2016年10月28日金曜日

中学校のいじめ認知度(2015年度)

 2015年度の文科省『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』の速報結果が公表されました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/shidou/1267646.htm

 いろいろなファインディングスが報じられていますが,いじめの認知件数が過去最高になったそうです。2015年度間の小・中・高・特のいじめ認知件数は22万4540件で,前年度の18万8072件よりも大幅増となっています。

 この統計の読み方が知られるようになってきたのか,「過去最悪」などと報じる新聞はないようです。いじめの認知件数が多いのは,悪いことではありません。いじめの把握に本腰を入れているという,名誉の証とも解せます。

 いじめは,統計に表れない「暗数」が多いのですが,実際に起きているであろう件数と,当局の認知件数を照合することで,いじめ把握のガンバリ度の指標を出すことができます。

 ここでいう「実際に起きているであろう件数」は,いじめを容認する生徒の数をもって,近似値(相似値)とすることができるでしょう。こういう生徒は,年に1度は広義の「いじめ」をやらかしていると思われます。

 2015年度の文科省『全国学力・学習状況調査』では,「いじめはどんな理由があってもいけない」という項目への反応を調べています。公立中学校3年生のうち,「どちらかといえば,そう思わない」ないしは「そう思わない」と答えたのは6.2%です。この比率は,いじめを容認している生徒の率と読めます。

 同年5月時点の中学校生徒数は346万5215人(『学校基本調査』)。先ほどの6.2%をこれに乗じると,いじめを容認する中学生の実数は,21万4843人と見積もられます。全国に,いじめを容認する中学生が21万人いるのですね・・・。

 冒頭の資料によると,2015年度間の中学校のいじめ認知件数は,5万9422件。先ほど出した,いじめを容認する生徒数(21万4843人)に対する比率は,27.7%となります。解釈の飛躍を覚悟でいうと,当局の統計は,実際の推定量の4分の1ほどを拾っていると。

 この指標(measure)は,都道府県別に計算することができます。難しい思春期の中学校のいじめを,どれくらい把握できているか。各県のガンバリ度を拝見させていただきましょう。


 黄色マークは最高値,青色マークは最低値です。この両端をみると,中学校のいじめ認知度は,109.6%(山梨)から10.5%(香川)まで,幅広く分布しています。山梨では,推定量よりも多くのいじめを拾っていますが,香川では1割ほどしか掬えていません。

 赤字は上位5位ですが,山梨,山形,宮崎,そして私の郷里の鹿児島では,推定量の8割以上のいじめを認知しています。アンケートをや見回りを頻繁に行うなど,いじめの把握にさぞ熱心なのでしょう。

 各県の位置を分かりやすくするため,右端の認知度を高い順に並べたランキング表にすると,下表のようになります。


 どうでしょう。上位の顔ぶれは先ほど述べた通りですが,下位をみると,都市的な県が多くなっています。推定量の1割ほどしか,いじめを認知していない。おそらくは,膨大な暗数があるのではないか。いじめの把握に,もっと本腰を入れる余地があるのではないでしょうか。

 ただ,この指標は高ければいいというのではありません。些細なことも「いじめ」としてガンガン摘発し,値が200%,300%にもなったら,それはもう管理地獄というものでしょう。適正水準は,80~100%というところではないでしょうか。

 こういう指標も随時観察して,自県の取組を評価することも求められるでしょう。

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