8月も下旬,暑いのは相変わらずですが,ちょっとだけ陽が落ちるのが早くなったような気がします。
実務教育出版から『教職教養らくらくマスター』(2021年度版)が届きました。来年夏に実施される,2021年度採用試験に向けて使っていただくものです。24日頃から,本屋さんに並ぶかと思います。
https://jitsumu.hondana.jp/book/b457268.html
昨年は落ち着いた体裁でしたが,今年はポップなイラストが入っています。この本は毎年刊行されるもので,出るたびにブログでアナウンスするのは気が引けるのですが,ぜひともアピールしたい目玉ポイントがありますので,書かせていただきます。
今回出た2021年度対策用では,冒頭に,全自治体の出題頻度表を入れています。本書は112のテーマ(教育原理53,教育史11,教育法規35,教育心理13)からなりますが,それぞれの内容が,過去5年間(2015~19年度試験)で何回出題されたかをカウントしたものです。
「112テーマ × 51自治体」,16ページを要しましたが,出版社さんも「受験生のためなら」と増ページを快諾していただきました。
各セルには,過去5年間の試験で出題された回数が記されています。たとえば岩手県では,教育原理のテーマ2「教授・学習理論」が5年間で5回,つまり毎年出題されていると。
「5」は5年間で5回の必出,「4」は5年間で4回の頻出であることを意味します。16ページにわたる全自治体の表をみると,「5」や「4」という数字が結構あります。教職教養の内容は広範ですが,試験で出る内容はある程度決まっているのですよね。
受験者が最も多い東京都では,学習指導要領がよく出ますねえ。小・中・高とも,ここ5年間で4回出ています。教育法規の「教員の服務」は5年間で5回,必出です。教員の不祥事が続発していることを受けてのことでしょう。
この表を活用することで,受験する自治体の頻出テーマを割り出すことができます。まずは「5」と「4」のテーマを潰し,徐々に学習の射程を広げていくとよいかと思います。
逆に言うと,過去5年間で全く出ていない「0」というテーマは,思い切って捨てるのもアリかと思います(時事的なテーマは除く)。中身をちょい出しすると,宮城県や福島県では,教育心理は過去5年間で全く出ていません。完全に「アウト・オブ・眼中」です。福島県では,教育史も全く出ていません。広大な本県の受験生は結構多いかと思いますが,教育原理と法規に絞った,深い学習をするのもいいでしょう。
4領域からなる教職教養の内容は盛りだくさんですが,ド真面目に全部をくまなく学習する必要はありません。それに越したことはないですが,学習に割くことのできる時間や労力は限られています。横着を推奨するわけではないですが,この出題頻度表を活用し,効率のよい学習をしていただければと存じます。
タイトルのごとく,教職教養を「らくらくマスター」していただくため,内容の盛り方にも工夫を凝らしています。視覚人間である私のポリシーを前面に出し,図や表を多用し,見やすい体裁に仕立てています。読む本というよりも,「みる」本です。
無味乾燥な条文が並ぶ教育法規には抵抗感を持つ学生さんが多いでしょうが,どういうことが現場で問題になっているか,どういうことを汲み取るべきかを,私の言葉で書いています。暗記学習の暗さを感じさせない作りになっていると自負します。学校に行かせてもらえない子ども,虐待を受ける子ども…。こういう問題を念頭に置きながら,法規の条文を音読してください。
目まぐるしく動く教育時事も,しっかりフォローしています。教員の働き方改革の答申も盛り込んでいます。当局の仕分けに基づき,教員が担う必要のない業務,負担軽減な可能な業務がどれかを知っておきましょう。
他にもアピールポイントはありますが,昨年の紹介記事との重複は避けましょう。
https://tmaita77.blogspot.com/2018/08/2020.html
来年夏の試験を受験予定の学生さん,本書をぜひ手に取っていただきたく思います。他社から分厚い電話帳みたいな参考書も出ていますが,まずは薄手の要点整理集にて,教職教養の内容をざっくりと押さえることからです。本書では,自分が受ける自治体でよく出る事項が何かを知れる,出題頻度表というサービスもついています。
教員採用試験の競争率は低下を続けており,最近の小学校試験の競争率は3倍を下回る自治体が多く,2倍を切る所すらあります。オリンピックが終わったらまだ不況になるという予測もありますが,そうなったら試験は難関化するかも分かりません。今がチャンス。受験生諸氏の健闘をお祈りいたします。