2016年10月12日水曜日

アラフォー男性のワーキングプア化

 「ワーキングプア」。すっかり知れ渡った造語ですが,字のごとく,「働く貧困層」という意味です。

 働いているのに,公的扶助レベルの収入しか得られない人たち。統計で量を測ろうとするなら,さしあたり,年収200万未満の有業者に注目するのがよいでしょう。

 毎度使っている『就業構造基本調査』では,有業者の年収分布を集計しています。20~50代の男性有業者のうち,年収200万未満の者の数を拾うと,1992年では281万人でしたが,20年後の2012年では374万人に膨れ上がっています。同年齢の有業者全体に占める比率も,8.8%から13.3%へとアップです。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm

 生産年齢の男性でも,最近では,有業者の8人に1人がワーキングプアということになります。

 言わずもがな,この比率は年齢層によって違っています。1992年と2012年について,男性有業者のワーキングプア率曲線を描くと,下図のようになります。


 当然ですが,ワーキングプア率は若年層ほど高し。2012年の20代前半は45.6%で,およそ半分です。大学進学率の上昇により,学生バイトが増えているためでしょうが,昨今の新入社員の苦境はよく言われること。これでいて,学生時代の奨学金返済も迫られるのですから,たまりません。

 ワーキングプア率は,どの年齢層でも上昇しています。バリバリの働き盛りのアラフォー男性でも,今ではおよそ1割がWPです。

 地域別にみると,もっとスゴイ値が出てきます。アラフォー(35~44歳)の男性有業者に占めるWPの比率を,都道府県別に計算してみました。時代変化も分かるよう,1992年と2012年の対比もします。黄色マークは最高値,青色は最低値です。


 子どもの教育費や住宅ローンなど,いろいろ負担がのしかかる年代ですが,どの県でも,年収200万未満のWPの比重が増しています。平均収入が高い東京で最も低いかと思いきや,そうではないようです。

 マックスは,時代を問わず沖縄。2012年では29.6%,およそ3割にもなっています。アラフォーの男性でこれです。最近,本県での子どもの貧困や,学生の困窮化(女子大生風俗嬢・・・)がいろいろ指摘されますが,親世代の貧困化の尾を引いていることは確かでしょう。

 上表の地域データを地図にすると,この「失われた20年」の変化が可視化されます。


 言葉がよくないですが,周辺部から病原菌に感染しているかのようです。

 年功序列の日本では,貧しいのは若いうち,加齢とともに自動的に収入は上がる。よって,ワーキングプアのような問題は,中高年層には無縁と思われがちですが,最近の実態はそうではありません。

 まぐれもなく,この層にも関わる問題とみるべきでしょう。私が今,この年齢層であるだけに,そのことを肌身で実感します。世代的にいうと,大学卒業時に未曽有の不況期に遭遇したロスジェネです。

 いま,子育ての最中にありますが,この世代(親世代)の貧困化が,子どもの育ちに影を落としていることは言うまでもありますまい。沖縄などでは,それが顕著に表れています。

 沖縄では,子どもの貧困が大きな問題になっており,上級学校進学機会のはく奪だけでなく,虫歯などの健康問題も深刻化しているといいます。これを受けて,子どもの貧困調査も独自に実施されています。
http://www.pref.okinawa.jp/site/kodomo/shonenkodomo/kodomonohinkontyousa.html

 その背景として,親世代の苦境があるのは間違いないことですが,その可視化のデータを作ってみようと思い,県別のアラフォー男性のWP率を出してみた次第です。

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