2016年2月11日木曜日

離婚の学歴差

 5年スパンで実施される『国勢調査』では,対象の国民の配偶関係を調べています。用意されているカテゴリーは,未婚,有配偶,死別,そして離別です。死別とは配偶者と死に分かれた者,離別は配偶者との離婚を経験した者です。

 この内訳は年齢によって違いますが,他の属性による差もクリアーです。たとえば,社会階層の尺度である学歴差とかはどうでしょう。男性の中卒者と大卒者について,配偶関係構成の年齢グラフを描くと,下図のようになります。下記サイトの表10-1のデータをもとに,作図しました。


 結婚できている有配偶者の比重は,大卒者のほうが多くなっています。その分,中卒者では,未婚者や死・離別者が多し。男性の場合,低学歴の者ほど,結婚できない者が多く,家族解体を経験した者が多いと。

 未婚については,低収入のオトコは結婚しづらいことは,これまで何度もデータで明らかにしました。学歴と収入が相関することを思うと,上図の傾向もさもありなんです。

 しかるに,ここで興味が持たれるのは,紫色の離別者の比重です。未婚者を除いた結婚経験者(有配偶者,死別者,離別者)に占める離別者の比率は,中卒の40代後半男性では17.8%,およそ6人に1人です。

 この値は,学歴別の離婚確率の指標として使えるでしょう。この指標の年齢曲線を描いてみました。下図は,1990年と2010年の曲線の対比です。両年について,中卒,高卒,大卒の3本のカーブが描かれています。


 「失われた20年」にかけて離婚率が上がったことは知られていますが,それは学歴差(≒社会階層差)の拡大を伴っているようです。低学歴群ほどこの20年間の伸びが大きく,2010年では,3本の折れ線の距離が離れています。

 社会全体の進学率上昇,高学歴化の進展により,中卒者はますますマイノリティーになりつつあります。こうした少数の不利な層が被る圧力は,以前にも増して強くなっているのでしょう。

 1月12日のプレジデント記事でみたところによると,90年代以降,若者の自殺率が増加しているのですが,ここでみた離婚と同様,階層差の拡大を伴っているかもしれません。こうした層別の分析もできるようになったらと思います。時代の診断学としての社会病理学の使命です。

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