2012年3月15日木曜日

都道府県別の小学校教員採用試験競争率の変化

以前は,記事のタイトルがあまり長くならないよう,適当に端折っていましたが,今後はそういう方針にこだわらないことにしました。人によっては見苦しいと思われるかもしれませんが,ご容赦ください。

 3月6日の記事では,2011年度の教員採用試験の競争率を都道府県別に明らかにしました。自分の県の競争率がどれほどかに関心をお持ちの方は多いらしく,この記事の閲覧頻度は高くなっています。岩手県の佐藤正寿先生は,ご自身のブログにてコメントをしてくださっています。感謝いたします。
http://satomasa5.cocolog-nifty.com/jugyo/2012/03/post-45fc.html

 今回は,各県の競争率の時系列データをご覧に入れようと思います。他県との比較(ヨコ)に加えて,自県の過去の数字との比較(タテ)も行うことで,現在の状況に関する認識が深まるかと存じます。

 文科省の『教育委員会月報』のバックナンバーから,1980年度試験までさかのぼって,全県の教員採用試験の競争率を明らかにすることができます。私は,各県の小学校試験の競争率を,5年刻みでたどってみました。1980年度,1985年度,1990年度,1995年度,2000年度,2005年度,2011年度,です。

 競争率とは,受験者数を採用者数で除した値です。2011年度の東京都でいうと,受験者は5,961人,採用者は1,590人ですから,競争率は3.7倍と算出されます。受験者3.7人につき1人が採用された,という意味です。なお,指定都市の受験者数,採用者数は,当該市がある県の分に組み入れたことを申し添えます。

 では,この30年間における各県の試験競争率の変化を,5年刻みでたどってみましょう。下表をみてください。


 競争率の最大値には黄色,最小値には青色のマークをつけています。1980年度試験では,どの県でも競争率が低かったようです。最も高い北海道でも4.9倍です。最も低いのは,長崎の1.3倍。受験者384人中,307人が採用されたとのこと。今の学生が聞いたら,It's paradise ! と声高に叫ぶことでしょう。

 ちなみに,この年度の試験を新卒時に受けたのは,2011年現在の54歳の先生方です。この世代の先生方は,今の若い世代の苦境をはにかむような思いで見ておられるのかもしれません。

 しかし,それから5年経った1985年度試験では,多くの県で競争率がアップします。競争率が2ケタの県も3県出てきます。和歌山の場合,3.7倍から46.3倍へと競争率が急騰します。さぞ,戸惑いが大きかったことでしょう。

 1990年度試験は,バブル期で民間が好景気だったためか,競争率は再び落ち着きます。全国値でみると3.1倍です。上表の年度でいうと,最も競争率が低くなっています。

 競争率が高まるのは,90年代以降です。少子化による採用抑制,不景気による受験者増といった要因により,どの県でも,教員採用試験が難関化します。世紀の変わり目の2000年度試験では,競争率の全国値が12.5倍になり,10の県で,競争率が20倍を超える事態になります。最も高い和歌山は54.2倍!。何かの間違いではないかと,原資料を何度も確認しましたが,受験者325人,採用者6人という数字がしっかりと記録されています。

 この年度の試験を新卒時に受けた世代は,現在の30代半ばの世代です。いみじくも,私の世代です。ついてないロスジェネです。和歌山のこの世代の教員は,一目置かれているのではないかしらん。

 その後は,団塊世代の大量退職により,多くの県(とくに都市部)において,競争率が下がります。2011年度試験になると,東京と大阪の競争率は3.7倍にまで落ちます。これでは優秀な人材が得られないという危機感から,東京都教育委員会が,地方の学生を呼び寄せるバスツアーを企画していることは,何度も書いてきました。

 ですが,最近の傾向には地域差があり,北東北や九州の諸県では,競争率が上昇しています。青森は,この10年間で13.2倍から18.5倍にまで増えました。岩手は29.7倍から32.4倍になり,現在,全県で最も高い水準です。

 上表のようなロー・データを載せるだけというのは無精なので,各年度試験の競争率の度数分布表をつくりました。分布の様相が,時代によって大きく違っていることを読み取っていただければと存じます。


 最も激戦であった2000年度試験では,37の県で競争率が10倍を超えていました。逆に,最もパラダイス?であった1980年度試験では,40の県で,競争率が4倍を切っていました。世代の差,侮るべからず。

 2000年度の試験について,中学や高校の競争率を出したら,どういう数字がでてくるかなあ。もしかしたら3ケタの数字も出てきたりして。機会をみつけて,中高の競争率の県別時系列データもお出ししようと思います。

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