4月も下旬,気温が上がってきました。今日の東京のマックスは27度で,熱中症への注意を呼び掛けるニュースも出ています。GW前にして,「熱中症」という言葉が出てくるようになったかという思いです。
さて,ツイッターで発信したグラフが注目を集めています。凝ったものではありません,日本で働いている人の年間所得の分布図です。100万ごとに区切った階級に該当する人の数を,ヨコの棒グラフでピラミッド状で表したグラフです。男性と女性で分け,従業地位の3区分(自営,非正規雇用,正規雇用)でバーを塗り分けています。
元データは,2017年の『就業構造基本調査』から得たものです。★コチラの統計表にて,「性別×所得×従業地位」の3重クロスをしました。ネット上で,こういうオリジナルの集計もできるようになり,便利になったものです。
女性にあっては,下が厚く上が細い,見事なピラミッド型になっています。全体の6割近くが200万未満です。扶養の範囲内で調整している既婚女性が多いのでしょうが,それにしても安い。販売やサービス(介護など)といった職業の給料が安いのもあります。これらのエッセンシャルワークは,安い女性非正規で支えられている現実があります。ある方がツイッターで,「女性活躍=コスト削減」と言われてますが,言い得て妙です。
社会は,右下の安い女性労働力に支えられている。大企業従業員に絞ったグラフでみると,「左上=男性,右下=女性」というコントラストがより際立ちます。
繰り返しますが,日本の労働者は「安い」。こうしたコストカットが効いてか,企業の内部留保は過去最高だそうですが,国民の購買力が下がり,モノが売れなくなり,結局は自分たちに返ってきます。アイリスオーヤマの社長さんも言われてますが,大変な今こそ,企業は内部留保をはき出し,従業員を守るべきなのです。
さて,上のグラフをみて,自分の稼ぎは全労働者の中のどの辺だろう,という関心もおありでしょう。その目安を出しておきましょう。出てきた結果には,結構驚かされます。以下の表は,男女,自営・非正規・正規をひっくるめた全有業者(6408万人)の所得分布です。
按分比例を使って,3つの値を推し量りましょう。本ブログを長くご覧の方は,もう慣れっこですよね。
中央値:
按分比=(50.0-45.9)/(53.9-45.9)≒0.5110
中央値=250+(50×0.5110)≒276万円
上位20%値:
按分比=(80.0-77.8)/(84.8-77.8)≒0.3183
上位20%値=500+(100×0.3183)≒532万円
上位10%値:
按分比=(90.0-89.5)/(93.0-89.5)≒0.1354
上位10%値=700+(100×0.1354)≒714万円
日本の全有業者の所得の中央値は276万円,上位20%値は532万円,上位10%値は714万円と出ました。この3本のポールを立てた場合,あなたはどのゾーンに属しますか。715万円以上の稼ぎがある人は,上位1ケタのトップ層に属することになります。
これは男女ひっくるめた場合の数値ですが,男性と女性では条件が違うので,両性で分けたほうが診断の目安としてはいいでしょう。私は全有業者,男性有業者,女性有業者の所得分布をもとに,下位10%値,下位20%値,…中央値,…上位20%,上位10%値を計算しました。結果をまとめると以下のようになります。
9本のポールを立てましたが,あなたはどのポールの間にありますか,中央値は超えてますか…。私は,男性の中央値(379万円)に及びません。
女性の中央値は174万円で,上位20%値(339万円)は,男性の中央値にも及ばず。女性にあっては,460万以上の稼ぎがあれば「スター」の部類です。
上記の表は,ご自身の立ち位置を知る「診断表」としてお使いくださればと思います。自分と同年代の正社員のデータが見たいという方は,冒頭でリンクをはった統計表(★)に飛んでいただき,同年代の「正規職員」の所得分布表を呼び出し,表を作ってみてください。ツイッターをされているなら,私のアカウントにメッセージください。拡散させていただきます。