2016年10月19日水曜日

階層から目を背けないで

 日本教育新聞に「数字が語る・日本の教育」の連載を持たせていただいています。今年の8月8日で,100回を突破しました。その記念企画として,「データにどう向き合う」かについて,私の考えを述べたインタビュー記事を載せていただきました。


 主張のフレーズとして,「階層から目を背けないで」と編集者さんが書いてくださっています。いろいろ話しましたが,確かに,一番訴えたいのはココです。この点に関する部分を抜き出して,ブログにも載せておこうと思います。

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 連載では,さまざまなテーマを取り上げてきましたが,何が印象に残っていますか?

 まず強く感じるのは格差です。社会階層と教育の問題は教育社会学の中心テーマで,既にさまざまなデータがありますが,調べてみたら,階層は学力だけでなく。体力や虫歯・肥満などの健康状態,政治的関心などにも結び付いていました。米国などでは,こうした調査結果が出ていますが,日本でも起きているのです。学校現場でも,この問題にもっと取り組まなければいけないと感じます。

 しかし,学校は階層という言葉をタブー視しています。一例を挙げれば,教員採用試験の問題では,教育社会学は完全に無視されています。以前,ある学校から,学力に影響を与えている要因を調べたいのでアンケートを作ってほしい,とお願いされて,家庭環境の質問を潜り込ませたのですが,すぐに断られました。ただ,その要素を抜きにして要因は分かりません。現実から目を背けると,日本はますます階層社会になってしまいます。

 よくこう言われることがあります。「社会階層と子どもの学力,体力,健康状態との関連は分かった。ではどうすれば良いのか提言してくれ」と。子どもの通塾費を補助したり,保護者に健康指導をしたりする実践も大切なのでしょうが,最も変えなければいけないのは,階層をタブー視する教育界の雰囲気なのです。

(日本教育新聞,2016年9月19日号より)

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