11月13日の記事では,首都圏の貧困世帯率マップを作ったのですが,今回はその逆の富裕層比率マップをご覧に入れようと思います。年収が1000万以上を超える世帯が,全世帯の何%かです。
資料は,2013年の総務省「住宅土地統計」です。この資料には,各県内の市区町村別の世帯年収分布が掲載されています。私は,1都3県の214市区町村の年収1000万以上世帯比率を出してみました。
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.htm
以下は,その地図です。
都内の都心,横浜市の北部,千葉北部の新興地域の色が濃くなっています。年収1000万以上の世帯の率が10%を超える地域です。
トップは,東京・港区の26.5%! この区では,全世帯の4分の1が年収1000万超ということになります。ヒルズ族の存在も寄与しているでしょうね。2位は千代田区,3位は横浜市の青葉区。前にお付き合いしていた編集者さんは,この青葉区にお住まいの方でした。
「それより下は?自分の住んでいる市区町村はどうなの?」という関心もあおりでしょう。そこで,214市区町村のランキング表も掲げます。
首都圏214市区町村の「お金持ち」率ランキングですが,いかがでしょう。左上の赤字は,年収1000万以上世帯率が15%を超える地域です。さもありなん,という顔ぶれですね。
私が住んでいる多摩市は,7.8%ほど。おそらくは,ジブリ「耳をすませば」のモデル地となった,高台のあそこに富裕層は集中しているのだと思います。聖地巡礼の経験がある方はお分かりかと思いますが,あそこは豪邸がたくさん…。
最後に都内23区を取り出して,この「お金持ち」比率と,子どもの学力の相関図をつくってみましょう。
何も言いますまい。先日の貧困世帯比率との相関とは逆の,明瞭なプラスの相関が出ています。相関係数は,+0.7835にもなります。
「親が高所得 → 学校での高いアチーブメント → 子も高い地位」というような,再生産の過程が存在することを示唆する,マクロデータであるといえましょう。
某県の知事が,「子どもの学力=教師力」と発言していましたが,そんなことはないと考えます。上記のような現実があることを知らないと,教師をやたらと追いつめることになる。教員研修には,大学の研究者の講演も組み込まれているのでしょうが,歓迎されるのは教育方法学や教育心理学とかの専門家で,教育社会学はお呼びでないのかしら。少なくとも,教員採用試験ではそうです。
私は,8/21に都の教員研修会で講演させていただきましたが,都内23区の学力地図や肥満地図,注目されましたよ。皆さん,パワポのスライドを食い入るように見ておられました。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/08/blog-post_22.html
教育の社会的規定性について知っているなら,学力テストの地域別データをどう読むか(活かすか)も変わってくるはず。この点は,下記の記事「東京都内23区の学力の推計」をご覧いただければと思います。
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/07/23.html