2013年4月27日土曜日

家庭環境が非行に及ぼす影響の年齢比較

 3月23日の記事では,少年鑑別所や少年院への入所者の統計を使って,両親の状態如何によって非行少年の出現確率がどれほど異なるかを明らかにしました。

 ところで,一口に少年といっても多様です。10歳やそこらの年少少年もいれば,あとちょっとで成人になるというようなガタイの大きな者もいます。

 家庭環境が非行に影響するといっても,その強さがどれほどかは,子どもの発達段階によって異なるでしょう。今回は,その様相を数値で可視化してみようと思います。

 2010年の警察庁『犯罪統計書』によると,同年中に警察に検挙・補導された10代少年は,延べ数で10万3,573人となっています。刑法犯で御用となった少年であり,いわゆる非行少年に相当します。
http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm

 この少年らの家庭環境をみると,①父母がいる家庭の者が64,828人,②母子家庭の者が29,393人,③父子家庭の者が6,804人と記録されています(残りは両親なしの者,不明の者)。この数値を,同年の『国勢調査』から分かる母数で除して,各群からの非行少年出現率を計算してみましょう。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/index.htm

 ①の母数は,「夫婦と子供から成る世帯」,「夫婦,子供と両親から成る世帯」,「夫婦,子供とひとり親から成る世帯」,「夫婦,子供と他の親族(親を含まない)から成る世帯」,ないしは「夫婦,子供,親と他の親族から成る世帯」に属する10代少年です。②の母数は「女親と子供から成る世帯」の少年,③の母数は「男親と子供から成る世帯」の少年であることを申し添えます。


 非行少年が出る確率は家庭環境によって違っており,父母がいる家庭<母子家庭<父子家庭,というようになっています。母子家庭からの出現率は父母がいる家庭の3.0倍,父子家庭に至っては5.6倍にもなります。

 さて今回の主眼は,上記の出現率を年齢別に出すことです。最近は,当局の公表統計がとても充実してきており,上表の分子・分母の数値を1歳刻みの年齢ごとに知ることができます。3つの群について,年齢別の非行者出現率を算出してみました。


 どの群でも,非行少年出現率は14~15歳で高くなっています。思春期の只中にある,難しいお年頃ですしね。

 しかるに注意していただきたいのは,家庭環境差が年齢でどう違うかです。ピークの15歳に着目すると,母子家庭からの出現率(37.8)は,父母がいる家庭(12.9)の2.9倍に相当します。父子家庭は5.7倍です。

 この倍率を年齢ごとに計算し,折れ線グラフを描いてみました。家庭環境が非行に及ぼす影響の年齢差がみてとれると思います。


 母子家庭,父子家庭の折れ線とも,きれいな右下がりの傾向を呈しています。つまり,非行の家庭環境差は低年齢の児童ほど大きい,ということです。最年少の10歳でいうと,母子家庭少年の非行率は通常の4.9倍,父子家庭少年は実に10.6倍にもなります。

 年少の子どもほど,家庭環境が非行に及ぼす影響が相対的に強いことが知られます。年少少年が非行化する確率は絶対水準としては低いのですが,自我が未熟である故か,環境による影響を被りやすい,という事実を認識すべきかと思います。

 こういう情報を提供するのは,親がいない家庭の子どもはキケンだなどというレッテル貼りをするためではありません。統計的な傾向をもとに支援や配慮の重点層を検出し,実践に役立てていただきたい,という願いからです。

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