2013年4月18日木曜日

面積図でみる大学教員の構成変化

 自分が言いたいことを端的に分かりやすく伝える際,グラフはとても有用です。私は視覚人間ですので,統計的な傾向を指摘する時は,ベタな表をドカンと載せるのではなく,できるだけグラフ化するようにしています。

 さて,昨年の9月25日の記事では,大学教員の構成変化を明らかにしたのですが,そこで分かったのは,大学教員の非正規化がすさまじい勢いで進んでいることです。

 こうした傾向が最も顕著なのは人文科学系の教員です。人文科学系の教員は,1989年では36,773人でしたが,2010年では67,566人にまで増えています。しかし,その構成はガラッと変わっているのです。

 1989年では①本務教員が51.9%,②定職あり非常勤教員が26.5%,③専業非常勤教員が21.6%であったのが,2010年では順に,34.3%,10.6%,55.1%となっています(文科省『学校教員統計調査』)。*①と②の重複分は除かれています。詳細は,上記リンク先の記事をご覧ください。

 不安定な生活に喘ぐ専業非常勤教員がこんなに増えている!。こういうことを訴えるべく,上記の数字をグラフ化するとしたら,どういう図にしますか。普通の人は,百分比率の帯グラフを使うでしょう。

 しかるに私は,それとは異なる表現方法をとってみました。ブツをみていただきましょう。


 各カテゴリーの教員量を,四角形の面積で表した図です。最初に,各年の全教員数の四角形をつくります。1989年の場合,全教員数(36,773)の平方根をとって一辺が192の正方形を描きました。2010年は,一辺が260の正方形にしています。67,566の√です。

 同じようにして定職あり非常勤教員と専業非常勤教員の正方形を描き,全体の図形の中に収めました。2010年の定職あり非常勤教員は,ヨコ長の長方形にしています。正方形だと,専業非常勤教員の図形とかぶるからです。

 この図法によると,各カテゴリーの教員の絶対量も表現することができます。専業非常勤教員は,全体の中での比重増加(21.6%→55.1%)もさることながら,絶対量もこんなに増えている,ということを図形の面積を通して視覚的に伝えることができます。

 上図によると,2010年の専業非常勤教員の数は,1989年の全教員数と同じくらいであることが知られます。普通の帯グラフからは,こういう情報は読み取れません。*100%相当の母数を示すことはできますが。

 この表現技法は,私の恩師の松本良夫先生もよく使われています。下の写真は,10代少年の中での非行少年の量が,図形面積で表現された図です(ご著書『図説・非行問題の社会学』光生館,1984年,6頁)。


 刑法犯はともかく,道交法違反や不良行為などは,結構な幅を利かせていることが分かりますね。おそらく,松本先生が方眼紙を使って精魂込めて作成された図なのだと思います。

 この面積図は,いろいろな用途があるかと思います。就業者,学生,失業者,主婦,ニート等,20代青年の多様な成分をこのやり方で表現してみたらどうでしょう。過去のものとの照合も面白い。青年の変化をみてとるには,こちらのほうがいいんじゃないかなあ。

 前期の統計の授業では,こういうことを学生さんにやらせてみようかな。エクセルではなく,方眼紙を使ってです。そのほうが,何をやっているかもよく分かるでしょう。でも今時,方眼紙なんて大学の売店に売ってるかな。

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