2012年8月6日月曜日

30代が生きづらかった時代

近年,30代の危機がいわれます。明治期以降の長い歴史において,今日に匹敵するほど,この年齢層が大変な思いをしたという時代はあったのでしょうか。自殺率を指標にして,考えてみましょう。

 『大日本帝国人口動態統計』(戦後は『人口動態統計』)にて,自殺者の数が計上され始めたのは,1899年(明治32年)です。この年から2010年までの30代の自殺者数推移を明らかにし,それを各年の当該年齢人口で除して,30代の自殺率の長期カーブを描きました。

 ベースの人口の出所は,総務省統計局ホームページの「長期統計系列」です。なお,1919年以前の時期では,年齢層別の人口が分かるのは,1918年,1913年,1908年,1903年,1898年に限られます。これらの間の年については,単純な按分推定で出しました。たとえば,1904年の30代人口は,1908年と1903年の差分を5分した値を,前年の1903年の数に加算することで出しています。
http://www.stat.go.jp/data/chouki/02.htm

 では,この110年間の30代の自殺率カーブをみていただきましょう。


 一貫して上昇というような傾向ではなく,かなりの波動が描かれています。10万人あたり20人のラインを引いてみると,この危険水域を超えたのは,①1914(大正3)年,②1920(大正9)年~1937(昭和12)年,③1954(昭和29)~1959(昭和34)年,④1983(昭和58)年,そして⑤1998(平成10)年以降です。

 突発的な①と④を除くと,30代が危機状況にあった時期として,3つを検出することができます(②,③,⑤)。深刻な不況と慢性的な戦局下にあった大正中期~昭和初期,戦後の激変期,および平成不況下の今日です。

 ちなみに,上記の観察期間中における自殺率の最高値は,2009年の24.5なり。むーん,長期的な変動幅でみても,今日の30代の危機は「史上最大」と評されます。自殺率という,一つの定規を当てた限りですが。

 20代や10代の子どもではどうでしょう。それは,後の課題ということで。

 最後に,夏の夕暮れの写真を1枚。自宅近辺の都立桜ヶ丘公園で撮ったものです。夜の7時頃の散歩を日課にしています。


 よい夏休みをお過ごしください。さて,そろそろ西村賢太さんの映画化作品,『苦役列車』を観にいこうかな。

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