2011年9月29日木曜日

1,750市区町村の失業率

 失業率とは,働く意欲のある労働力人口のうち,職に就けていない者(完全失業者)がどれほどを占めるかを表す指標です。この失業率には,大きな地域格差があるものと思われます。

 47都道府県別の結果については,さまざまなところで公表されているようですが,それよりも下った市区町村単位の数字はあまり明らかにされていないようです。あるにしても,特定の県内のものだけというケースが多いように思います。ここでは,47都道府県内の全市区町村の失業率を一括して出した結果をご覧に入れましょう。自地域の失業率の水準が,全体の中のどの辺りに位置づくかを知るための資料として利用してくだされば,と存じます。

 総務省統計局『統計でみる市区町村のすがた2011』には,2005年における全国の1,750市区町村の労働力人口と完全失業者数が,一つの表にまとめて掲載されています(下記サイトの表F)。同年の『国勢調査』の数字です。必要な数字をエクセルにコピペし,割り算をして,各市区町村の失業率(%)を出しました。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001032195&cycode=0

 全国値は6.0%ですが,1,750市区町村の失業率を出すと,最低の0.0%から最高の19.4%まで,大きな開きが観察されました。下図は,1,750市区町村の失業率の度数分布をとったものです。市区と町村の組成が分かるようにしてあります。


 最も多いのは,5%台の階級です。この階級に,全体の26.6%(およそ4分の1)が収まっています。失業率が10%を超えるのは,72地域で,全体の4.1%に相当します。予想されることですが,失業率の高い地域のほとんどは,町村です。地域に就業機会が乏しいためと思われます。

 最も上の階級(15%以上)の含まれる地域の数は6です。上位3位は,福岡県・川崎町(19.4%),沖縄県・嘉手納町(17.5%),沖縄県・本部町(15.6%),です。失業率が最高の川崎町では,働く意欲のある労働人口のうち,およそ2割が職を得ていないことになります。19.4%といったら,全国値(6.0%)の3倍以上です。

 この地域の失業率を年齢層別に出し,全国水準と比較してみると,下表のようになります。


 川崎町では,10代後半の失業率が46.7%にも達しています。働く意欲がありつつも,職にありつける確率はおよそ半分ということです。若年層の失業率が高いのは全国的な傾向ですが,当該地域の絶対水準の高さには目を見張るものがあります。

 全国値との差が比較的大きいのは,40代後半から50代前半の中高年層であるようです。4倍を超えています。また,川崎町では高齢層の失業率が高いことも目を引きます。この地域では高齢化が進んでいることを考えると,高齢層の失業率の高さが,地域全体の失業率の高さとなって表れているのかもしれません。

 失業率が10%を超えたら一大事だなどとよくいわれますが,この水準に既に達している地域がいくつかあることを知りました。まあ,これらの地域はすべて農村的な性格を持っている地域ですので,地域内での相互扶助なども,比較的うまく機能すると思われます。

 怖いのは,人間関係が希薄で,こうした機能が期待できない都市的な地域において,失業率が高まることです。都市的な地域のデータだけを使って,失業率と自殺率の相関をとったら,クリアーな正の相関が出てくるかもしれません。最近は,自殺率についても,細かい市区町村別の数字が得られるようです。手がけてみたい分析課題です。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/kyouka_basic_data/h21/chiiki.html

2011年9月27日火曜日

県別の発達障害児出現率

 前回は,小・中学生のうち,発達障害児がどれほどいるかを推計しました。結果は,小学生は16万4千人,中学生は5万4千人ほどでした。全児童・生徒あたりの出現率にすると,2.1%ほどです。今回は,都道府県別の推計値を出してみようと思います。

 推計に用いる基礎資料は,2010年の文科省『全国学力・学習状況調査』の結果です。この調査では,調査対象校に対し,発達障害の兆候のある児童・生徒の数を尋ねています。下記のサイトから,公立学校の回答分布を47都道府県について知ることができます。
http://www.nier.go.jp/10chousakekkahoukoku/06todoufuken_chousakekka_shiryou.htm

 東京都を例に,発達障害児の数の推計手続きを説明しましょう。下の表をご覧ください。


 東京都の場合,調査対象となった公立小学校の38.4%が,発達障害の兆候のある児童の数を「1~5人」と回答しています。2010年5月1日時点の公立小学校の数は1,311校ですから,この階級に含まれる学校の実数は,1,311×0.384=503校と推計されます。このようにして,各階級に含まれる学校の数を推し量ったのが,表の左欄です。

 階級値の考え方を使って,「1~5人」という回答は3人,「6~10人」という回答は8人,「11~20人」という回答は15人,「21~40人」という回答は30人,「41~60人」という回答は50人,とみなすことにします。このような仮定をおくと,発達障害児の数を推し量ることが可能です。小学校の場合,次のようになります。

 (3人×503校)+(8人×312校)+(15人×230校)+(30人×126校)+(50人×22校)=12,335人

 中学校は,3,744人と推計されます。このやり方で,47都道府県の発達障害児の数を推計してみました。結果は,下表の左欄です。右欄は,全体の児童・生徒数で除した出現率(%)です。


 まず,小・中学生をひっくるめた出現率(右端)をみると,最も高いのは滋賀で4.7%です。最も低いのは埼玉で1.1%です。前者は後者の4倍を超えています。前回みたように,全国値は2.1%ですが,この値は県によってかなり異なることが知られます。

 なお,小学生の出現率と中学生の出現率はかなり相関しています。相関係数は0.869です。出現率の地域差に偶然の要素が多く入り込んでいるならば,両者の相関は強くならないはずですが,そうではないようです。小学生の出現率が高い(低い)地域では,中学生のそれも高い(低い)傾向にあります。地域的な要因の関与がうかがわれます。

 高率地域の分布を明らかにしてみましょう。下図は,右端の小・中学生の出現率に依拠して,47都道府県を塗り分けたものです。


 4%を超えるのは,滋賀,京都,鳥取です。3%台の準高率地域の分布も勘案すると,近畿から中国の諸県で,発達障害児の出現率が高いことが知られます。これらの県の教員は,発達障害児の存在に敏感で,自校に在籍する発達障害児の数を多く回答した,ということでしょうか。

 発達障害の要因については,医学的な議論が主で,社会的な面での要因はまったく考究されていないようです。発達障害児は,どのような環境でも等しい確率で生まれ得る。よって,発達障害の社会学という学問の存在意義はない,といわれてしまうでしょうか。

 しからば,上記のような出現率の地域差は何故に生じるのでしょう。やっぱり,構築主義的な見方でしか解釈できないかしらん・・・

 ひとまず,県別に発達障害児の出現率を出すと,上記の結果になったことを報告いたします。かなり乱暴な仮定を置いていますので,絶対量を正確に知るのには不適切でしょうが,各県の相対的な位置を知る手掛かりにはなるかと存じます。

 機会をみつけて,地域類型別(都市-農村)に発達障害児の出現率がどう違うかも明らかにしようと思っております。

2011年9月25日日曜日

発達障害児の数の推計

 障害のある子どもの教育は,現在では,特別支援教育と呼ばれています。文部科学省の定義によると,特別支援教育とは,「障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて,その一人一人の教育的ニーズを把握して,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するために,適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うもの」だそうです。

 この特別支援教育の主な場は,視覚障害や肢体不自由などのハンディを負った子どもを受け入れる特別支援学校です。軽度の障害のある子どもは,通常の学校に設けられている特別支援学級で学ぶこととされています。

 しかるに,通常の学校の通常学級にも,特別な支援を要する子どもが在籍しています。いわゆる,発達障害のある子どもたちです。よく知られたものとして,学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD),および高機能自閉症があります。新たに誕生した特別支援教育では,この種の発達障害を抱えた子どもたちに対しても,各人のニーズに応じた,特別な支援を行うこととされています。

 はて,通常の学校の児童・生徒のうち,発達障害の兆候のある者はどれほどいるのでしょうか。2002年に,文科省の研究会が行った実態調査によると,全国の公立小・中学生のうち,「知的発達に遅れはないものの,学習面や行動面で著しい困難を持っている」と判断される子どもは,6.3%いるそうです。調査対象校の児童・生徒を,担任教師が判断した結果によります。6.3%といえば,およそ16人に1人です。だいたい,1学級に1~2人ほど,発達障害のある子どもがいることになります。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301i.htm

 これは2002年の調査結果ですが,最近の統計調査の数字を使って推し量ってみると,どういう数字が出てくるでしょうか。文科省の『全国学力・学習状況調査』では,調査の対象となった学校に対し,「通常学級に在籍している児童・生徒のうち,発達障害により学習上や生活上で困難を抱えている」児童・生徒の数を尋ねています。最新の2010年調査の回答分布は,下表の左欄のようです。


 小,中学校とも,「1~5人」という回答が最多です。でも,41人以上いると答えた学校も,わずかながら存在します。この回答分布から,各階級に含まれる学校の数を推し量ることができます。2010年5月1日時点の小学校の数は22,000校です(文科省『学校基本調査』)。よって,発達障害児の数が「1~5人」と答えた小学校の数は,この数字に0.421を乗じて,9,262校と算出されます。同じようにして,それぞれの階級に含まれる学校の実数を出したのが,表の右欄です。

 発達障害児の数に依拠した,学校単位の度数分布が明らかになりました。この結果を使って,発達障害児の頭数を推計することを試みてみましょう。下の表をご覧ください。


 階級値の考え方に依拠して,各階級の発達障害児の数を一つの数字で代表させてしまいます。「1~5人」の階級の学校には,中間をとって,一律に3人の発達障害児が在籍しているものとみなします。「6~10人」の階級に含まれる学校は,一律に8人の発達障害児が在籍している学校であるとみなします。以下,同様です。このような仮定をおくと,発達障害児の数を計算することが可能です。小学校の場合,以下のようになります。

 (0人×4,356校)+(3人×9,262校)+…(80人×88校)=164,384人です。

 同じようにして,中学校の発達障害児の数を割り出すと,54,076人となります。合算すると,218,460人です。2010年5月1日時点の小・中学生数に占める比率は,2.1%です。2002年の全国調査の結果(6.3%)のちょうど3分の1になりました。なお,小学校と中学校で分けて出すと,小学校の出現率は2.4%,中学校は1.5%です。

 うーん。やっぱり,幅のある階級を中間の階級値に置き換えるという操作が乱暴すぎたかなあ。ひとまず,最新の公的調査の数字を,一応の統計的手続きに基づいて加工した結果,2.1%という数字が出てきたことを報告いたします。およそ48人に1人です。

 まあ,問題のある推計方法ではありますが,推計のやり方を一度定式化しておくと,いろいろな可能性が開けてきます。文科省の『全国学力・学習状況調査』の結果から,学校の種別(国,公,私)や都道府県別に,発達障害児の出現率を出すことも可能です。また,過去の調査結果を加味することで,時系列の変化も観察することができます。

 次回は,そうした応用作業の第一歩として,発達障害児の出現率を都道府県別に明らかにしてみようと思います。

2011年9月23日金曜日

労働者の離職理由

 「5人以上の常用労働者を雇用する民営,公営及び国営の事業所」を対象とする,厚労省の『雇用動向調査』によると,2009年中に離職した労働者の数は,およそ686万人です(定年は除く)。この数は,1991年では544万人ほどでした。90年代以降,定年以外の理由による離職者が増えていることが知られます。

 はて,どのような理由による離職が増加しているのでしょうか。おそらく,経営不振による人員削減や,有期雇用による任期満了といった理由での離職が増えているものと思われます。1991年から2009年までの期間における,離職者の推移を理由別にみてみましょう。下図は,1993年の数字を100とした指数の推移です。「介護」という理由が1993年からカウントされていますので,同年の値を基準としています。


 増加の傾向が著しいのは,「契約期間満了」,「経営上の都合(リストラ)」,そして「介護」という理由による離職です。前二者は,2008年のリーマンショック以降,急増しています。2009年の指数値は200を超えています。

 2009年のデータでは,定年を含む離職者全体の離職理由のうち,「契約期間満了」が14.6%,「経営上の都合」が12.1%を占めています。合算すると26.7%です。1991年では,これら2つの理由のシェアは12.6%でした。

 「契約期間満了」と「経営上の都合」という理由による離職は,数の上でもシェアの上でも増えているようです。ところで,これらの理由の比重は,業種によって異なるでしょう。2009年の40産業について,これらの理由が離職理由全体に占める比率をとってみました。パートタイム労働者を除く一般労働者の数字であることを申し添えます。

 下図は,横軸に「契約期間満了」の比率,縦軸に「経営上の都合」の比率をとった座標上に,40の産業をプロットしたものです。点線は,40産業の平均値を意味します。


 電子部品製造業では,全体の6割が,「経営上の理由(リストラ)」という理由で占められています。製造業では,リストラという理由の比重が高いようです。なお,非鉄金属製造業では,双方の理由の比重が高く,全体の71.7%がこれら2つで占められています。

 次に,「契約期間満了」という理由の比重が高い,図の右下に目を移すと,教育・学習支援業がこのゾーンに位置しています。この業種では,リストラの比重は低いのですが,「契約期間満了」という理由の比重は高いようです。離職理由に占める比率は33.5%で,平均水準を大きく上回ります。40産業の中で4位です。

 少子化に苦しむ教育産業では,教員を有期雇用で雇うケースが増えています。大学などは,その典型です。専任教員を雇うにしても,3~5年の任期をつけるのはザラです。京都精華大学では,非正規雇用の教員は3年以上雇わないというルールがあるようで,組合側がこれに激しく反発している模様です。
http://d.hatena.ne.jp/soco-soco/

 モノではなく,生身の人間を相手にする教育産業において,有期雇用がはびこっている度合いが高いのですねえ。生徒や学生との長期的な人間関係を築けたものではありません。終身雇用制ないしは長期雇用を盲目的に支持するのではありませんが,心境複雑です。

2011年9月21日水曜日

労働時間と給与

 今週から,後期の授業が始まりました。後期は,某大学の教職課程で,「教育社会学」を担当します。初回の昨日は,教育の社会的機能についてお話しました。

 簡単にいえば,教育が社会の中で果たしている役割のことです。それにはいろいろあるのですが,主なものとして,選抜・配分機能というものがあります。社会には,威信や収入を異にする無数の地位(職業)があります。教育の役割は,社会への新参者(子ども)を,合理的なプロセスを経て,それらの地位に配分することです。

 学校がなかった時代では,世の中の各種の地位への配分は,もっぱら世襲や人脈(コネ)によってなされていました。しかし,近代以降では,学校における競争という,合理的で公平な手段がそれに取って代わっています。もっとも,学校での競争とて,完全に公平であるのではないのですが。

 毎年のことですが,このような話をすると,学生さんは怪訝な顔をします。とくに,「社会には,威信や収入を異にする無数の地位(職業)がある」というテーゼが気にいらないようです。以前,リアクションペーパーを出してもらったところ,「職業に貴賎はありません!!!」とデカデカと書かれたことがあります。感嘆符3個入りです。よほど頭にきたのでしょう。

 確かに,理念の上ではそうでしょう。しかし,得るこのとできる収入や威信が職業によって異なることは,数字によって客観的に表現することができます。前者は年収(月収)の額で測ることができますし,後者にしても,職業威信スコアという尺度が開発されています。

 このような弁明を行ったところ,授業後に,「職業に貴賎はありません!!!」と書いた張本人が名乗り出てきました。気丈そうな女子学生です。

 「職業で収入の差があるのは分かりますが,そのこと自体がおかしいのではないですか?程度の問題ですが,なるべく平等であるべきではないですか?収入が高い職業と低い職業では何が違うのですか?」などと,機関銃のようにまくし立ててきます。
 
 最後の質問ですが,収入の職業差というのは,いったいどういう要因によるのでしょう。「あなたは,どう思いますか」と問い返したところ,「分かりませんが,私としては,働く時間の長さで収入は決められるべきだと思います」という答えでした。微塵のためらいもない,即答です。

 そうですねえ。働く時間が長い者ほど多くの汗をかいているわけですから,高いお給料を得て然るべきかもしれません。現実はどうなっているのでしょう。興味を覚えたので,厚労省の『賃金構造基本統計調査』にあたってみました。当該の資料には,常用の男女一般労働者の就労時間と給与額が,職業別に記載されています。最新の2010年調査から,129の職種の数字をハントしました。月あたりの平均値です。


 129の職業を,2変数のマトリックス上に位置づけてみると,上図のようです。点線は,129職業の平均値です。月あたりの労働時間は167時間,月給は30.9万円というのがフツーの水準です。

 分布の様相をみると,残念ながら,先の学生さんがいう理想郷のようにはなっていないようです。むしろ,労働時間が長いほど給与が低いという,負の相関がうっすらとみえます。

 給与のベスト5は,弁護士(95.6万円),航空機操縦士(90.0万円),医師(87.5万円),大学教授(67.2万円),公認会計士・税理士(59.7万円),です。弁護士をのぞいて,これらの職の労働時間はさして長いものではありません。

 それぞれの職業の給与水準は,職務の専門性の度合いや,なるまでに要する訓練投資額の多寡などによって規定されるのでしょう。大学の教員になるには,30~35歳頃まで,食えない無職期間を過ごさなくてはいけないわけです。大学教員は儲かるといわれますが,若いころの無職期間の長さを勘案すると,生涯所得はそれほど多くはない,という見方もあります。

 ひとまず,先の学生さんには,このような趣旨の説明をしました。また,空想主義社会主義の世界でもあるまいし,すべての人間の給与が同じなんて,あまりにもつまらないではないか。世の中には,威信や収入を異にする地位がひしめいていてよい。しかし,それらの地位への配分の仕方は,できるだけ公平でなければならない。それが教育の役目だ。このように述べました。

 竹を割ったような性格の子で,あっさりと考えを変えてくれました。通すところは通す,折れるところは折れる。とてもバランスのとれた人です。教員志望だそうですが,採用試験の面接でも,おそらく好印象を与えることでしょう。

 今頃,どうしているかしらん。私は,火曜日の6限に出講しています。見かけたら,声をかけてください。

2011年9月19日月曜日

高齢人口率の分布

 今日は敬老の日です。字のごとく,高齢者に敬意を表するための祝日です。2010年の『国勢調査』の抽出速報結果によると,同年の調査時点において,65歳以上の高齢者が全人口に占める比率は22.9%です。およそ5人に1人が高齢者ということになります。

 今後,高齢者の比重はますます高まることが予想されています。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると,上記の比率は,2030年には31.8%,さらに20年後の2050年には39.6%になるそうです。

 2050年の日本社会は,成員のほぼ4割が高齢者ということになります。うーん,いったい,どういう社会なのでしょうか。間違いないのは,現在の社会とは,人々の暮らしようが相当異なるであろう,ということです。

 ところで,現在にあっても,地域によっては,既に高齢人口率が4割を超えているケースがあるでしょう。そういう地域を検出し,当該地域でどのような社会生活が営まれているかを知ることは,今後の日本社会の行く末を占うために,有益であると思います。ひとまず,高齢化が進んでいる地域の検出作業をしてみましょう。

 総務省統計局『統計でみる市区町村のすがた2011』から,2005年における全国1,748市区町村の高齢人口率を出すことが可能です。同年の『国勢調査』のデータです。計算してみると,最大値は53.4%,最小値は8.5%でした。これは両端ですが,高齢人口率の度数分布(5%区分)を描いてみると,下図のようです。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001032195&cycode=0


 最頻(Mode)階級は,20%台後半です。当然ですが,分布の下層部は市区,上層部は町村で多くを占められています。高齢化率が40%を超えるのは,46地域で,全体の2.6%に相当します。これらの地域では,今から40年後の日本社会の人口構成が,既に実現されているわけです。

 50%を超えるのは,4地域でした。名前を挙げると,群馬県・南牧村(53.4%),福島県・昭和村(52.4%),福島県・金山町(51.8%),高知県・大豊町(50.8%),です。

 高齢化率ナンバー1は,群馬県の南牧村です。同村の名前と「高齢化」というキーワードでググると,下記のサイトが一番上に出てきました。役場のサイト内にある,「高齢者能力活用センター」と題するページです。
http://www.nanmoku.ne.jp/modules/fukushi/index.php?content_id=14

 私が住んでいる多摩市のサイトには,この種のページはありませんでした。高齢化が著しく進行している地域の特徴でしょうか。

 超高齢化社会では,高齢者の知や技を積極的に活用できる制度の創出が求められます。文部科学省が導入している,団塊世代等の高齢者を学校の授業補助に活用する「教育サポーター制度」は,こうした試みの例といえましょう。
http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/koureisha/1286130.htm

 今から40年後の日本社会では,より多くの高齢者が就労していることでしょう。そのための制度条件の整備も求められます。ただ,高齢者がいつまでも居座ることで,若者の職が奪われるような事態は考えものなのですが…。

2011年9月18日日曜日

中高生の自殺の原因

 警察庁の統計によると,2010年の間に自殺した中学生は71人,高校生は208人であったそうです。中学生は男女ほぼ半々ですが,高校生では,男子が130人で62.5%を占めています。

 過去に比して増えているわけではないですが,前途ある若い命を自ら殺めるという行為は,何とも悲しく,もったいないことです。いったい,何が彼らを自殺へと突き動かすのでしょうか。

 警察庁『平成22年中における自殺の概要資料』には,自殺者の属性別に,自殺の原因が明らかにされています。各原因カテゴリーに該当する自殺者の数をカウントしたものです。1人の自殺原因が複数にわたることもあるので,総計は,自殺者の頭数よりも多くなることがあります。
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H22jisatsunogaiyou.pdf

 下図は,原因の大分類の構成を示したものです。中高生の特徴を検出するため,自殺者全体の原因構成と対比しています。


 自殺者全体では,健康に関わる原因が最も多くなっています。高齢者が多いためでしょう。また,経済・生活問題の原因のシェアが大きいことも目を引きます。生活苦によるものでしょう。最近,失業率が上がってきていますし。

 一方,中高生では,学校問題に関わる原因が多くを占めています。中学生は50.7%,高校生は38.9%です。中学生と高校生で細かく比べると,前者では家庭問題。後者では男女問題の比重が相対的に高いようです。親の叱責,失恋といったものでしょうか。

 上記の統計は,大雑把な原因大分類ですが,「学校問題」というカテゴリーに括られる原因が,具体的にどういうものかが気になります。そこで,もっと下った,原因小分類の表もみてみましょう。下の表は,各原因カテゴリーに相当する中高生の自殺者の数を示したものです。男子と女子に分けています。上位3位には,色をつけています。


 当然ですが,学校問題の部分に色が多くついています。その具体的な内容は,進路の悩み,学業不振といったものです。高校生では男女差もあり,男子では親子関係の不和,女子では病気といった原因も比較的多くなっています。

 しかし,メインの原因は,やはり進路や勉強に関する悩みなのですねえ。まあ私も,高校生の頃は,模擬試験の成績に一喜一憂し,とにかく国立大学に現役で入ることばかり考えていました。大学入試に失敗したら死ぬしかないかしらん,と考えていたりもしました,

 しかし,今から振り返ると,小さなことで悩んでいたものだ,と思います。倍の期間を生きた現在では,「失敗したら,また再トライすればよい。長い人生,1年や2年のロスくらい何だ」と思えるようになっています。

 若き頃の悩みというのは,後から振り返れば,小さなことに感じられることがほとんどです。しかし,人生経験の浅い中高生に,そのような大局的な視点を持て,というのは無理な注文でしょう。こういう時に,世代間の交流が効を発揮すると思います。

 また,学歴主義を相対視する本を読ませるとよいかもしれません。無目的に大学(院)に進学し,勉強しすぎるとこうなる…水月昭道さんの『高学歴ワーキングプア-フリーター生産工場としての大学院-』を,青少年読書感想文コンクールの課題図書にしてみてはどうかしらん。

2011年9月16日金曜日

気分障害患者の出現率

 現代は,「うつ」の時代であるといわれます。けだるく,何もやる気がおきない,「うつ病」を患う人間の数も増えているとか。管理化,孤独化が進行している現代社会において,この種の精神疾患を患う人間が増えていることに,違和感を抱かないのは,私だけではないでしょう。

 うつ病を患う人間は,数字でみると,どれほどいるのでしょうか。厚労省の『患者調査』は,医療機関に入院している患者数,ならびに外来の受療者数を,傷病の種類別に明らかにしています。うつ病は,傷病の分類カテゴリーの「気分障害」に属するようです。ひとまず,このカテゴリーの患者数を把握してみましょう。

 最新の2008年調査によると,同年の9月の調査日において,気分障害(躁うつ病を含む)で入院している患者はおよそ28,700人,外来での受療患者はおよそ80,100人だそうです(推計値)。合算すると,約10万9千人です。人口あたりの比率にすると,1万人あたり8.5人となります。 1,176人に1人です。

 なお,1996年の気分障害の患者数(入院+外来)は約6万人で,人口あたりの率は1万人あたり4.7人でした。気分障害(躁うつ病)患者の量的規模は,確実に増えているようです。

 ところで,気分障害患者は,どの年齢層で多いのでしょうか。私のみるところ,中高年層で多いような気がします。バリバリの働き盛りですが,「過労→うつ→自殺」というようなサイクルの存在も,よく指摘されるところです。

 1996年と2008年について,気分障害の患者数(入院+外来)を年齢層別に明らかにし,各層の人口で除した出現率を計算しました。15歳未満については,患者数がほぼ皆無ですので,計算は控えました。


 患者数を人口で除した出現率は,表の右端に掲げています。これによると,両年次とも,高齢層ほど出現率が高くなっています。退職による生きがい喪失や,配偶者との死別による孤立感などが大きいのでしょうか。

 ですが,1996年から2008年までの増加倍率という点でみると,若年層ほど大きいようです。私が属する35~44歳の層だと,この期間中に,気分障害患者の出現率が2.5倍(4.2→10.3)になっています。20~24歳では,増加倍率は3.2倍です。

 最近における増加率という点でいうと,働き盛りの年齢層において,よからぬ事態になっているようです。近年における職場環境の歪みについては,よく指摘されています。この点については,上記の年齢層別の統計を,男性と女性に分けてみると,よく分かります。


 2008年について,細かい5歳刻みの患者出現率を,性別に出してみました。この図によると,率のピークが男性と女性で違っていることが知られます。男性のピークは45~49歳,女性のそれは75~79歳です。職場に出て働くことの多い男性では,中年層において,気分障害(うつ病)患者が出る確率が最も高いのです。

 1996年では,男性も女性と同様,おおむね高齢層ほど気分障害の出現率が高い,という構造になっていました。上図のような,中年層に山がある型になったのは,最近のことです。

 気分障害(うつ病)は,高齢期における生きがい喪失や孤立感の問題であると同時に,職場環境の歪みに起因する問題としての性格も強めてきているようです。

 うつ病は,自殺の原因としてよく挙げられますが,近年の自殺率増加は,主に中高年の男性の自殺増によるものです。「過労or失業→うつ→自殺」という負のサイクルが,濃厚になってきていることがうかがえます。ワークシェアリングなどにより,このサイクルを断ち切る実践が強く求められるところです。

2011年9月14日水曜日

教員の勤務時間の国際比較

 本日の朝日新聞に,「日本の先生,働き過ぎ?事務作業長く OECD調査」と題する記事が載っていました。それによると,わが国の教員の勤務時間は国際的にみても長く,その多くは事務作業に食われているとのことです。
http://www.asahi.com/national/update/0913/TKY201109130560.html

 日本の教員の勤務時間が長いことは想像できますが,それは,事務作業の長さによるものなのですねえ。教員が己の専門的力量を発揮する場は,子どもに知識や技能を授ける「授業」であることを思うと,これはいかがなものか,という気がします。

 上記の記事が参照しているのは,OECDが毎年発刊している『Education at a Glance』の数字であると思われます。OECDのホームページで閲覧できる最新の資料は,2010年版のものです。この資料から,2008年の教員の勤務時間を,主な国について知ることができます。
http://www.oecd.org/document/52/0,3343,en_2649_39263238_45897844_1_1_1_1,00.html#d
 
 上記サイトの「IndicatorD4:How much time do teachers spend teaching?」という表には,OECD加盟国32か国について,教員の年間勤務時間と,そのうちの授業に費やした時間が掲載されています。小学校教員の場合,以下のようになっています。


 データが不備の箇所も目立ちますが,わが国のおおよその位置を知るには十分です。わが国の年間勤務時間は1,899時間で,OECD平均を大きく上回っています。アメリカに次いで高い水準です。その一方で,授業に費やした時間は,平均値を下回っています。わが国の場合,授業に充てた時間が総勤務時間に占める比率は37.3%です。となると,残りの約6割の時間は,授業とは別の事務作業などに費やされていることになります。冒頭の新聞記事がいうように,わが国の教員の勤務時間は,事務作業などによって押し上げられていることがうかがわれます。

 わが国と対極の位置にあるのが,スコットランドです。この国では,総勤務時間が短く(1,365時間),かつ,その62.6%が授業時間によって占められています。「教員の仕事は授業!」という割り切りが強いようです。スペインやポルトガルといった南欧諸国も,このタイプに近いようです。

 上表の統計をグラフにすると,各国の性格(タイプ)が把握しやすくなります。私は,総勤務時間と授業時間の両方が分かる16か国を,マトリックスの上に位置づけてみました。下図がそれです。横軸に総勤務時間,縦軸に授業時間をとったマトリックス上に,各国がプロットされています。点線は,OECDの平均値です。


 右下には,授業以外の時間(事務など)が総勤務時間に占める比重が比較的大きい国が位置します。日本は,このゾーンに位置しています。左上には,授業時間の比重が大きい国が位置します。先ほど触れた,スコットランドや南欧の2国が位置しています。左下は,総勤務時間も授業時間も短い,「ゆとり型」といえましょうか。右上は,その反対です。

 いかがでしょうか。北欧諸国の多くは,日本のように,授業以外の時間のウェイトが比較的高いようです。ハンガリーは,授業時間の比率が32.8%で,わが国よりも低くなっています。これらの国では,教員が授業以外に費やす時間というのは,どういうものなのかしらん。日本のように事務主体ではなく,地域活動などがメインだったりして…

 ひとまず,わが国の国際的な位置が明らかになりました。むろん,こうした状況認識は,当局も持っているところです。2008年7月に策定された教育振興基本計画は,「教員が,授業等により一人一人の子どもに向き合う環境をつくる」べく,「教職員配置の適正化や外部人材の活用,教育現場のICT化,事務の外部化等に総合的に取り組む」ことを明言しています。

 結構なことだと思います。私としては,日本の位置が,上図の左上ではなく,右下のほうにシフトしてほしいと思います。右上のアメリカ型に近づくことがありませんように。

2011年9月13日火曜日

配偶関係構成の国際比較②

 前回の続きです。今回は,ヨーロッパとアフリカ・オセアニア諸国について,男性人口の配偶関係構成がどのようなものかをみてみましょう。

 前回は,アジア諸国の統計をみたのですが,わが国の未婚者率の高さが目立っていました。しかし,もっと視界を広げると,上には上がいるかもしれません。各国の統計の出所は,総務省統計局の『世界の統計2011』です。下記サイトの表2-8より,各国の数字を採取し,エクセルでグラフ化しました。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm

 まずは,ヨーロッパの6か国のグラフをお見せします。最も上の年齢層は,「~歳以上」と読んでください。ロシアの場合は,最も高い年齢層は,「70歳以上」というようにまとめられています。他の国は,「80歳以上」です。


 全体的にみて,アジア諸国よりも,未婚者のシェアが大きくなっています。私と同年齢の30代後半について,未婚者の比率を出すと,イギリス:28.7%,イタリア:26.2%,スウェーデン:51.2%,ドイツ:29.5%,フランス:34.6%,ロシア:10.1%,です。スウェーデンとフランスは,2005年の日本(31.2%)よりも高くなっています。

 スウェーデンでは,30代後半でも,半分以上が未婚者です。では,この国では男女ともオクテで,カップルができないのかといえば,そうではありません。婚姻届を出さないで,同棲する形態が多いためです。婚外出生も多いと聞きます。

 同棲を選択するカップルが多いのは,結婚に踏み切る前にお互いのことを試そうという意図からでしょう。でも,結婚が決定的に重要な意味を持っているわけではなく,離婚も頻繁に行われているようです。同国では,未婚者と同時に,死離別者のシェアも大きくなっています。アメリカ以上です。

 北欧は,高齢者にとって住み心地のよい社会であると同時に,私のような(不適応)人間に対しても寛容であるのだなあ。なお,カトリックのイタリアでは,離婚は容易ではないらしく,死離別者の比重が小さくなっています。

 次に,アフリカのエジプトと,オセアニアのオーストラリアのグラフを提示します。『世界の統計2011』には,これらの国の数字しか載っていませんでした。


 エジプトでは,20代までは未婚者の率が高いのですが,30代になるとそれが激減します。30代後半の未婚者率は,たったの5.7%です。イスラムのエジプトでは,離婚は容易ではないらしく,死別者の比率がとても低くなっています。30代後半では,0.8%です。つまり,この年齢層のおよそ95%が有配偶ということになります。スウェーデンとは対照的に,「生き方規範」のようなものがあり,キツそうだなあ。右側のオーストラリアは,ヨーロッパ型に近くなっています。

 旅はいいものです。自分が置かれた状況を相対視することを可能にしてくれます。これからも,機会をみつけて,いろいろな視点(カメラ)を携えながら,各国めぐりをしようと思います。

2011年9月12日月曜日

配偶関係構成の国際比較①

 もう少し,世界の旅を続けましょう。今回と次回では,各国の人口の配偶関係構成がどうなっているかを見て回ろうと思います。現在のわが国では,30代の前半でも,およそ半分が未婚者ですが,他国ではどうなのでしょうか。

 総務省統計局『世界の統計2011』から,世界の16か国について,年齢層別の配偶関係構成を知ることができます。統計の年次が古い国もありますが,それには目をつぶることにしましょう。性別は,男性に限定します。下記サイトの表2-8から,各国の数字をハントし,エクセルでグラフをつくりました。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm#h2-08

 まずは,日本を含むアジアの5か国のグラフをお見せします。最も上の年齢層は,「~歳以上」と読み換えてください。たとえば,中国の場合,最も高い年齢層は「60歳以上」というように括られています。


 日本は,2005年の『国勢調査』の数字が載せられているようです。他の4国に比して,未婚者の青色の領分が大きいことが明白です。先述のように,30代前半でも,半分近くが未婚者です。30代前半の未婚者率を出すと,日本は47.1%,インドは8.2%,インドネシアは11.8%,韓国は28.1%,中国は7.2%,です。わが国の特異性が際立っています。

 次に,北米と南米の3か国のグラフをみてみましょう。アメリカ,カナダ,およびブラジルです。いずれも大国です。上記の資料には,各国の2000年のセンサスの数字が載っていました。


 わが国を除くアジア諸国に比べたら,未婚者(青色)のシェアが大きくなっています。アメリカでは,死離別者の比重が大きいことも注目されます。私と同年齢の30代後半だと,全体の12.4%がこのカテゴリーに属します。わが国では,わずか3.8%です。アメリカでは,離婚率が高いことによるものでしょう。

 私は35歳で未婚者ですが,30代後半の未婚率を上記の8か国について出すと,日本は31.2%,インドは3.5%,インドネシアは4.5%,韓国は10.6%,中国は5.7%,アメリカは17.9%,カナダは21.3%,ブラジルは12.5%,です。

 むーん。他国で暮らすとなると,私のような輩は,結構プレッシャーを被るだろうなあ。インドでは,わずか3.5%の中に入っています。でも,ヨーロッパ諸国の統計をみると,いくぶんか気持ちが和らぎます。それは,次回ということで。

2011年9月10日土曜日

労働力人口率の国際比較②

 前回の続きです。今回は,ヨーロッパとアフリカ・オセアニア諸国の労働力人口率年齢曲線をご覧に入れようと思います。

 労働力人口とは,働く意欲のある者のことです。就業者と,就業意欲がありながらも職に就けない完全失業者から構成されますが,ほとんどが前者であるとお考えください。労働力人口率年齢曲線とは,この労働力人口がベースの人口に占める比率を年齢層別に出し,各々のドットを結んでできる曲線のことです。資料源は,総務省統計局『世界の統計2011』です。下記サイトの表12-1から,各国の数字をハントし,グラフをつくりました。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/12.htm

 まずは,ヨーロッパの6か国の曲線をみてみましょう。グラフの右端の年齢層は,「~歳以上」と読んでください。ロシアの場合,最も高い年齢層は,「60歳以上」というように括られています。横の目盛線は,20%刻みで引いたものです。


 ヨーロッパは,女性の社会進出が進んでいるといいますが,多くの国において,労働力人口率の性差が小さくなっています。福祉国家といわれるスウェーデンでは,両性の曲線がかなり近接しています。女性において,わが国でみられるような子育て期の谷はありません。就業と育児を両立できるような制度条件が整っているものと思われます。

 なお,イギリスでは,10代の後半にして,労働力人口率が4割を超えています。同じ数字が2割にも満たないわが国とは,大きく違っています。複線型の中等教育の伝統が色濃いイギリスでは,高等教育まで進む若者がそれほど多くはない,ということでしょう。イギリスの18歳人口ベースの高等教育進学率は,2007年で25.5%と報告されています(文科省『平成23年版・教育指標の国際比較』,11頁)。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/kokusai/__icsFiles/afieldfile/2011/03/10/1302640_1_1.pdf

 次に,アフリカとオセアニアの4か国の図に目を転じましょう。アフリカでは,5歳刻みの緻密な曲線を描けるのは,エチオピアと南アフリカしかありませんでした。


 発展途上国型とでもいいましょうか,エチオピアの曲線は,これまでみてきた先進諸国の型とは大きく異なっています。わが国を含む先進諸国では,子ども期と高齢期の労働人口率が低い,台形型になっているケースが多いのですが,エチオピアはそうではなく,どの層でも一貫して率が高い,高原型になっています。

 男性でいうと,同国では,10代の子どもや65歳を超える高齢者でも,8割以上が労働力人口です。子どもや高齢者も,貴重な労働力ということでしょう。一方,同じアフリカでも,経済発展が進んでいる南アフリカでは,曲線の型は先進諸国に近くなっています。

 最後に,オセアニアの2国をみると,10代後半にして,およそ6割が労働力人口です。オーストラリアでは,わが国や韓国と同様,女性の子育て期の谷がうっすらと見受けられます。

 以上,世界の22か国について,労働力人口率年齢曲線を観察しました。やろうと思えば,自殺率や失業率のような,社会病理指標についても同じ作業ができます。WHOやILOのデータベースには,容易にアクセス可能です。

 この種の仕事を蓄積していけば,『統計による世界一周旅行』といった本ができるかも。私としては,各国の名所やおいしい料理の写真を載せた本よりも,各国の実情をビジュアルに伝えてくれる統計グラフを集めた本に魅力を感じてしまいます。やはり異常なのかしらん…

2011年9月9日金曜日

労働力人口率の国際比較①

 人口は,労働力人口と非労働力人口に大別されます。前者は,働く意欲のある者で,就業者と完全失業者から構成されます。対する後者は,働く意欲のない者で,主に学生と主婦(夫)から構成されます。

 労働力人口がベースの人口に占める比率を年齢層別に出し,各々を結んだ曲線を,労働力人口率年齢曲線と呼びます。わが国の場合,女性についてこの曲線を描くと,30代のあたりが凹んだ型になります。いわゆる,M字曲線です。子育て期に,いったん仕事から離れる女性が多いためです。

 今回と次回にかけて,世界の主な国について,この労働力人口率年齢曲線を描き,わが国の特徴を明らかにしてみようと存じます。ちょっとした世界旅行を楽しむ気分で,各国のグラフをご観覧ください。

 総務省統計局『世界の統計2011』から,世界各国について,年齢層別の労働力人口率の近況を知ることができます。具体的な出所は,下記サイトの表12-1です。この資料では,労働力人口を「経済活動人口」といっています。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/12.htm

 まずは,日本を含む,アジア6か国の曲線をご覧に入れましょう。年齢層の区分は5歳刻みにしています。最も高い年齢層は,「~以上」と読んでください。たとえば,わが国の場合,右端の「70~」とは「70歳以上」を意味します。横の目盛線は,20%刻みのものです。


 国によって,曲線の型が違っています。女性のM字曲線は,わが国のほか,韓国にも見受けられます。就業→子育て期にいったんリタイア→再び就業,というパターンです。シンガポールでは,女性の労働人口率は,30代以降,下降の一途をたどります。結婚して子どもができたら,女性はひたすら子育てに励む,ということでしょうか。シンガポールの受験競争の激しさはよく知られています。

 他に特記すべきは,イランにおいて,男女の差が大きいことです。同国では,女性の労働人口率は低く,最も高い20代後半でも23.6%です。イスラム国では,女性はあまり外には出ないといいます。ここには示しませんが,トルコも,イランと同じような図になっています。その一方で,ベトナムでは,男女の差が小さくなっています。この国では,女性も男性に劣らぬくらい働いています。

 次に,北米と南米の6か国の曲線をみてみましょう。北米はアメリカ,カナダ,メキシコの3国,南米はチリ,アルゼンチン,ブラジルの3国です。


 アメリカとカナダでは,女性の社会進出が進んでいるのか,男女の差が小さくなっています。日本や韓国のような,女性の子育て期の谷もありません。これに対し,中年米の4国では,労働人口率の男女差が大きいようです。

 あと一点,注目すべき点を挙げると,メキシコでは,70歳以上の高齢男性のほぼ4割が労働力人口であることです。高齢期における,曲線の右下がりの傾斜がゆるくなっています。発展途上国では,高齢者も貴重な労働力ということでしょうか。次回でみるエチオピアなどは,こうした傾向がもっと顕著です。

 次回は,ヨーロッパとアフリカ・オセアニア諸国の統計グラフをお見せいたします。

2011年9月7日水曜日

自殺者の男性比

 フーテンの寅さんではないですが,「男はつらいよ」を実感させる統計があります。自殺者に占める男性の比率です。日本社会には,男女が半々ほどいますので,両性とも等しい確率で自殺をするならば,自殺者の組成は,50%:50%(1:1)になるはずです。

 ですが,現実はそうではないことはよく知られています。最近発表された,2010年の厚労省『人口動態統計』の結果によると,2010年中の自殺者数は29,554人だったそうです。性別にみると,男性が21,028人,女性が8,526人です。男性が71.2%を占めています。

 当然,人口あたりの自殺率も,男性のほうが格段に高くなっています。下図は,性別の自殺率と,自殺者中の男性比の長期的な推移をとったものです。自殺率は,ベースの人口10万人あたりです。


 自殺率のカーブについては,よく知られたことですので,ここではコメントを添えません。自殺者に占める男性の比率(緑色の棒グラフ)に注視すると,戦前期はだいたい6割ほどで推移していました。しかし,戦争が終わって,高度経済成長期に入ると,男性比は減少し,1969年の55.5%まで低下します。この時期に,両性の自殺率がかなり接近していることも明らかです。

 自殺者中の男性比は,70年代半ばから上昇に転じ,80年代後半のバブル期に下降します。ですが,その後の90年代以降,男性比は大きく上昇します。90年では61.3%であったのが,2000年では71.6%まで増えます。10年間で,10ポイントの伸びです。

 わが国の自殺率は,90年代の後半にかけて激増しましたが,その増分の多くは,男性によって担われていました。この時期の自殺率の伸び幅が,両性で大きく異なることは,図からも明白です。

 以上は人口全体の傾向ですが,年齢層別にみるとどうでしょうか。2010年の統計でみると,自殺者中の男性比が最も高いのは,55~59歳で78.4%となっています。この年齢層では,自殺者のほぼ8割が男性です。私の年齢層(30代後半)だと,男性比は73.3%です。

 年齢層別の様相を,過去と比べてみましょう。私は,1950年以降の5年刻みで,自殺者の男性比を年齢層別に出し,その結果を上から俯瞰できる図をつくりました。下図がそれです。


 それぞれの年における,各年齢層の男性比の値に基づいて,色をつけています。これによると,1995年以降,20代後半から60代前半のゾーンが,紫色で染まっています。男性比が7割を超える,ということです。2005年の45~54歳では,8割を超えています(黒色)。

 働き盛りの年齢層では,自殺者の7割以上が男性ということです。こうした傾向は,最近になって出てきたものであることも知られます。不況による自殺者増がいわれますけれども,その多くは男性によるものなのですねえ。

 ジェンダー(Gender)とは,社会的・文化的につくられた性のことですが,「一家を養うべきは男性,責任を取るべきは男性」という役割規範も,一種のジェンダーでしょう。こうした(悪しき)規範の相対化を目指した,ジェンダー・フリーの取組も進展してほしいものです。

 昨年の12月に策定された,第3次・男女共同参画基本計画は,「2020年に指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度にする」という数値目標を掲げています。http://www.gender.go.jp/kihon-keikaku/3rd/index.html

 その伝でいうなら,「自殺者に占める男性の比率を55%程度にする」という目標も考えられたりして…。女性の自殺者を増やすのではなく,男性の自殺者を減らすことによってです。

 でも,自殺者の多くが男性であるというのは,わが国に限ったことではないようです。WHOの統計から,2005年の数字を引くと,自殺者中の男性比は,アメリカは79.4%,フランスは73.6%,ドイツは73.3%,イギリスは75.5%,です。同年のわが国の値(72.8%)を凌駕しています。
http://apps.who.int/whosis/database/mort/table1.cfm

 ジェンダー規範の相対化が,多面的な角度からもっと徹底されなければならないのは,わが国だけではないようです。

2011年9月5日月曜日

職業別の就業時間

 学校の教員の仕事は,キツイといわれます。過労による精神疾患の問題なども,よく取り沙汰されます。しかるに,世の中には,いろいろな職業があります。その中には,教員よりも大変な仕事だってあるでしょう。今回は,就業時間という観点から,学校教員を,全職業の中に位置づけてみようと思います。

 総務省の『国勢調査』は,就業者の1週間の就業時間を調査しています。一部の世帯のみを抽出した抽出詳細結果から,272の職業のデータを得ることが可能です。私は,週60時間以上就業した者の比率と,週間の就業時間の平均値を,それぞれの職業について調べました。2005年調査のもので,同年の9月24日から30日の1週間の数字です。出所は,下記サイトの表11です。常勤の男女雇用者のデータであることを申し添えます。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001015844&cycleCode=0&requestSender=search


 まずは,学校教員の数字を,全体の平均値や他の目ぼしい専門職と比較してみましょう。週60時間以上働いた,過労状態の者の比率は,小学校教員では10.6%です。この値は,全体の平均値と同じです。中学校では,23.7%と倍増します。放課後や休日における部活の指導などがあるのでしょう。右欄の平均週間就業時間でみても,教員の中では,中学校が最も長くなっています。

 ですが,中学校教員の値とて,医師や法曹といった専門職よりは小さくなっています。医師では,およそ4割の者が週に60時間以上働いています。昨今,医師不足の問題がよくいわれますが,さもありなんという感じです。

 学校教員の就業時間は,全体的な平均よりは長いようですが,上には上がいそうです。では,272の職業の全体図の中に,学校教員の値を位置づけてみましょう。下図は,横軸に週60時間以上就業者率,縦軸に平均週間就業時間をとった座標上に,272の職業をプロットしたものです。点線は,272の全職業の平均値です。


 座標の右上に位置する職業ほど,「キツイ」職業ということになります。そこには,先ほどみた医師のほか,理容師,飲食店主,および小売店主などが位置しています。雇われの小売店主としては,たとえば,コンビニやファーストフードチェーン店の店長さんなどが考えられます。

 さて,学校の教員はとえいば,幼稚園と小学校の教員は全体の分布のほぼ中央,中学・高校・大学の教員はそれよりもやや右上に位置しています。学校教員の就業時間は,平均的な水準よりも長いようですが,それを上回る職業がちらほらあるのも事実です。

 もっとも,仕事の「キツさ」というのは,就業時間だけで測れるものではありません。今回は,ある一面だけからの相対化をしたまでのことです。

2011年9月3日土曜日

単身無業の若年男性の1日

 前回の続編です。今回は,前回みたニートよりも,もっと「ぶっ飛んだ」暮らしをしている人間の1日をのぞいてみましょう。以下の条件をすべて満たす人種です。
 ①25~34歳 ②男性 ③単身(一人暮らし) ④無業

 25~34歳の男性といえば,バリバリの働き盛りです。にもかかわらず,無業で,かつ結婚もしていない。前回みたニートと違うのは,通学という理由による無業者(=学生)も含まれていることです。たとえば,大学院の学生も,若干,対象に含まれていることと思います。

 でも,もっと大きなポイントは,③にあるように「単身(一人暮らし)」ということです。前回みたニートは,未婚者ですが,親との同居者が多いと思われます。今回,スポットを当てるのは,実家を出て一人暮らしをしている単身者です。同居者がいない分,完全にタガが外れ,ハチャメチャな暮らしをしている輩もいるのではないでしょうか。

 ①から④の条件に合致する単身無業男性が,平日の各時間帯において,何をしているのかを調べました。資料は,2006年の総務省『社会生活基本調査』です。2006年の「10月14日から10月22日までの9日間のうち」の平日1日について,綿密な数字が載っています。下記サイトの表19です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001008022&cycode=0

 調査対象(サンプル)の数は,32人だそうです。前回みたニートにもまして,希少な人種です。下図は,各時間帯の主行動の組成図です。


 深夜の午前3時でも,対象者の半分以上が起きていて,テレビなどを観ています。一方,お昼の12時になっても,対象者の半分以上が寝ています。昼夜逆転の生活をしている者が,半分ほどいることがうかがわれます。

 学生も含まれているためか,「学業」という行動も,ちらほら分布しています。また,午後の時間帯において,お医者さんにかかっている者が若干いることも特徴です。心の病などを抱えた者もいることと思います。

 25~34歳の単身無業男性は,2006年の『社会生活基本調査』の標本の上では32人ですが,母集団中では,おおよそ8万人ほどと推計されています。同年の25~34歳の男性人口のおよそ0.9%に相当します。だいたい,111人に1人です。はて,多いのか少ないのか…

 実をいうと,私自身も,冒頭の①から④の条件をすべて満たしています。職業は,一応は大学非常勤講師ですが,授業がない今の時期は,完全に無業者状態です。まあ私は,テレビなどはあまり観ないので,上図のような過ごし方にはなりませんが,昼夜逆転の生活になることは,多々あります。

 やはり,単身(一人暮らし)だからかなあ。結婚すれば,変わるものなのかしらん。

2011年9月2日金曜日

ニートの1日

 8月22日と23日の記事では,10~14歳の子どもが,1日の各時間帯において,どのようなことをしているのかを明らかにしました。資料源は,2006年の総務省『社会生活基本調査』です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001008022&cycode=0

 ところで,同調査の結果から,いろいろな人間の1日の過ごし方を知ることができます。今回は,少し風変わりな暮らしをしている人種にスポットを当てたいと思います。私は,以下の諸条件を満たす人種について,1日の各時間帯の生活行動を明らかにしようと思いました。
 ①35歳未満 ②未婚 ③無業 ④無業の理由が通学でも家事でもない ⑤就業非希望

 「引きこもり」ですか,といわれるかも知れません。しかし,外部との人間関係を断っているわけではありませんので,それとは違います。世間的によく知られた概念に直すと,いわゆる「ニート」に近い人種と思われます。ニート(NEET=Not in Education,Employment or Training)とは,教育を受けておらず,職にも就いておらず,かといって職業訓練も受けていない若者のことです。このような状態にありつつも,就業を望んでいない(⑤),という点がポイントです。

 上記サイトの表16から,先の①から⑤の条件をすべて満たす人種について,1日の各時間帯の過ごし方を知ることができます。2006年の「10月14日から10月22日までの9日間のうち,連続する2日間」について調査したものだそうです。「2日間」とあるのは,曜日の種類を変えるためです。ここでは,平日のデータをみてみましょう。性別は男性に限定します。

 下図は,①~⑤のすべての条件に合致するニート男性について,調査日の各時間帯における主行動を,組成図で表したものです。「この時間帯では,何%の者が**をしている」と読んでください。ちなみに,サンプル数は92人だそうです。希少な人種であることがうかがわれます。


 平日ですが,朝の8時になっても,対象者の4割が眠っています。起床時間の遅さ,バラつきもさることながら,全体的にみて,「テレビ」,「休養」,「趣味・娯楽」といった行動の領分が大きいことが注目されます。

 「趣味・娯楽」の中には,いわゆるネットゲームも含まれると思われます。図をみると,深夜の時間帯でも,この種のことをやっている輩がいるようです。社会生活に支障を来たすまでにネットゲームにハマっている「ネトゲ廃人」でしょうか。

 少し違った面に着目すると,ボランティアや学習といった,ポジティブな行動をしている者もいます。昼間や午後の時間帯では,若干の者が「仕事(バイト)」をしています。

 まあ,大雑把にみれば,平日だというのに,1日中テレビを観たり,ゲームにハマったりしている「ロクでもない輩」という整理ができないこともありません。しかし,このように,浮世とはいささか乖離した生き方をしている人間に対し,私は若干の敬意を抱きます。

 作家の雨宮処凛さんは,17人のプレカリアート(新自由主義経済の中,不安定さを強いられる人々)の生き方を取材した書物を公刊されています(『プレカリアートの憂鬱』講談社,2009年)。このような人々は,格差社会の犠牲者としての「可哀そうな貧乏人」という描かれ方をされることが多いのですが,彼らの「逞しさ,発想の自由さ,トンデモなさ」にいつも驚かされる,とのことです(まえがき,5頁)。

 この本には,社会に復讐するためにマルクスにハマり,原書の読書会まで組織している人間が出てきますが,マルクスの原書を読むことは,上図でいうと,「学習」のカテゴリーに含まれるでしょう。また,プリンターの製造工場で派遣社員として1年間勤務した経験を映画にし,全国上映にまでこぎつけた青年も出てきますが,この種の映画製作は,上図のカテゴリーでは,「趣味・娯楽」として括られることでしょう。

 社会を変革するのは,いつの時代でも,「ぶっ飛んだ」人間です。上図のような生き方をしているのは,2006年の『社会生活基本調査』のサンプル(標本)の上では92人ですが,母集団の上では,およそ9万6千人ほどと見積もられています。同年の15~34歳の男性人口の約6%に相当します。

 若者17人に1人くらい,こういう,「ぶっ飛んだ」生き方をしている輩がいてもいいのではないか,と思ったりもします。総務省の『社会生活基本調査』は,5年に一度実施されます。今年(2011年)は,調査の実施年です。2011年では,今回みたようなニートがどれほどいるのか,また,どういう生き方をしているのか。まだ先のことですが,調査の結果が出るのを心待ちにしています。