2016年10月26日水曜日

大学非常勤講師の給与

 北海道で,大学非常勤講師の労組が結成されたそうです。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0328773.html

 上記の北海道新聞記事では,道内の大学非常勤講師の給与に関するデータが紹介されています(道私大教連調査)。ポイントは,以下の2点。

 ①:通年6コマ教えても年収210万円ほど。
 ②:大半が年収300万円未満。

 うーん,私もこの業界に長くいますけど,違和感のあるデータです。

 まず,通年6コマで年収210万もいくでしょうか。給与は大学によって違いますが,いいところで通年1コマ30万円くらいです。これで6コマの場合,年収は,30万×6=180万円なり。

 ここにて,私が教えた3大学の非常勤給与を開陳してしまいましょう。大学名を記してもいいと思いますが,A大学,B大学,C大学としておきます。

A大学
 1回の90分=1万円
 通年1コマ(30回)=30万円
 通年6コマの年収=30万×6=180万円

B大学
 月額=2万円
 通年1コマ(12か月)=24万円
 通年6コマの年収=24万×6=144万円

C大学
 1回の90分=7000円
 通年1コマ(30回)=21万円
 通年6コマの年収=21万×6=126万円

 どうでしょう。いずれの大学も,通年6コマの年収は,上記の記事でいわれている210万円には遠く及びません。C大学などは悲惨を極めていますが,こういう大学も決して少なくないと思われます。

 それと「大半が年収300万未満」とありますが,これも「ホンマかいな」という感じです。

 私が経験した中で,最も待遇のいいA大学で年収300万を得ようという場合,通年10コマ(半期だと20コマ)教えないといけませんが,こんなにコマを持たせてもらっている講師に出会ったことがありません。語学系なら,多少はいるかもしれませんが・・・。

 年収200万稼ぐにしても,A大学では,通年7コマ(半期14コマ)を持たないといけない。私の経験では,このレベルの講師にお目にかかったことも稀です。

 「大半が年収200万未満」の間違いではないでしょうか。上記の道調査の年収は,講師以外の副業も含んでいるかもしれませんが,講師給だけで年収300万も得るのは,並大抵のことではありません。

 大学非常勤講師の悲惨を世に知らしめるには,サンプリングをしっかりした調査をする必要があるかと思います。待遇がいい大学,コマ数が多い語学系の講師にサンプルが偏してはなりません。

 コマ数を多くもらっている語学系の非常勤とて,そのうち専門学校などに仕事を丸ごと奪われる運命にあります。身の振り方を考えておいたほうがいいでしょう。

 さんざんツイッターで愚痴っていますが,C大学にはホトホト愛想がつきました。上記のように超薄給にもかかわらず,授業に要する労力は半端なく,教務からの注文も多い。もう耐えられないと,去年の前期で辞めました。余計なお世話ですが,専任教員のストレスは尋常ではないと推察します。

 専任教員の中にも,耐えかねて大学を辞職し,野に下る人がいるそうですが,分かるような気がします。
https://twitter.com/tonton1965/status/790143120503562240

1 件のコメント:

  1. これに加えてこの給料のなかから、採点にかかる経費や数年間のレポートの保存(私の勤務校では3年間の保持がルールとなっています)のための、文房具の支出を捻出しなければなりませんし、そもそも研究費もこの内なのが厳しいところですね。

    舞田さんの場合不用意にデータ化しないと思いますが、掛け持ちの場合の持ちコマ数(一つの大学で一コマのみが複数、一大学あたりの最大担当コマ数の制限など)や、通勤の移動(一コマのために往復4時間、兼任で5大学を回るなどはざら)を加味すると、悲惨としか言えないでしょうね。そういった意味で、より丁寧なサンプリングはまさに大切ですね。

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