も多いのは,年収300万円台の階級ですね。まあ,ノーマルに近い分布です。私がどこら辺かは,想像にお任せします。

 この分布から平均世帯年収を出すのですが,度数分布表から平均を出す場合は,階級値を使います。各階級に属する世帯の年収を,中間の値(階級値)で代表させます。たとえば,年収300万円台の世帯は,一律年収350万円とみなすわけです。上限のない年収1500万超の世帯は,ひとまず年収2000万円と仮定しましょう。

 この場合,多摩市の平均世帯年収は,以下のようにして算出されます。全体を100とした相対度数を使ったほうが,計算は楽です。

 {(50万×6.1)+(150万×10.6)+・・・(2000万×1.5)}/100.0 ≒ 489.8万円

 私が住んでいる多摩市の平均年収は,489.8万円なり。ジブリ「耳をすませば」(1995年)のモデルとなった,丘の上の桜が丘地区に限ったら値はうんと高くなるでしょうが,市全体でみるとこんなとこでしょうか。それにこれは,単身世帯や高齢世帯も含む全世帯の平均ですし。

 私は,これと同じやり方で,全国の1271市区町村の平均世帯年収を計算しました。大変な手間と思われるかもしれませんが,そうでもありません。今の官庁統計はリモート集計ができ,「地域×世帯年収」のクロス表をつくり,それをエクセルにコピペして,上記の計算を施しただけです。

 これが15年くらいまえだったら,それこそ「1か月」仕事です。しかし今では,それがわずか30分ほどでできると。便利な時代になったものです。

 1271市区町村の平均世帯年収を出すと,最低の240万円から最高の793万円まで,非常に大きなレインヂが見られます。同じ日本かと思うくらいです。100万円刻みの階級を設けて,ヒストグラムにすると,下図のようになります。


 真ん中の層が厚い,きれいな分布です。最も多いのは,年収450万以上500万未満の地域。私が住んでいる多摩市も,この階級に含まれます。

 平均年収600万を超える富裕地域は16ですが,その上位3位を取り出すと,東京の千代田区,港区,そして横浜市の青葉区です。スゴイですねえ。これは平均ですが,六本木ヒルズのある港区では,年収1000万超の世帯が全体の4分の1を占めます。

 上記の分布図では,地域の顔が見えませんので,その一部をご覧に入れましょう。分析対象の1271市区町村のうち,平均世帯年収が上位50位の市区町村を掲げます。


 7位まで,東京と神奈川の市区町村が寡占。8位になって,兵庫県の芦屋市が出てきます。表全体をみると,愛知県の地域も結構多いですね。この50市区町村のうち,33の市区町村が,東京・神奈川・愛知の地域です。富裕地域の恐るべき集中度。

 これは平均世帯年収ですが,もう一つ,先ほどちょっと言及した,年収1000万以上世帯比率も加味してみましょう。年収1000万を超える富裕世帯が,全体の何%かです。横軸に平均世帯年収,縦軸に年収1000万以上世帯比率をとった座標上に,1271市区町村を配置すると,下のグラフのようになります。十字の点線は,1271市区町村の平均値です。


 右上にあるのは,「お金持ち」地域です。都内特別区,横浜市内の5つの区がかっ飛んでいます。私が住んでいる多摩市は,センターよりもちょと右上。自分の地域の位置がわかりました。

 今回は全国に観察範囲を広げましたが,住民の経済力にこうもバラツキがあることに驚かされます。エンリコ・モレッティの言ではないですが,「年収は住むところで決まる」かもしれません。そうした地域の条件が,子どもの発達(学力,体力,健康)と強く関連することは,本ブログで何度も明らかにした通りです。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/03/blog-post_12.html