2013年2月6日水曜日

奨学金「シャッキング」の量の推計

 先日,2012年分の確定申告を終えました。会社勤めの人はする必要ありませんが,私のように,非常勤講師や文筆等,バイトの掛け持ちで生活している人間は,年間の収入を税務署に申告しなければなりません。

 複数の勤務先から届いた源泉徴収票の年間支払給与額をエクセルに入力し,SUM関数で合計を出します。出てきた数字をみて,思わずガッツポーズ。奨学金の返済月額の減額申請をできるレベルであることが分かったからです。

 現在,学生時代に借りた奨学金の返済をしています。毎月の末,ドカーンと残高が減った通帳をみるたびに,胃が痛くなります。定職のない身の上,正直辛いな,と思っています。所得証明が出るようになったら直ちに,日本学生支援機構に上記の申請をするつもりです。

 愚痴っぽい書き出しになりましたが,私と同じような境遇の人間はどれほどいるのでしょう。学生支援機構のHPをみればすぐに分かると思ったのですが,関連する統計が見当たりません。奨学金を返済中の者はどれほどいるか,借入総額の分布は?こういうことは最も基本的な情報だと思うのですが,なぜか非公表。世から批判が出るのを恐れているのかしらん。
http://www.jasso.go.jp/statistics/index.html

 仕方がないので,私なりのやり方で数を推し量ってみることにしました。全国大学院生協議会は毎年,大学院生を対象に『経済実態・研究環境に関する調査』を実施しています。最新の2012年度版によると,調査対象の大学院生(修士課程,博士課程)のうち,奨学金を現在受給している,ないしは過去に受給していたという者(以下,受給者)は6割だそうです。
 http://www3.atword.jp/zeninkyo/

 同年の文科省『学校基本調査』から分かる,大学院修士課程・博士課程の院生数は243,219人。先ほどの比率を適用すると,奨学金の受給者は145,931人と見積もられます。

 この14万6千人の奨学金借入総額はどうなっているのでしょう。上記の院生協議会調査では,調査時点における,日本学生支援機構奨学金の借入総額分布が明らかにされています。それによると,600万円超1,000万円未満が11.5%,1,000万円超が3.1%なり。

 この比率を上の推定受給者数に乗じると,借金総額600万円超1,000万円未満のシャッキングは16,782人,1,000万円超のスーパーシャッキングは4,524人と推計されます。

 これは5学年(M1~D3)全体の数ですが,前者はM1~D3まで広く分布していると考えてよいでしょう。しかし後者は,ほとんどが博士課程の院生であると思われます。よって1学年あたりの数にすると,シャッキングは16,782/5=3,356人,スーパーシャッキングは4,524/3=1,508人,というところではないでしょうか。

 このうち,きちんとした定職に就けず,名ばかり研究員や非常勤講師等のバイトで食いつながざるを得ない者が半分出ると仮定しましょう。

 こ の場合,職なしシャッキングが1,678人,職なしスーパーシャッキングが754人,毎年発生する計算になります。両者を合算すると2,432人。毎年,これだけの量の「職なしシャッキング(広義)」が出ていると思うと,結構怖い思いがします。過去からの量を累積すると,相当の数になるでしょう。

 現在,私と同じ境遇にいる人間は,上の数を15倍して3万6千人くらいかしらん。いや,20倍して4万8千人ほどか。いくつかのバージョンが考えられますが,どれが現実に最も近いかを言い当てることはできません。

 当局がその気になれば,ここで大雑把に見積もったような「職なしシャッキング」の数など,たちどころに分かるはずです。正確な数値をぜひとも公表してもらいたいものです。

 それはさておき,昨年末の文科省通知「経済的理由により修学困難な学生等に対する支援策の周知について」によると,今では,「家計の厳しい学生等を対象として,奨学金の貸与を受けた本人が,卒業後に一定の収入を得るまでの間は返還期限を猶予する『所得連動返済型の無利子奨学金制度』が新設されて」いるとのことです。知りませんでした。
 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/gakuseishien/1330559.htm

 しかし,以前の受給者については,「卒業後に一定の収入を得るまでの間」待ってくれはしません。一定の猶予期限を過ぎたら,どんなに低所得でも返済を迫られることになります。

 「奨学金1,500万円の取り立てにあう高学歴ワーキングプア-高学費と就職難が大学院生の心身壊す」というような悲惨な事例も報告されています。「死んだほうが奨学金の返済も可能なのかもしれない」・・・何とも痛々しい叫びです。このご時世であることにかんがみ,救済の対象を広げていただきたいと思っております。
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11408859560.html

0 件のコメント:

コメントを投稿