なぜ東京から転居したかというと,近くに海がある暮らしがしたかったからです。大学非常勤講師の職を辞し,家賃の高い東京にいる必然性がなくなったのもあります。
ツイッターで何度も書いてますが,私は,居を固定する気にはなれないのですよね。家を建てる資金があったとしても,賃貸暮らしを選びます。変動の激しい時代,一つの場所に定住を強いられることの苦痛(リスク)は小さくないと思うのです。どういう土地での暮らしが有利になるかは,今後,目まぐるしく変わっていくでしょう。
それに私自身,気が移ろいやすい人間です。理由は後述しますが,「また転居しようか」という気が芽生えてきています。
転居をする人は,年間にどれくらいいるのでしょう。2017年10月に実施された『就業構造基本調査』によると,直近の1年間(2016年10月~2017年9月)に転居した15歳以上人口は616万人となっています。私も,そのうちの一人です。
私の年齢層の40代前半だと,男性が27万人,女性が23万人ほどです。仕事,子育てといろいろ役割が課される時期ですが,どういう転居の理由はどういうものか。マイナー(曖昧)な理由の掃きだめである「その他」を除いて,理由の内訳を整理すると,以下の表のようになります。上記調査の全国編「人口・就業に関する統計表」の第192表から作成したものです。
男性では「転勤」,女性は「子どもの養育・教育」という理由が最も多くなっています。性差に注目すると,差が飛び抜けて多いのは「家族の仕事の都合」です。男性は3.8%でしかないのに対し,女性では27.6%をも占めます。
女性の場合,夫の転勤に付いて行く,いうものでしょう。転勤族の夫と結婚し,目まぐるしく居を変える妻のことを「転妻」と呼ぶのだそうです。
これは40代前半のデータですが,当然,ライフステージによる違いもあります。5歳刻みの年齢層別に同じデータをつくり,年齢変化を滑らかに見て取れる面グラフにすると,以下のようになります。
10代では大学進学等による転居(通学)が多く,20代前半では就職に伴う転居が多くなります。その後は結婚・子育てといった,家族形成に関する理由が幅を利かせ,50代以降では老親の介護という理由での転居が増えてきます。データは実に正直です。
ジェンダーの差も出ており,働き盛りの男性では「転勤」,女性では「家族の仕事の都合」が幅を利かせています。先に指摘しましたが,男性と女性の一番の違いはココです。
昔は,妻が夫の転勤についていくのは致し方ないことと諦められていましたが,今ではさにあらず。夫婦とも正社員の共働き家庭も多くなっており,「なぜ妻が辞めないといけないのか」という声も強くなっています。夫の転勤のたびに,これまで築いてきたキャリアや人間関係をリセットされ,どんどん無力化(奴隷化)されていく「転妻」の問題もクローズアップされるようになってきました。
「家族の仕事の都合」という理由での転居者の実数にすると,男女の差がインパクトあるものになります。最初の表によると,40代前半では男性が6700人,女性が3万4700人でした。以下のグラフは,5歳刻みの数の年齢カーブです。
男性より女性で圧倒的に多いことが知られます。女性の全年齢を合算すると,およそ29万人です(男性は約8万人)。これだけの女性が,家族の仕事の都合(≒夫の転勤に付いて行く)という理由で,転居をしているわけです。
ピークは,20代後半から30代です。ちょうど結婚期と重なっています。一緒になった相手の転勤により,仕事を辞めないといけないのではないかと,気が気でない女性も少なくないでしょう。昔と違い,離職の損失が大きい正規雇用の職に就いている女性も多くなっています。もしかすると,未婚化の遠因はこういう所にもあるのかもしれません。
こういうことで女性の労働力が失われるのはマズイという認識からか,地域間で人材を融通し合っている業界もあるようです。たとえば地銀で,転居前に銀行に勤めていた人が,転居先でも同種の仕事で働けるよう,人材のデータベースを作っているとのこと。
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/01/0123.html
ただ,転勤命令は場合によってはパワハラに当たる,という議論もあるようです。当人の家庭状況も考慮する必要がある,ということです。米国では,夫婦が同じ寝室で寝なくなったら夫婦関係の破たんを意味する,という考えから,著名な研究者を大学が引き抜く際は,配偶者のポストも用意しないといけないのだそうです。
日本では,こんな話はまず聞きません。,家族の仕事の都合(≒夫の転勤に付いて行く)という理由で転居する女性は,年間およそ29万人。この数字の重みが伝わってきます。公共の福祉に反しない限り,国民は転居の自由を有すると憲法22条で規定されてますが,それを無慈悲に強いるのも,公共の福祉に反するといえるでしょう。
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まあ私は,「転居の自由」をプラスの意味合いで行使させてもらっています。気が移ろいやすく,一つの所に留まっていられない性分です。昨年の春に越してきたばかりですが,上述のように「また転居しようかな」という風が吹き始めています。
42歳になり,そろそろ独り身に疲れてきて,ペットを飼育しようかと思うのです。夕刻のウォーキングでいつも会うおじさんが連れている,ミニチュアダックスフンドの子犬にベタぼれし,飼いたいなあと思いました。
今住んでいるアパートはペットは不可。今度,大家さんと顔を合わせた時,「小型犬を一匹いいですかね」と,さりげなく聞いてみようかと思いますが,多分ダメでしょう。しからば,転居をしないといけない。
横須賀を離れるつもりはなく,同市内で今の部屋と同じくらいの家賃で,ペット可の物件を探してみたら,結構あるじゃありませんか。
飼う犬は,ミニチュアよりも更に小型のカニンヘンダックスがいいかな。ブリーダーのページを眺める日が続いています。
https://kaninchen-dachshund.min-breeder.com/
ネットで調べてみたら,年間の飼育費用のトータルは25万円ほど。今の稼ぎを,1か月あたり2万円増やせばいいだけです。これくらいなら,難しくはありません。今連載しているメディアの記事掲載頻度を増やす,有料「note」を始める,不本意ですがブログのマネタイズを始めるなど,いろいろ手はあります。
どうなるか分かりませんが,来年は,私にとって初の「同居者(犬)」ができる年になるかもしれません。