今日のお昼に,面白いツイートを見つけました。大学教育への公的支出のうち,奨学金が何%を占めるかの国際データです。
https://twitter.com/kabutoyama_taro/status/670377662485917696
注目されるのは,割合がナンボよりも,奨学金のメインが給付型か貸与型かです。日本は大半が貸与型。国際標準から大きくずれています。
このツイートはすごく拡散しているようですが,「これはおかしいだろ」と誰もが日ごろ感じていることが,データではっきりと可視化されているからでしょう。私もこれを見たときは,「やはり」と膝をたたきました。
グラフのデータの出典は,OECD『図表でみる教育2014年版』となっています。OECDの教育白書『Education at a Glance 2014』の和訳です。私はもっと多くの国のデータも見たいと思い,原資料に当たってみました。下記サイトで,本資料の全文をPDFでダウンロードできます。
http://www.oecd.org/education/eag.htm
どうやら,Table B5.4「Public support for households and other private entities for tertiary education (2011)」のデータのようです。「tertiary education」とありますから,正確には高等教育でしょうね。日本でいうと,4年制大学だけでなく,短大や高専も含むとみられます。
この表から,高等教育機関への公的支出のうち奨学金が占める割合を,32か国について知ることができます。それをヨコの棒グラフにすると,下図のようになります。
なるほど,多くの国のデータでみても,日本の特異性が際立っています。わが国の奨学金は,貸与依存型です。アイスランドもそうですが,この国は,国公立大学の授業料はタダ。授業料が高いアメリカは,給付型の奨学金がメインとなっています。
「授業料バカ高&奨学金は返済義務あり」のダブルパンチを食わせているのは,日本だけではないでしょうか。このような貧弱な学生支援では学生も過重なバイトをせざるを得ず,人手不足の産業界の要求と相まって,「ブラックバイト」のような問題が蔓延るのもうなづけます。日本は,大学生のバイト実施率が6割で,主要国ではマックスとなっています。
https://twitter.com/tmaita77/status/668055259227357184
日本は教育が普及した社会ですが,それは家計に大きな負担を強いることが成り立っています。大学では,バイトに精を出すあまり,ただ籍を置くだけという「形式的就学」も広がっています。私も,そういう学生を何人も見てきました。
教育大国の中身を解剖すると,このような病理が検出されるのは確かです。