5月は今日でおしまいでした。今月,私が把握した教員不祥事報道は31件です。
校長による部下の女性教員へのセクハラ。この手の事案が起きた場合,管理職を通じて教育委員会に報告がいくのですが,通報担当の校長が加害者だったので,発覚がだいぶ遅れたそうです。被害者はさぞつらい思いをしたことでしょう。外部の通報窓口を設ける時です。
コンビニで5年間,深夜バイトしていた中学校教員。まあよく,5年間もバレなかったものだと思います。知り合いに頼まれたのか,大きな借金でもこさえたのか,激務の合間をぬって深夜バイトしていたのですから,やむを得ない事情があったと推察します。
教員は安定していますが,給料と昇給のパターンがかっしり決まってますので,後々の稼ぎを正確に予測できちゃいます。多額の借金を抱えた場合,内緒でバイトするか,裕福な保護者に借金するか,はては財産犯に手を染めるしかない。それがはっきり分かってしまうのです。
「多寡が知れている」という言い回しがありますが,後々の自分の姿が見えてしまうって酷だなと思います。辛いのは,先行きが不透明なことではありません。むしろ逆で,5年後,10年後の自分の姿が分かってしまうことが辛いのです。
私みたいな風来坊は,5年後,10年後の姿なんて予測できないですね。一山あてて少しばかりビッグになっているかもしれないし,仕事を軒並み失って困窮状態になっているかもしれない。どっちに転ぶかは自分次第と,日々,研鑽に励んでいるつもりです。結構楽しくもあります。
明日から6月,暦の上では夏です。背景を紫陽花色にチェンジします。
<2020年5月の教員不祥事報道>
・女子高生に現金渡し、みだらな行為 市立中教諭を懲戒免職
(5/1,神奈川新聞,神奈川,中,男,33)
・わいせつ行為の33歳教諭懲戒免 県教委が処分2件
(5/2,毎日,神奈川,わいせつ:中男33,身体拘束:小女39)
・盗撮で県職員懲戒 体罰の男性教諭も処分(5/3,毎日,富山,中,男,59)
・仙台市の中学校教師を窃盗で再逮捕…4月に車パンクさせた容疑で逮捕
(5/7,仙台放送,中,男,56)
・男性教諭を停職6カ月 県教委、昨年12月の交通死亡事故で
(5/8,秋田魁新報,秋田,特,男,50代)
・男性教諭がSNSにコロナ休校喜ぶ投稿(5/9,徳島新聞,徳島,小,男,28)
・少女にホテルなどで2回みだらな行為 中学教師を「児童福祉法違反」疑いで再逮捕(5/11,長野放送,長野,中,男,43)
・「興奮してしまった」 小学校教諭がバス内で女性の胸触る
(5/12,神奈川新聞,神奈川,小,男,23)
・八戸の小学校教諭を体罰で処分(5/12,NHK,青森,小,男,29)
・元校長逮捕 部下にわいせつ疑い(5/12,NHK,滋賀,小,男,59)
・県外のゴルフ場に来た小学校教頭「金払うのがもったいない」、シャツを着て売店の外へ(5/14,読売,佐賀,小,男,56)
・勤務時間中に飲酒し人身事故 男性教諭、懲戒免職に
(5/15,神戸新聞,兵庫,特,男,42)
・別居中の妻子ら住む家に放火未遂、小学校教諭を逮捕
(5/16,読売,和歌山,小,男,32)
・「覚えていません」静岡市の中学校教師を逮捕 コンビニで商品15点万引きの疑い(5/17,テレビ静岡,静岡,中,男,49)
・中学校教諭が盗撮で停職処分(518,NHK,岩手,中,男,20代)
・コンビニで5年間深夜バイト 静岡市の公立中学校教師を減給処分
(5/19,テレビ静岡,静岡,中,男,50代)
・生徒にわいせつ行為 男性教諭2人懲戒免職
(5/20,NNN,香川,中男30,51)
・生徒暴行しけが 中学教諭を処分(5/21,毎日,宮城,中,男,48)
・横浜市立小教諭 生徒に性的発言で懲戒処分
(5/21,テレビ神奈川,神奈川,小,男)
・上越地方の小学校50代教諭 体罰繰り返し懲戒処分
(5/22,上越妙高タウン情報,小,男,50代)
・「お前はばかだ」高校教諭が同僚に暴言(5/22,琉球新報,沖縄,高,男,53)
・教員処分 女子生徒に不適切行為(5/22,NHK,宮崎,高,男,42)
・「下半身が病気やねん」路上で女児に自分の局部示す言動
(5/26,神戸新聞,小,男,31)
・姫路 体罰で小学校教諭減給処分(5/26,NHK,兵庫,小,男,59)
・「室内見る目的で」 ベランダに侵入した小学校教諭を逮捕
(5/27,神奈川新聞,神奈川,小,男,26)
・盗撮の小学教諭、停職3カ月処分 県教委(5/27,毎日,岐阜,小,男,59)
・女子高生にカラオケ店でキスしたり体触ったり 男性教諭を懲戒免職
(5/27,京都新聞,滋賀,高,男)
・20代の教諭、女子生徒に裸の写真送らせる 50代教諭は生徒に抱擁、キス繰り返す(5/29,神戸新聞,兵庫,中,男)
・交通死亡事故で教頭を懲戒処分(5/29,毎日,秋田,中,女,50代)
・女性に睡眠薬を飲ませて…中高一貫校の副校長を逮捕
(5/29,北海道放送,北海道,中等,男)
・私立高校教員の男を逮捕 10代男性にみだらな行為をした疑い
(5/31,鹿児島テレビ,宮崎,高,男,44)
2020年5月31日日曜日
2020年5月30日土曜日
コロナショックの可視化
4月の『労働力調査』の結果が公表されました。このページで,主な数値の月別時系列表をみることができます。
それをみると,コロナの傷跡がまざまざと表れています。それはニュースでも報じられていますが,ジェンダーの視点を絡めると「!」という状況が出てきます。それを淡々とご紹介しましょう。全体を見た後は,層別に見る。データ観察のイロハです。
まずは失業者数です。調査時点において,職探しをしている人をいいます。2018年1月から今年4月までの推移を描くと,以下のようになります。
今年になってから右上がりに急増しています。コロナの影響であるのは火を見るより明らかです。有期雇用の人は3月いっぱいで切られることが多いので,4月に増えるのは毎年のことですが,今年は群を抜いています。2019年4月の失業者は176万人でしたが,今年4月は189万人と,前年同月より13万人増です。
性別でみると,男性は15万人増ですが,女性は2万人減っています。働く必要に迫られる度合いは男性の方が強いでしょうが,女性の場合,休校で家にいる子どもの世話に忙しく,調査時に求職活動をしておらず,失業者として計上されてない人が結構いそうです。
次にオフィスで働く雇用労働者数をみると,前年4月は5959万人で,今年4月は5923万人で,36万人の減少となっています。コロナで失職した人たちでしょう。性別にばらすと,男性は3万人,女性は34万人の減少で,減少幅は女性のほうがずっと大きくなっています(四捨五入の関係上,両性の合算が全体に一致せず)。
女性の減少分が多いことの理由はお分かりですよね。そう,非正規雇用が多いからです。東京新聞でも報じられましたが,非正規雇用者は昨年4月で2116万人だったのが,今年4月では2019万人にまで減りました。97万人の減少で,1年間でここまで減ったのは史上初だそうです。減った97万人の性別内訳をみると,男性が26万人,女性が71万人で,女性の非正規雇用が大きく減ったことによります。飲食業やサービス業でパートとして働いていた人たちでしょう。コロナで最も打撃を被った業界です。
上記のデータを,表でまとめておきます。文章でくだくだ書いても,伝わにくいと思いますので。
注目は,働く女性の減少です。コロナで失職したのは女性,とりわけ女性の非正規雇用者であるのが知られます。にもかかわらず失業者が減じているのは,上述のように,休校で在宅している子どもの世話で手一杯で,求職活動ができなかった人が多いからと思われます。
まあ4月の年度初めに,非正規雇用者,とりわけ女性の非正規雇用者が大きく減るのは,毎年のことです。3月末で契約を切られますので。しかし今年はそれが激しいことは,以下のグラフから明瞭です。最初の失業者数と同じく,2018年1月からの月別推移です。
今年は,3月の1473万人から4月の1379万人と,たった1か月で100万人近くも減っています。コロナの影響であるのは明らかですが,男性より減少がずっと大きく,こういう時に女性にしわ寄せがいくのだなと感じます。
男性にあっては非正規雇用は非常に少ないですが,女性にあってはさにあらず。昨日,ツイッターで発信しましたが,働く女性の半分は非正規雇用です。何かあったら真っ先に切られる,不安定な働き方をしていると。
https://twitter.com/tmaita77/status/1266336107479719937
夫の扶養下で,家計の補助的な働き方をしている人だけじゃありません。非正規雇用で得られる収入で暮らしている人もおり,シングルマザーにはそういう人が多いとみられます。シングルマザーの多くは,飲食業やサービス業で(非正規で)働いていますが,コロナで失職した人も結構いるのではないでしょうか。
シングルマザーはただでさえ貧困状態だというのに(所得中央値は200万円ほど),その乏しい収入源をも断たれたらひとたまりもありません。1日1食という,食うにも困る極貧状態に直ちに陥ります。
そういう世帯にすれば,1世帯10万円の給付金など「焼け石に水」。公共料金免除,家賃の8割補助など,負担を除く政策も併行すべきです。
今日,横須賀市から10万円給付金の申請書が届きました。市の職員さんは,休日返上で発送作業に追われたことと思います(送り返される申請書の審査も大変)。しかし私としては,減税,公共料金減額,奨学金返済猶予のほうがずっとありがたい…。カネを配るよりも,負担を除く。これなら「スッキリ・カンタン」ですぐできるでしょう。
こういう面の救済も,考えてほしいと思います。生活の困窮度が高い人については,待ったなしです。
それをみると,コロナの傷跡がまざまざと表れています。それはニュースでも報じられていますが,ジェンダーの視点を絡めると「!」という状況が出てきます。それを淡々とご紹介しましょう。全体を見た後は,層別に見る。データ観察のイロハです。
まずは失業者数です。調査時点において,職探しをしている人をいいます。2018年1月から今年4月までの推移を描くと,以下のようになります。
今年になってから右上がりに急増しています。コロナの影響であるのは火を見るより明らかです。有期雇用の人は3月いっぱいで切られることが多いので,4月に増えるのは毎年のことですが,今年は群を抜いています。2019年4月の失業者は176万人でしたが,今年4月は189万人と,前年同月より13万人増です。
性別でみると,男性は15万人増ですが,女性は2万人減っています。働く必要に迫られる度合いは男性の方が強いでしょうが,女性の場合,休校で家にいる子どもの世話に忙しく,調査時に求職活動をしておらず,失業者として計上されてない人が結構いそうです。
次にオフィスで働く雇用労働者数をみると,前年4月は5959万人で,今年4月は5923万人で,36万人の減少となっています。コロナで失職した人たちでしょう。性別にばらすと,男性は3万人,女性は34万人の減少で,減少幅は女性のほうがずっと大きくなっています(四捨五入の関係上,両性の合算が全体に一致せず)。
女性の減少分が多いことの理由はお分かりですよね。そう,非正規雇用が多いからです。東京新聞でも報じられましたが,非正規雇用者は昨年4月で2116万人だったのが,今年4月では2019万人にまで減りました。97万人の減少で,1年間でここまで減ったのは史上初だそうです。減った97万人の性別内訳をみると,男性が26万人,女性が71万人で,女性の非正規雇用が大きく減ったことによります。飲食業やサービス業でパートとして働いていた人たちでしょう。コロナで最も打撃を被った業界です。
上記のデータを,表でまとめておきます。文章でくだくだ書いても,伝わにくいと思いますので。
注目は,働く女性の減少です。コロナで失職したのは女性,とりわけ女性の非正規雇用者であるのが知られます。にもかかわらず失業者が減じているのは,上述のように,休校で在宅している子どもの世話で手一杯で,求職活動ができなかった人が多いからと思われます。
まあ4月の年度初めに,非正規雇用者,とりわけ女性の非正規雇用者が大きく減るのは,毎年のことです。3月末で契約を切られますので。しかし今年はそれが激しいことは,以下のグラフから明瞭です。最初の失業者数と同じく,2018年1月からの月別推移です。
今年は,3月の1473万人から4月の1379万人と,たった1か月で100万人近くも減っています。コロナの影響であるのは明らかですが,男性より減少がずっと大きく,こういう時に女性にしわ寄せがいくのだなと感じます。
男性にあっては非正規雇用は非常に少ないですが,女性にあってはさにあらず。昨日,ツイッターで発信しましたが,働く女性の半分は非正規雇用です。何かあったら真っ先に切られる,不安定な働き方をしていると。
https://twitter.com/tmaita77/status/1266336107479719937
夫の扶養下で,家計の補助的な働き方をしている人だけじゃありません。非正規雇用で得られる収入で暮らしている人もおり,シングルマザーにはそういう人が多いとみられます。シングルマザーの多くは,飲食業やサービス業で(非正規で)働いていますが,コロナで失職した人も結構いるのではないでしょうか。
シングルマザーはただでさえ貧困状態だというのに(所得中央値は200万円ほど),その乏しい収入源をも断たれたらひとたまりもありません。1日1食という,食うにも困る極貧状態に直ちに陥ります。
そういう世帯にすれば,1世帯10万円の給付金など「焼け石に水」。公共料金免除,家賃の8割補助など,負担を除く政策も併行すべきです。
今日,横須賀市から10万円給付金の申請書が届きました。市の職員さんは,休日返上で発送作業に追われたことと思います(送り返される申請書の審査も大変)。しかし私としては,減税,公共料金減額,奨学金返済猶予のほうがずっとありがたい…。カネを配るよりも,負担を除く。これなら「スッキリ・カンタン」ですぐできるでしょう。
こういう面の救済も,考えてほしいと思います。生活の困窮度が高い人については,待ったなしです。
2020年5月27日水曜日
未婚男性の幸福度の低さ
プレジデント・ウーマンサイトに,男女平等と男性の幸福度に関する記事が出ています。インタビューの受け手は,立命館大学の筒井淳也教授です。
周知のとおり,日本の女性の社会進出レベルは低く,2019年のジェンダーギャップ指数は121位という有様。しからば,「上」に立っている男性の幸福度が高いかというとそうではなく,幸福度は女性のほうが高い。その要因は女性の幸福度が高いからではなく,男性の幸福度が際立って低いため。日本の男性は,「稼がないといけない」圧力に晒されているからではないか…。
話の趣旨はこんな感じです。男性は男性で,偏狭な役割規範に苦しんでいる。女性の社会進出を促すことは,男性のためでもある。筒井教授は最後にこう言われていますが,ごもっともだと思います。
ただ,幸福度の国際比較のデータと照らすと「?」と思うことがあるので,ここにて書かせていただきます。
幸福度の国際比較ができるデータとしては,『世界価値観調査』(2010~14年)と,ISSPの「家族と性役割の変化に関する調査」(2012年)があります。前者はサンプルが多いのですが,英仏といった主要国が対象から抜けていますので,後者を使いましょう。
この調査では,「今の生活を考えて,あなたはどれほど幸福だと思うか」と訊いています(Q24)。7段階で答えてもらう形式です。最も強い「Completely happy 」と「Very happy」の比率を拾ってみます。3番目の「Fairly happy」まで入れると国際差が見えにくくなるため,上記の2つを切り取ります(個票データの分析による)。
日本の25~54歳男女の回答をみると,男性は41.3%,女性は44.9%となっています。なるほど,女性の方が高いですが,大きな差ではないようです。国際比較の布置図を描くべく,男性の率を横軸,女性の率を縦軸により,調査対象の41か国を配置すると以下のごとし。
日本の男女の幸福度は,真ん中辺りですね。男性の幸福度が際立って低いわけではなく,「男性<女性」の性差が大きいのでもありません。
「別に問題ないじゃん,めでたしめでたし」と言いたいところですが,そうはいきません。一口に成人男性と言っても,一枚岩の存在ではなく,異なる生活条件で暮らす人の集合体です。たとえば仕事をして稼ぎがある人と,そうでない人では,肌身で感じる幸福度は違うでしょう。ジェンダーとの兼ね合いで注目されるのは,未婚者と有配偶者に分けた結果です。
パートナー(法律婚,事実婚)がいない人といる人に分け,上記の意味の幸福率を出してみると,日本の25~54歳男性では,前者が13.4%,後者が55.7%となります。未婚男性の幸福率がびっくりするほど低く,既婚者との差も大きくなっています。
この2つの群の幸福度を出し,国別のランキングにすると日本の特異性が際立ちます。
日本の位置をみると,既婚者は中の上ですが,未婚者は下から4番目となっています。どの国でも「未婚者<既婚者」ですが,こんなに差が大きいのは日本だけですね。
最初の図で,日本の男性の幸福度は中ほどであるのを知りましたが,これは既婚者に引きずられた結果のようです。未婚者に絞ったら惨憺たる有様。なお,ISSPのサンプルでは,日本の25~54歳男性の34.2%(3人に1人)が未婚者で,ネグリジブルスモールではありません。これは2012年の調査データですが,今では未婚者率がもっと増えているはずです。
上記のプレジデント記事では,日本の男性の幸福度が低い要因として,「稼がないといけない圧力」が言われていますが,不幸が未婚男性に集中していることを思うと,ちと違うかなという気がします。そういうプレッシャーは既婚男性のほうが強いはずですから。
女性のデータはどうでしょう。同じく未婚者と既婚者に分け,幸福率を出してみました。全部の国のデータを出すと煩瑣なんで,社会状況が近似した主要国に絞ります。
率が20%に満たないのは,日本と韓国の未婚男性,韓国の未婚女性となっています。儒教社会ゆえか,韓国では男女問わず未婚者への風当たりが強いのでしょうか。
性別とパートナー有無で分けた4グループでみて,未婚男性の幸福率が際立って低い,すなわち未婚男性に不幸が集中しているのは,日本の特徴です。繰り返しますが,「稼がないといけない圧力」ではないと感じます。
未婚という状態が不幸を直にもたらしているかというと,そうも断言できません。日本では,男性の結婚チャンスが収入に規定される度合いが高いので,不利な生活条件の人(低収入,低学歴…)の人が未婚にとどまる,ということかもしれないですね。
「未婚→不幸感」という因果経路を考えるなら,家庭という一次集団での情緒安定機能が得られないことがあるでしょう。それは男女とも同じで,女性も既婚者より未婚者の幸福度が低いのですが,差分(痛手)は男性のほうが大きくなっています。家事や身の回りの世話などを,妻に依存する度合いが高いためでしょう。夫の家事分担率が世界最低の日本ではなおのこと。妻と別れた男性の自殺率がべらぼうに高いことも,このことの証左です。
日本の男性は仕事一辺倒で家庭を顧みないといいますが,実は一番,家庭に依存しているといえるかもしれません。今後,未婚化(ソロ化)が進行するに伴い,日本の男性の幸福度はどんどん落ちていくこともあり得ます。
学校教育に関わる問題ですが,子ども期において,家政的社会化(domestic socialization)をしっかりする必要がありそうです。
未婚という状態が不幸を直にもたらしているかというと,そうも断言できません。日本では,男性の結婚チャンスが収入に規定される度合いが高いので,不利な生活条件の人(低収入,低学歴…)の人が未婚にとどまる,ということかもしれないですね。
「未婚→不幸感」という因果経路を考えるなら,家庭という一次集団での情緒安定機能が得られないことがあるでしょう。それは男女とも同じで,女性も既婚者より未婚者の幸福度が低いのですが,差分(痛手)は男性のほうが大きくなっています。家事や身の回りの世話などを,妻に依存する度合いが高いためでしょう。夫の家事分担率が世界最低の日本ではなおのこと。妻と別れた男性の自殺率がべらぼうに高いことも,このことの証左です。
日本の男性は仕事一辺倒で家庭を顧みないといいますが,実は一番,家庭に依存しているといえるかもしれません。今後,未婚化(ソロ化)が進行するに伴い,日本の男性の幸福度はどんどん落ちていくこともあり得ます。
学校教育に関わる問題ですが,子ども期において,家政的社会化(domestic socialization)をしっかりする必要がありそうです。
2020年5月23日土曜日
借家住まいの独居老人
私は賃貸暮らしですが,おそらく家を持つことはないと思います。お金がないのはもちろん,移ろいやすい性格ゆえ,居を固定する気にはなりません。
しかし,こう言われます。「今はいいけど,年をとったら賃貸は借りにくくなる」と。なるほど,そういうことはよく聞きます。家主にしても,独り身の老人が「貸してくれ」と言ってきたら,二の足を踏むでしょう。
孤独死されて,死体が長期間室内に放置されたら大変。夏場だったら,目も当てられない惨状になります。特殊清掃の費用はバカにならず,次の入居者に貸し出す際,家賃も大幅に下げないといけなくなります。その前に,室内をカラにして,次の人に貸し出せる状態にするのも一苦労です。借主が死んだからといって,室内の家財を勝手に処分するわけにはいかず,相続権のある親族を自力で探し当て,相続放棄の承認を得ないといけないそうです。
家賃滞納に業を煮やし,明け渡しの裁判に勝っても,歩くのもままならない老人を追い出すわけにもいきません。外に放り出したら生命の危険があると判断される場合,明け渡しの強制執行もできない。
老人には貸したくない。家主のこういう思いは,太田垣章子さんの『老後に住める家がない 明日は我が身の漂流老人』という本を読むと,痛いくらい分かります。
https://honto.jp/netstore/pd-book_30002343.html
しかし人口の高齢化が進んでますので,不動産屋の開き戸をガラガラと開けて入ってくるのは,白髪の老人であることが多いでしょう。未婚化も進んでいますので,独り身のケースも多し。借り手がつかないと商売になりませんので,招かれざる客であっても譲歩せざるを得ない…。
現実に,借家住まいの独居老人はどれほどいるのでしょう。2018年の『住宅土地統計』によると,世帯主が65歳以上の高齢世帯は1894万世帯となっています(主世帯に限る)。全世帯(5362万世帯)のおよそ3分の1が高齢世帯なんですね。高齢化社会の様が表れています。
この1894万の高齢者世帯を,単独世帯か否か,持家か借家か,という観点で4つに区分してみます。下図は,結果を面積図で表現したものです。『住宅土地統計』の統計表をもとに作成しました。
単独世帯が3分の1を占め(横軸),そのうちのこれまた3分の1が借家世帯となっています。借家住まいの単身老人世帯は214万世帯で,高齢世帯全体の11.3%です。
借家住まいの独居老人世帯は,高齢世帯全体の1割強,独居老人世帯の3分の1を占めることが分かります。何だかんだ言って,結構いるではないですか。独り身の老人の3人に1人が借家住まいです。2018年10月時点ではその数214万ですが,高齢化・未婚化の進行により,増えることはあっても減ることはないはずです。
サービスつきの高齢者住宅(サ高住)に住んでいる人は含まれるのか,という疑問があるでしょう。しかしここで分析しているのは主世帯(1住宅に1世帯の世帯)なので,サ高住の世帯は含まれないとみられます。借家住まいの独居老人世帯のうち,月家賃が分かる205万世帯の家賃分布をみると,96.5%が10万未満で,53.2%が4万未満となっています。このデータからも,家賃メチャ高のサ高住利用者は含まれていないとみるべきでしょう。世間のイメージ通り,安アパートに住んでいる独居老人がマジョリティであると思われます。
全国データでは,借家住まいの独居老人世帯は214万世帯で,高齢世帯に占める率は11.3%,独居老人世帯に占める率は33.6%と出ました。地域による違いもありますので,47都道府県別のデータもご覧に入れましょう。
地域差がお分かりかと思います。左端の実数が最も多いのは東京ですが,2つの相対比率は大阪が最も高くなっています。高齢世帯の2割弱,独居高齢世帯の半分近くに該当します。大阪では,独居老人の半分が借家住まいであると。
赤字は率が高い数値ですが,借家の単身老人は都市部で多いことが知られます。未婚化の度合いが高く,地価が高いので持家が簡単に手に入らないためです。地域の人間関係も希薄なので,誰にも発見されぬまま孤独死するリスクも高し。気をもんでいる家主は多いはずです。
県よりも下った区市レベルのデータも得られます。率が最も高い大阪にスポットを当てたいところですが,私は大阪には土地勘がないので,その次の東京内部の地域差をみてみます。下の表は,同じデータを都内23区別に計算したものです。
大都市23区では,借家住まいの独居老人が多いですね。高齢世帯全体に占める率が2割を超える区が多く,独居老人に占める率が半分を超える区が7つあります。北区では,独居老人の6割が借家住まいです。
ここまで多いとなると,行政としても,町内会や地域ボランティアを組織化して,定期的な見回りなどをしているのでしょうね。
以上,借家住まいの独居老人の量的規模を可視化してみました。老人は賃貸を借りにくい。世間はこう言われますが,データを紐解くと,現実には結構いることが知られます。大都市においては,むしろマジョリティです。
家主や不動産屋も,別居している子どもに定期的に様子見に来てもらう,管理会社に連絡を入れる,家主が近くに住んでいる場合,定期的に顔見せする,といった条件を出して貸しているのでしょう。安否確認が途絶えたら,鍵を開けて入ってもいい,という承認書も取っているかもしれません。
他にも,電気・ガス・水道といったライフラインの利用状況をみる,トイレのドアにセンサーを設置し,一定期間開閉がなかったら管理会社に連絡がいくようにするなど,安否確認(孤独死防止)の術はいろいろあります。ICTが進化していますので,それを精緻化するのは難しいことではありますまい。
借主が亡くなった後の家財の処分についても,家主の権限を強くしていいでしょう。家族関係が希薄化している中,借主の親族を探し当てるのも容易ではなくなっているのですから。
これから人口はどんどん減ってきます。毎年50万人の減少。私が住んでいる横須賀市より大きい都市の人口が,毎年ごっそり消えていきます。その一方で,ハコ(住宅)は残ります。空き家の増加は,このアンバランスの表れに他なりません。「老人には貸せません」なんて言ってられなくなります。
私は,老後の住居については楽観視しています。そこそこの住居をタダで借りられる,夢のような時代がくるのではないかという観測すら持っています。この辺のことは,前にニューズウィーク記事でも書いたところです。
しかし,こう言われます。「今はいいけど,年をとったら賃貸は借りにくくなる」と。なるほど,そういうことはよく聞きます。家主にしても,独り身の老人が「貸してくれ」と言ってきたら,二の足を踏むでしょう。
孤独死されて,死体が長期間室内に放置されたら大変。夏場だったら,目も当てられない惨状になります。特殊清掃の費用はバカにならず,次の入居者に貸し出す際,家賃も大幅に下げないといけなくなります。その前に,室内をカラにして,次の人に貸し出せる状態にするのも一苦労です。借主が死んだからといって,室内の家財を勝手に処分するわけにはいかず,相続権のある親族を自力で探し当て,相続放棄の承認を得ないといけないそうです。
家賃滞納に業を煮やし,明け渡しの裁判に勝っても,歩くのもままならない老人を追い出すわけにもいきません。外に放り出したら生命の危険があると判断される場合,明け渡しの強制執行もできない。
老人には貸したくない。家主のこういう思いは,太田垣章子さんの『老後に住める家がない 明日は我が身の漂流老人』という本を読むと,痛いくらい分かります。
https://honto.jp/netstore/pd-book_30002343.html
しかし人口の高齢化が進んでますので,不動産屋の開き戸をガラガラと開けて入ってくるのは,白髪の老人であることが多いでしょう。未婚化も進んでいますので,独り身のケースも多し。借り手がつかないと商売になりませんので,招かれざる客であっても譲歩せざるを得ない…。
現実に,借家住まいの独居老人はどれほどいるのでしょう。2018年の『住宅土地統計』によると,世帯主が65歳以上の高齢世帯は1894万世帯となっています(主世帯に限る)。全世帯(5362万世帯)のおよそ3分の1が高齢世帯なんですね。高齢化社会の様が表れています。
この1894万の高齢者世帯を,単独世帯か否か,持家か借家か,という観点で4つに区分してみます。下図は,結果を面積図で表現したものです。『住宅土地統計』の統計表をもとに作成しました。
単独世帯が3分の1を占め(横軸),そのうちのこれまた3分の1が借家世帯となっています。借家住まいの単身老人世帯は214万世帯で,高齢世帯全体の11.3%です。
借家住まいの独居老人世帯は,高齢世帯全体の1割強,独居老人世帯の3分の1を占めることが分かります。何だかんだ言って,結構いるではないですか。独り身の老人の3人に1人が借家住まいです。2018年10月時点ではその数214万ですが,高齢化・未婚化の進行により,増えることはあっても減ることはないはずです。
サービスつきの高齢者住宅(サ高住)に住んでいる人は含まれるのか,という疑問があるでしょう。しかしここで分析しているのは主世帯(1住宅に1世帯の世帯)なので,サ高住の世帯は含まれないとみられます。借家住まいの独居老人世帯のうち,月家賃が分かる205万世帯の家賃分布をみると,96.5%が10万未満で,53.2%が4万未満となっています。このデータからも,家賃メチャ高のサ高住利用者は含まれていないとみるべきでしょう。世間のイメージ通り,安アパートに住んでいる独居老人がマジョリティであると思われます。
全国データでは,借家住まいの独居老人世帯は214万世帯で,高齢世帯に占める率は11.3%,独居老人世帯に占める率は33.6%と出ました。地域による違いもありますので,47都道府県別のデータもご覧に入れましょう。
地域差がお分かりかと思います。左端の実数が最も多いのは東京ですが,2つの相対比率は大阪が最も高くなっています。高齢世帯の2割弱,独居高齢世帯の半分近くに該当します。大阪では,独居老人の半分が借家住まいであると。
赤字は率が高い数値ですが,借家の単身老人は都市部で多いことが知られます。未婚化の度合いが高く,地価が高いので持家が簡単に手に入らないためです。地域の人間関係も希薄なので,誰にも発見されぬまま孤独死するリスクも高し。気をもんでいる家主は多いはずです。
県よりも下った区市レベルのデータも得られます。率が最も高い大阪にスポットを当てたいところですが,私は大阪には土地勘がないので,その次の東京内部の地域差をみてみます。下の表は,同じデータを都内23区別に計算したものです。
大都市23区では,借家住まいの独居老人が多いですね。高齢世帯全体に占める率が2割を超える区が多く,独居老人に占める率が半分を超える区が7つあります。北区では,独居老人の6割が借家住まいです。
ここまで多いとなると,行政としても,町内会や地域ボランティアを組織化して,定期的な見回りなどをしているのでしょうね。
以上,借家住まいの独居老人の量的規模を可視化してみました。老人は賃貸を借りにくい。世間はこう言われますが,データを紐解くと,現実には結構いることが知られます。大都市においては,むしろマジョリティです。
家主や不動産屋も,別居している子どもに定期的に様子見に来てもらう,管理会社に連絡を入れる,家主が近くに住んでいる場合,定期的に顔見せする,といった条件を出して貸しているのでしょう。安否確認が途絶えたら,鍵を開けて入ってもいい,という承認書も取っているかもしれません。
他にも,電気・ガス・水道といったライフラインの利用状況をみる,トイレのドアにセンサーを設置し,一定期間開閉がなかったら管理会社に連絡がいくようにするなど,安否確認(孤独死防止)の術はいろいろあります。ICTが進化していますので,それを精緻化するのは難しいことではありますまい。
借主が亡くなった後の家財の処分についても,家主の権限を強くしていいでしょう。家族関係が希薄化している中,借主の親族を探し当てるのも容易ではなくなっているのですから。
これから人口はどんどん減ってきます。毎年50万人の減少。私が住んでいる横須賀市より大きい都市の人口が,毎年ごっそり消えていきます。その一方で,ハコ(住宅)は残ります。空き家の増加は,このアンバランスの表れに他なりません。「老人には貸せません」なんて言ってられなくなります。
私は,老後の住居については楽観視しています。そこそこの住居をタダで借りられる,夢のような時代がくるのではないかという観測すら持っています。この辺のことは,前にニューズウィーク記事でも書いたところです。
2020年5月19日火曜日
9月入学で,小学校教員採用試験倍率はどうなるか
コロナウィルスの影響で学校再開のめどが立たず,いっそ学期開始を9月にしたらどうかという案が出ています。そうなると,来年の新入生の入学も9月となります。
9月入学の場合,来年(2021)度の小学校入学者は2014年4月から2015年8月生まれとする,という案が示されています。4月入学なら2014年4月から2015年3月生まれですが,9月入学だと,5か月分プラスされるわけです。
当然,入学者は大幅に増えることになり,それに伴う施設や人員の不足が懸念されます。朝日新聞では,上記の案が実現した場合,来年の教員不足はどうなるか,教員採用試験の競争率はどうなるか,というシュミレート結果が報じられています。苅谷剛彦教授のグループの試算結果です。
なかなか怖い結果が示されていますが,計算の過程はブラックボックスです。私は独自のやり方で,類似の作業を手掛けてみました。計算の方法も詳しく記述します。東京都を例に,説明いたしましょう。
まず,厚労省『人口動態統計』から以下の数値を得ます。日本人の数値で,外国人は含みません。
2014年4月から2015年3月の出生数=11万2412人
2014年4月から2015年8月の出生数=16万444人
前者は4月,後者は9月入学の場合の,2021年度小学校入学者数です。9月入学にすると,差し引き4万8032人入学者が増えることになりますが,この全てが都内の公立小学校に入ってくるとは限りません。他県に出る家庭もあるでしょうし,東京の場合,国私立の小学校もネグリジブルスモールではありません。
ゆえに,いくらか割り引かないといけませんが,どうしたらいいでしょう。過去の経験事実を引くと,2012年4月から2013年3月の都内の出生数は10万8617人で,2019年5月1日時点の都内の公立小1年生児童数は9万8565人。前者に対する後者の比率は90.7%です。想定コーホートのうち,都内の公立小に入ってくるのは9割くらいのようです。
先ほどの4万8032人に,この比率(90.7%)をかけると4万3587人となります。これが,9月入学以降に伴う,都内の公立小入学者の推定増加数です。これにより,新たに教員が何人必要になるか。
公立小学校の1学級あたりの児童数分布をみると,最近では26~30人の階級が最多です。そうですねえ。1年生なんでちょっと少な目に見積もり,仮に1学級25人とすると,1743人の担任教員の需要が発生することになります。9月入学にシフトし,2014年4月から2015年8月(17か月)の出生児童を受け入れるとなると,東京では公立小学校の教員が新たに1743人必要となると。
同じやり方で,新規需要教員数を県別に出すと,以下のようになります。
入学者の増加幅が大きい都市部では,新規需要教員数が多くなります。東京,神奈川,大阪,愛知では1000人超えです。
上表に示された新規需要教員の半数を正規採用で賄うとすると,東京では872人採用を増やさないといけなくなります。2019年度の公立小学校の新規採用教員数(2103人)に,この数を足すと2975人。2019年度の公立小学校教員採用試験受験者(3822人)をこれで割ると,競争率は1.28倍となります。
9月入学とし,17か月の出生幅の児童を入学させるとなると,東京の公立小では教員採用を872人増やさねばならず,その結果,教員採用試験の倍率は1.28倍まで落ちてしまうと。突破率8割近くの,イージーな関門になっちゃいます。
同じやり方で,教員採用試験の推定競争率を県別に出すと以下のごとし。政令市の分は,当該市がある県の分に含めています。
色をつけているのは,2倍未満の県です。受験者の半数以上が通ってしまう。濃い色は1.5倍未満で,東京は1.28倍,最も低い新潟は1.00で,突破率ほぼ100%になってしまいます。朝日新聞記事でも言われていますが,「教員採用,希望者全入」です。
試験を受ける学生さんは諸手を上げて喜ぶでしょうが,採用側にすれば,教員の質の低下の懸念はぬぐえません。教職課程はFラン大にもあることから,学力レベルが同世代の中央値にも及ばない人が教壇に立つことにもなるでしょう。昨年,神戸の小学校で教員間いじめが発覚し,世間を震撼させましたが,こういう事案も増えてくるかもしれません。
ちなみに,朝日新聞で紹介されている苅谷教授らの推計では,もっと厳しい結果が示されています。特別な支援を要する児童,ないしは外国人などの存在も考慮し,必要教員数を上記よりも多く見積もっているのでしょうか。まあいずれにせよ,困った事態になることは,私のラフな試算でも明らかです。
人員面だけでなく,施設・設備面でも困難が生じるでしょう。苅谷教授が言われているように,「エビデンスを踏まえ,冷静な議論が必要である」と感じます。
大学入試共通テストの記述式導入もですが,必要となる条件整備が可能かもよく吟味せず,政治家の思い付きで突飛な改革案が出される傾向があることに,強い危機感を抱きます。条件整備が伴わない改革は,現場を混乱させるだけで,百害あって一利なしです。
2020年5月13日水曜日
同調圧力
自粛生活要請が段階的に解除されてきました。しかし,お店を営業したり,子どもを公園で遊ばせたりすると,「不謹慎だ」という自粛警察がすっ飛んできます。私にすれば,「することないんだろうな」っていう感想しか出てきません。
この国にうずまく不寛容の精神について,考えさせられるデータがありますので,ご紹介します。東アジアの5都市の母親に,「将来,子どもにどういう人になってほしいか」と尋ねた結果です。
ベネッセコーポレーションが2010年に実施した調査で,3~6歳の子がいる母親に対し,10の選択肢を提示して,その中から3つまでを選んでもらっています。
https://berd.benesse.jp/jisedai/research/detail1.php?id=3202
東京,ソウル,北京,上海,台北という5都市の母親の選択率をみると,どの都市でも「自分の家族を大切にする人」が最も高くなっています。東アジアの儒教スピリッツが出ていますね。その他をみると,日本の母親の選択率が段違いに高い項目が2つあります。グラフにするとインパクトがあります。
まずは「友人を大切にする人」。結構な人間像ですが,この項目に重きを置くって,日本の親の特徴なんですね。他国では1~2割弱ですが,日本の母親の71.6%がこれをチョイスしています。
友人を大切にする…。言い換えると,気の合わない人とも仲良くする,集団の和を乱さぬよう「空気」を読む,というふうにも読めます。こういう期待を真に受けた子どもが,いじめを受けつつも,必死に人間関係を維持しようとし,自分を追い詰めてしまうのかなあと思います。
2つ目は「他人に迷惑をかけない人」。これも正論に聞こえますが,誰しも,生きているだけで他人に迷惑をかけているのですよね。互いの迷惑(欲求充足)を処理することがすなわち仕事であって,それで社会は成り立っているのです。字の形をみると分かりますが,「人」は互いにもたれ合って生きる存在です。
日本人の親は「人様に迷惑をかけるな」と言いますが,インド人の親は「お前も迷惑をかけているんだから,他人からの迷惑も許せ」と説きます。人口大国,多文化共生の国ということもあってか,後者の考え方は真理を突いています。
私は上記のグラフをみて,「同調圧力」という言葉を思いつきました。学校に上がってからではなく,物心ついた時から,親によってこういう躾をされているのだと。為政者にとっては何とも扱いやすい国民が出来上がり,他人の些細な過ちをあげつらうのを生き甲斐とする「**警察」が蔓延るわけです。
「友人を大切にする」「他人に迷惑をかけない」。こういうことを頻繁に言い聞かされて育った子どもは,自尊心は低くなるでしょう。そんなのできっこなく,理想と現実のギャップの大きさに気づくばかりだからです。日本の子どもの自尊心が低いことの一因は,幼少期よりこうした同調圧力を受けているためかもしれません。
この国にうずまく不寛容の精神について,考えさせられるデータがありますので,ご紹介します。東アジアの5都市の母親に,「将来,子どもにどういう人になってほしいか」と尋ねた結果です。
ベネッセコーポレーションが2010年に実施した調査で,3~6歳の子がいる母親に対し,10の選択肢を提示して,その中から3つまでを選んでもらっています。
https://berd.benesse.jp/jisedai/research/detail1.php?id=3202
東京,ソウル,北京,上海,台北という5都市の母親の選択率をみると,どの都市でも「自分の家族を大切にする人」が最も高くなっています。東アジアの儒教スピリッツが出ていますね。その他をみると,日本の母親の選択率が段違いに高い項目が2つあります。グラフにするとインパクトがあります。
まずは「友人を大切にする人」。結構な人間像ですが,この項目に重きを置くって,日本の親の特徴なんですね。他国では1~2割弱ですが,日本の母親の71.6%がこれをチョイスしています。
友人を大切にする…。言い換えると,気の合わない人とも仲良くする,集団の和を乱さぬよう「空気」を読む,というふうにも読めます。こういう期待を真に受けた子どもが,いじめを受けつつも,必死に人間関係を維持しようとし,自分を追い詰めてしまうのかなあと思います。
2つ目は「他人に迷惑をかけない人」。これも正論に聞こえますが,誰しも,生きているだけで他人に迷惑をかけているのですよね。互いの迷惑(欲求充足)を処理することがすなわち仕事であって,それで社会は成り立っているのです。字の形をみると分かりますが,「人」は互いにもたれ合って生きる存在です。
日本人の親は「人様に迷惑をかけるな」と言いますが,インド人の親は「お前も迷惑をかけているんだから,他人からの迷惑も許せ」と説きます。人口大国,多文化共生の国ということもあってか,後者の考え方は真理を突いています。
私は上記のグラフをみて,「同調圧力」という言葉を思いつきました。学校に上がってからではなく,物心ついた時から,親によってこういう躾をされているのだと。為政者にとっては何とも扱いやすい国民が出来上がり,他人の些細な過ちをあげつらうのを生き甲斐とする「**警察」が蔓延るわけです。
「友人を大切にする」「他人に迷惑をかけない」。こういうことを頻繁に言い聞かされて育った子どもは,自尊心は低くなるでしょう。そんなのできっこなく,理想と現実のギャップの大きさに気づくばかりだからです。日本の子どもの自尊心が低いことの一因は,幼少期よりこうした同調圧力を受けているためかもしれません。
2020年5月11日月曜日
高学歴化レベルの国際比較
日本は教育大国といわれます。高校進学率が95%超,ほぼ全入になったのはだいぶ前ですが,今や大学進学率も50%超,同世代の半分です。
こうした教育の普及度をもって,教育大国といわれるのですが,他国はどうなのでしょう。進学率みたいな単純なデータは,白書に載っているだろと思われるかもしれないですが,進学率の国際比較って難しいのです。たとえば大学進学率の場合,何をもって大学とみなすかが,国によってまちまちです。日本でいう専門学校とかも,分子に入れてしまっている国もあります。
それに後述するように,大学に行くチャンスというのは,高校卒業時点(日本だと18歳時)に限定されるものではありません。この時点の進学率をもって,教育の普及度とみなすのは,どうかなと思います。
教育の普及度の指標としては,最高段階の大学教育が国民にどれほど行き渡っているかがよいでしょう。OECDの「Education at a Glance 2019」に,2018年の25~64歳人口の最終学歴分布が出ています(表A1-1)。以下の3つのいずれかを持っている人が,大卒以上の人ということになります。短大や専門学校といった,短期高等教育機関は含みません。
Bachelor's or equivalent
Master's or equivalent
Doctoral or equivalent
日本でいうと大学,大学院修士,同博士ですね。日本の25~64歳のうち,これらの学歴を有している人の率は30.7%となっています。国民の大卒学歴保有率です。若い世代に限定すればもっと高いでしょうが,64歳までを射程に入れるとこんなものでしょう。
OECD加盟国の数値を高い順に並べると,以下のようになります。
日本の30.7%は,37か国の中では真ん中辺りです。値がもっと高い国は多く,北欧のフィンランドは34.0%,お隣の韓国は35.3%,大国のアメリカは36.7%となっています。4割を超えている国もあり,アイスランドは41.5%,最高のスイスは43.7%です。この小国では,成人の半数弱が大卒学歴を持っていると。
日本よりも大学教育が行き渡っている国って,結構あるのですね。ただ,これらの国に住んでいる人にすれば,「高校を出てすぐに大学行く人,あまりいないけどな」と思われるかもしれません。しからば,いつ行くのか。そう,社会に出て働き始めた後で行くのです。いわゆる,リカレント教育ってやつです。
それを傍証するデータがります。大学入学者の平均年齢です。初めて入学した人の年齢平均で,入るのが2回目以降という人は含まれません。
大学入学者の平均年齢が最も高いのはスイスで,24.53歳となっています。24.53歳というのは平均値で,30,40歳以上という人も結構いるはず。この国の成人の大卒率は最も高いのですが(最初の表),リカレント教育の機会が開かれているためと見られます。
スウェーデンやデンマークといった北欧諸国も高いですね。大学生の3分の1が社会人と聞きますが,そうなのでしょうか。
右側の短期高等教育機関に至っては,入学者の平均年齢がもっと高くなります。平均で30歳を超える国もあり,高校を出たばかりの若者ではなく,成人のリカレント学生を主な顧客としていることがうかがわれます。日本と違って,労働市場の流動性が進んでますので,職業訓練も担っているのでしょう。
日本はというと,両方とも見事にどん尻で,いずれも18歳となっています。高校を出てすぐ入ってくる人がマジョリティだからです。日本の年齢主義がハッキリと出ていますね。
青年期のみならず,成人期,壮年期,老年初期といったステージまで射程に据えて,大学教育の普及度を観察すると,日本は教育大国とはいえないようです。いや,青年期と,それより後のステージとの断絶が大きすぎると言った方が正確でしょうか。学校に通っている人の率の年齢カーブをみると,それがよく分かります。
日本,アメリカ,フィンランドという3つの社会の年齢カーブです。10代では日本の在学率が最も高いですが,成人期以降,日本は急落し,20代後半以降は地を這うような推移になります。
児童期,青年期までで見たら日本は教育大国かもしれませんが,それ以降の長い人生スパンも射程に入れると,とうていその名には値しません。教育列島ならぬ,教育劣島です。アメリカやフィンランドは右下がりの傾斜が緩やかで,後者では30代でも5人に1人が何らかの形で学校に通っていることが知られます。
教育を受ける機会が人生の初期に限られている(偏っている)日本の様は,明瞭な「L字型」によって可視化されています。少子高齢化が進み,人生100年の時代になるというのに,これではいけません。
わが国でも,変化を後押しする要因は出てきています。1つは,高齢化により時間を持て余す高齢者が増えていることです。2つは,年功賃金の崩壊,雇用の流動性の高まりにより,汎用性あるスキルを習得すべく,大学や専門学校といった外部機関での職業訓練へのニーズが増していること。2019年度にできた専門職大学は,それに応えるための機関です。あと1つは,大学側の要因で,成人学生を取り込まないとサバイブできない時代になりつつあるのは,業界関係者の誰もが知り得ています。
AIやBI(ベーシックインカム)の導入により,人間の労働時間は激的に減るであろう,という予測もあります。そうなった時,人間は何をすべきか。最も健全な姿は,学習をすることです。そういう欲求を満たすのに,年齢の壁はないはずです。上図の「L字型」は2012年データのものですが,2030年代には変わっているはず。いや,変わっていないといけません。
こうした教育の普及度をもって,教育大国といわれるのですが,他国はどうなのでしょう。進学率みたいな単純なデータは,白書に載っているだろと思われるかもしれないですが,進学率の国際比較って難しいのです。たとえば大学進学率の場合,何をもって大学とみなすかが,国によってまちまちです。日本でいう専門学校とかも,分子に入れてしまっている国もあります。
それに後述するように,大学に行くチャンスというのは,高校卒業時点(日本だと18歳時)に限定されるものではありません。この時点の進学率をもって,教育の普及度とみなすのは,どうかなと思います。
教育の普及度の指標としては,最高段階の大学教育が国民にどれほど行き渡っているかがよいでしょう。OECDの「Education at a Glance 2019」に,2018年の25~64歳人口の最終学歴分布が出ています(表A1-1)。以下の3つのいずれかを持っている人が,大卒以上の人ということになります。短大や専門学校といった,短期高等教育機関は含みません。
Bachelor's or equivalent
Master's or equivalent
Doctoral or equivalent
日本でいうと大学,大学院修士,同博士ですね。日本の25~64歳のうち,これらの学歴を有している人の率は30.7%となっています。国民の大卒学歴保有率です。若い世代に限定すればもっと高いでしょうが,64歳までを射程に入れるとこんなものでしょう。
OECD加盟国の数値を高い順に並べると,以下のようになります。
日本の30.7%は,37か国の中では真ん中辺りです。値がもっと高い国は多く,北欧のフィンランドは34.0%,お隣の韓国は35.3%,大国のアメリカは36.7%となっています。4割を超えている国もあり,アイスランドは41.5%,最高のスイスは43.7%です。この小国では,成人の半数弱が大卒学歴を持っていると。
日本よりも大学教育が行き渡っている国って,結構あるのですね。ただ,これらの国に住んでいる人にすれば,「高校を出てすぐに大学行く人,あまりいないけどな」と思われるかもしれません。しからば,いつ行くのか。そう,社会に出て働き始めた後で行くのです。いわゆる,リカレント教育ってやつです。
それを傍証するデータがります。大学入学者の平均年齢です。初めて入学した人の年齢平均で,入るのが2回目以降という人は含まれません。
大学入学者の平均年齢が最も高いのはスイスで,24.53歳となっています。24.53歳というのは平均値で,30,40歳以上という人も結構いるはず。この国の成人の大卒率は最も高いのですが(最初の表),リカレント教育の機会が開かれているためと見られます。
スウェーデンやデンマークといった北欧諸国も高いですね。大学生の3分の1が社会人と聞きますが,そうなのでしょうか。
右側の短期高等教育機関に至っては,入学者の平均年齢がもっと高くなります。平均で30歳を超える国もあり,高校を出たばかりの若者ではなく,成人のリカレント学生を主な顧客としていることがうかがわれます。日本と違って,労働市場の流動性が進んでますので,職業訓練も担っているのでしょう。
日本はというと,両方とも見事にどん尻で,いずれも18歳となっています。高校を出てすぐ入ってくる人がマジョリティだからです。日本の年齢主義がハッキリと出ていますね。
青年期のみならず,成人期,壮年期,老年初期といったステージまで射程に据えて,大学教育の普及度を観察すると,日本は教育大国とはいえないようです。いや,青年期と,それより後のステージとの断絶が大きすぎると言った方が正確でしょうか。学校に通っている人の率の年齢カーブをみると,それがよく分かります。
日本,アメリカ,フィンランドという3つの社会の年齢カーブです。10代では日本の在学率が最も高いですが,成人期以降,日本は急落し,20代後半以降は地を這うような推移になります。
児童期,青年期までで見たら日本は教育大国かもしれませんが,それ以降の長い人生スパンも射程に入れると,とうていその名には値しません。教育列島ならぬ,教育劣島です。アメリカやフィンランドは右下がりの傾斜が緩やかで,後者では30代でも5人に1人が何らかの形で学校に通っていることが知られます。
教育を受ける機会が人生の初期に限られている(偏っている)日本の様は,明瞭な「L字型」によって可視化されています。少子高齢化が進み,人生100年の時代になるというのに,これではいけません。
わが国でも,変化を後押しする要因は出てきています。1つは,高齢化により時間を持て余す高齢者が増えていることです。2つは,年功賃金の崩壊,雇用の流動性の高まりにより,汎用性あるスキルを習得すべく,大学や専門学校といった外部機関での職業訓練へのニーズが増していること。2019年度にできた専門職大学は,それに応えるための機関です。あと1つは,大学側の要因で,成人学生を取り込まないとサバイブできない時代になりつつあるのは,業界関係者の誰もが知り得ています。
AIやBI(ベーシックインカム)の導入により,人間の労働時間は激的に減るであろう,という予測もあります。そうなった時,人間は何をすべきか。最も健全な姿は,学習をすることです。そういう欲求を満たすのに,年齢の壁はないはずです。上図の「L字型」は2012年データのものですが,2030年代には変わっているはず。いや,変わっていないといけません。
2020年5月7日木曜日
高学歴女性の未婚・離婚率の地域差
連休が明けました。通勤電車が思ったより混んでいるというツイートが多いですが,「3密」電車での通勤を強いられる人が多いようです。これなら,無闇な自粛を続けていても意味なし。緊急事態宣言とやらは部分解除し,適度に経済循環を復活させてほしいです。
コロナの影響で「巣ごもり」生活が続いています。そのおかげで,出生数が増えるのではと言う予測もありますが,どうでしょう。いや,家計が逼迫している世帯が多くなってますので,現実は逆になるでしょうね。昨年は「96万人ショック」と騒がれましたが,今年はどうなることやら。
少子化は今に始まったことではなく,その最大の要因が未婚化であるのはよく知られています。婚外子が少なく,結婚と出産がリンクした日本ではなおのこと。ただ,どういう人が未婚に留まりやすいかは,統計にハッキリ出ています。男性の場合は,低所得層です。年収別の未婚率のカーブを描くと,年収階層を上がるほど未婚率が下がる,右下がりの傾向が出てきます。
女性は逆で,バリバリ稼ぐキャリアウーマンほど未婚率が高くなっています。学歴別でみても,高学歴層ほど率は高し,ちょっと古いですが,2010年の『国勢調査』のデータで計算すると,40代前半の大学・大学院卒女性の未婚者率は19.8%で,高卒女性の15.0%より高くなっています(配偶関係不詳は分母から除外)。
社人研の『出生動向基本調査』のデータかと思いますが,女性の場合,高学歴層ほど,結婚相手に高年収を求める傾向が強し。このご時世,それに応えられる男性が多いはずもありません。また,男性から敬遠されてしまう可能性もあります。地方の田舎では,そういう傾向が強いでしょう。
地域の違いの話が出ましたが,高学歴女性の未婚率には地域差があります。未婚率は,家族形成のしやすさの指標ですが,家族解体に晒される頻度も,地域によって異なるようです。47都道府県別の数値を出したところ,「おや」という事実が出てきましたので,ブログに記録することとします。高学歴女性の「生きづらさ」には,地域性があるのです。
私は,自分と同じ40代前半の大学・大学院卒女性を取り出し,未婚者率と離別者率を県別に計算しました。前者は未婚のままでとどまっている人,後者は夫と別れ,今は独身でいる人の率です。計算式は以下です。
未婚者率=未婚者数/(総数-配偶関係不詳者数)
離別者率=離別者数/(有配偶者数+離別者数)
離別者率は,結婚経験のある有配偶者と離別者の合算を分母にしています。結婚経験のある女性のうち,夫と別れて独り身でいる人は何%か,と読んでください。
以下に掲げるのは,結果の一覧表です。右端の大学・大学院卒率は,40代前半女性のうち,大学・大学院卒の人が何%かという参考情報です。学歴不詳者を分母から抜いてパーセンテージを出しました。
赤字は上位15位の数値です。高学歴女性の未婚者率,離別者率とも,高いエリアが北と南に割れています。九州は赤いですねえ。未婚者率は,軒並み2割を越えています。
上述のように,高学歴女性は結婚相手の男性に高い年収を求める傾向がありますが,それに応えられる男性が少ないためでしょう。鹿児島の若年未婚男性の所得中央値は244万円で,300万円稼ぐ男性に会えたら御の字であることが分かります。
ただ,東京や大阪といった大都市でも未婚率が高いことから,それだけではありますまい。女性の場合,結婚するとガシガシ稼ぐのが困難になりますが,築いてきたものが多い高学歴女性にあっては,結婚の損失を考える人が多し,保育所が足りず,共稼ぎが容易でない都市部ではなおさらです。地方では共稼ぎが多いですが,家事分担のジェンダー差が大きいこともあり,女性は「仕事・家事・ケア」のトリプルの負荷が課されます。高い自己実現欲求と,家庭生活の両立の困難。高学歴女性をして,結婚を思いとどまらせる材料は多し。
以上は本人の意志に関わることですが,男性から敬遠されることも,なきにしもあらず。上表の赤字の分布をみたとき,「男尊女卑のカルチャーと関連していそうだな」という印象を持った人もいるでしょう。私が中学(鹿児島)の時,数学がバリバリできる女子生徒が,教師から「お前,嫁のもらい手がなくなるぞ」と冷やかされていました。家庭を持ったら持ったで,夫婦間の葛藤が起きやすいのか,高学歴女性の離別者率も高くなっています。九州の県では。
地域性を可視化すべく,上表の未婚者率のデータを地図化しておきます。20%を超える県に色をつけたマップです。
高学歴女性が未婚にとどまる率に,こんなにも明瞭な地域性が出ることを見取ってください。ここでは掲げませんが,離別者率の地図も,似たような模様になります。
九州は大卒に限らず,女性の未婚率は高いのでは,という疑問もあるかもしれません。ある層のデータを観察する場合,当該の層だけを切り取るのはよくありません。ですが私の郷里の鹿児島でみると,40代前半女性の未婚者率は,高卒で15.7%,大学・大学院卒で23.9%と,差が大きくなっています。全県中の順位は,前者は10位ですが,後者は5位です。お隣の宮崎は,順に19位,7位となっています。
九州は,未婚が高学歴層に偏している可能性がありですね。その様を「見える化」してみましょうか。横軸に大学・大学院卒女性の未婚率,縦軸に大学・大学院卒と高卒の差分をとった座標上に,47都道府県を配置したグラフです。
横軸は高学歴女性の未婚率の絶対水準,縦軸は高卒と比した相対水準です。右上は両方とも高い県なんですが,九州の8県が見事に位置しています。高学歴女性の未婚率が高く,かつ女性の未婚が高学歴層に偏している,ということです。
九州県の男女共同参画政策関係者の方は,どういう感想を持たれるでしょうか。高学歴女性の要求に見合うよう,男性の所得アップを図る,女性がキャリア断絶をしなくていいよう,保育園を増設するなど,共稼ぎがしやすい環境を作る…。こういうことを思いつかれるでしょうか。
それもいいですが,九州の県は所得が低いこともあってか,都市部に比して共稼ぎ世帯の率は高くなっています(保育園の枠も相対的に多し)。そうでないとやっていけない現実もありますので。結構なことと思われるかもしれませんが,そうした二馬力スタイルは,女性が「仕事・家事・育児」のトリプルを負わされることで成り立っているように思います。家族葛藤も起きやすいであろうことは,高学歴女性の離婚率の高さにも出ています。
「女性のフルタイム就業率が高い,めでたしめでたし」ではなく,二馬力夫婦の生活の内実を子細に点検してみる必要がありそうです。高学歴女性の生きづらさに,ここまで明瞭な地域性があるとなると,地域の文化の次元まで問題は根を下ろしていると考えたほうがよさそうです。
最初の表の右端をみると,九州の県では女性の大学・大学院卒率が低くなっています。大学進学率が低いからですが,都会の大学で学んだ女子がUターンを忌避していることは考えられないか。大学で教えていた時,「都会の大学でジェンダー論を本腰入れて学んだ女子は,田舎に帰るのを嫌がる。初年次教育でジェンダー論を必修にしたら,学生のUターン率下がりそうだよね」と,知り合いの先生と笑い合ったことがあります。
地方創生が目指されていますが,都会の若者の背中を押すだけでなく,受け入れる地方の側の文化も変革しないといけません。今回のデータをみると,地方創生を阻む要因としては後者が大きいのでは,という思いすら抱きます。
これから先,女性の高学歴化がますます進みます。高学歴女性が生きにくい,戻ってきにくい地域は,衰退するほかありません。
コロナの影響で「巣ごもり」生活が続いています。そのおかげで,出生数が増えるのではと言う予測もありますが,どうでしょう。いや,家計が逼迫している世帯が多くなってますので,現実は逆になるでしょうね。昨年は「96万人ショック」と騒がれましたが,今年はどうなることやら。
少子化は今に始まったことではなく,その最大の要因が未婚化であるのはよく知られています。婚外子が少なく,結婚と出産がリンクした日本ではなおのこと。ただ,どういう人が未婚に留まりやすいかは,統計にハッキリ出ています。男性の場合は,低所得層です。年収別の未婚率のカーブを描くと,年収階層を上がるほど未婚率が下がる,右下がりの傾向が出てきます。
女性は逆で,バリバリ稼ぐキャリアウーマンほど未婚率が高くなっています。学歴別でみても,高学歴層ほど率は高し,ちょっと古いですが,2010年の『国勢調査』のデータで計算すると,40代前半の大学・大学院卒女性の未婚者率は19.8%で,高卒女性の15.0%より高くなっています(配偶関係不詳は分母から除外)。
社人研の『出生動向基本調査』のデータかと思いますが,女性の場合,高学歴層ほど,結婚相手に高年収を求める傾向が強し。このご時世,それに応えられる男性が多いはずもありません。また,男性から敬遠されてしまう可能性もあります。地方の田舎では,そういう傾向が強いでしょう。
地域の違いの話が出ましたが,高学歴女性の未婚率には地域差があります。未婚率は,家族形成のしやすさの指標ですが,家族解体に晒される頻度も,地域によって異なるようです。47都道府県別の数値を出したところ,「おや」という事実が出てきましたので,ブログに記録することとします。高学歴女性の「生きづらさ」には,地域性があるのです。
私は,自分と同じ40代前半の大学・大学院卒女性を取り出し,未婚者率と離別者率を県別に計算しました。前者は未婚のままでとどまっている人,後者は夫と別れ,今は独身でいる人の率です。計算式は以下です。
未婚者率=未婚者数/(総数-配偶関係不詳者数)
離別者率=離別者数/(有配偶者数+離別者数)
離別者率は,結婚経験のある有配偶者と離別者の合算を分母にしています。結婚経験のある女性のうち,夫と別れて独り身でいる人は何%か,と読んでください。
以下に掲げるのは,結果の一覧表です。右端の大学・大学院卒率は,40代前半女性のうち,大学・大学院卒の人が何%かという参考情報です。学歴不詳者を分母から抜いてパーセンテージを出しました。
赤字は上位15位の数値です。高学歴女性の未婚者率,離別者率とも,高いエリアが北と南に割れています。九州は赤いですねえ。未婚者率は,軒並み2割を越えています。
上述のように,高学歴女性は結婚相手の男性に高い年収を求める傾向がありますが,それに応えられる男性が少ないためでしょう。鹿児島の若年未婚男性の所得中央値は244万円で,300万円稼ぐ男性に会えたら御の字であることが分かります。
ただ,東京や大阪といった大都市でも未婚率が高いことから,それだけではありますまい。女性の場合,結婚するとガシガシ稼ぐのが困難になりますが,築いてきたものが多い高学歴女性にあっては,結婚の損失を考える人が多し,保育所が足りず,共稼ぎが容易でない都市部ではなおさらです。地方では共稼ぎが多いですが,家事分担のジェンダー差が大きいこともあり,女性は「仕事・家事・ケア」のトリプルの負荷が課されます。高い自己実現欲求と,家庭生活の両立の困難。高学歴女性をして,結婚を思いとどまらせる材料は多し。
以上は本人の意志に関わることですが,男性から敬遠されることも,なきにしもあらず。上表の赤字の分布をみたとき,「男尊女卑のカルチャーと関連していそうだな」という印象を持った人もいるでしょう。私が中学(鹿児島)の時,数学がバリバリできる女子生徒が,教師から「お前,嫁のもらい手がなくなるぞ」と冷やかされていました。家庭を持ったら持ったで,夫婦間の葛藤が起きやすいのか,高学歴女性の離別者率も高くなっています。九州の県では。
地域性を可視化すべく,上表の未婚者率のデータを地図化しておきます。20%を超える県に色をつけたマップです。
高学歴女性が未婚にとどまる率に,こんなにも明瞭な地域性が出ることを見取ってください。ここでは掲げませんが,離別者率の地図も,似たような模様になります。
九州は大卒に限らず,女性の未婚率は高いのでは,という疑問もあるかもしれません。ある層のデータを観察する場合,当該の層だけを切り取るのはよくありません。ですが私の郷里の鹿児島でみると,40代前半女性の未婚者率は,高卒で15.7%,大学・大学院卒で23.9%と,差が大きくなっています。全県中の順位は,前者は10位ですが,後者は5位です。お隣の宮崎は,順に19位,7位となっています。
九州は,未婚が高学歴層に偏している可能性がありですね。その様を「見える化」してみましょうか。横軸に大学・大学院卒女性の未婚率,縦軸に大学・大学院卒と高卒の差分をとった座標上に,47都道府県を配置したグラフです。
横軸は高学歴女性の未婚率の絶対水準,縦軸は高卒と比した相対水準です。右上は両方とも高い県なんですが,九州の8県が見事に位置しています。高学歴女性の未婚率が高く,かつ女性の未婚が高学歴層に偏している,ということです。
九州県の男女共同参画政策関係者の方は,どういう感想を持たれるでしょうか。高学歴女性の要求に見合うよう,男性の所得アップを図る,女性がキャリア断絶をしなくていいよう,保育園を増設するなど,共稼ぎがしやすい環境を作る…。こういうことを思いつかれるでしょうか。
それもいいですが,九州の県は所得が低いこともあってか,都市部に比して共稼ぎ世帯の率は高くなっています(保育園の枠も相対的に多し)。そうでないとやっていけない現実もありますので。結構なことと思われるかもしれませんが,そうした二馬力スタイルは,女性が「仕事・家事・育児」のトリプルを負わされることで成り立っているように思います。家族葛藤も起きやすいであろうことは,高学歴女性の離婚率の高さにも出ています。
「女性のフルタイム就業率が高い,めでたしめでたし」ではなく,二馬力夫婦の生活の内実を子細に点検してみる必要がありそうです。高学歴女性の生きづらさに,ここまで明瞭な地域性があるとなると,地域の文化の次元まで問題は根を下ろしていると考えたほうがよさそうです。
最初の表の右端をみると,九州の県では女性の大学・大学院卒率が低くなっています。大学進学率が低いからですが,都会の大学で学んだ女子がUターンを忌避していることは考えられないか。大学で教えていた時,「都会の大学でジェンダー論を本腰入れて学んだ女子は,田舎に帰るのを嫌がる。初年次教育でジェンダー論を必修にしたら,学生のUターン率下がりそうだよね」と,知り合いの先生と笑い合ったことがあります。
地方創生が目指されていますが,都会の若者の背中を押すだけでなく,受け入れる地方の側の文化も変革しないといけません。今回のデータをみると,地方創生を阻む要因としては後者が大きいのでは,という思いすら抱きます。
これから先,女性の高学歴化がますます進みます。高学歴女性が生きにくい,戻ってきにくい地域は,衰退するほかありません。
2020年5月2日土曜日
失業率による自殺者数の見積もり
緊急事態宣言とやらが延長され,経済活動の停止が長引くことになりました。近くのソレイユの丘は,6月30日まで休園決定です。
ピンチはチャンス,コロナで社会は変わる…。無責任に私もこういうことを書いてきましたが,そんな悠長なことを言ってられぬほど,社会の危機状況が色濃くなってます。飲食店の経営者は収入激減,国の支援金も要件が厳しく,認められたにしても支給は何か月も先。「もう首をくくるしかない」。こういう悲痛な声も聞かれます。
前に,失業率と自殺率の時系列推移の相関関係を明らかにしたことがありますが,こういう時期ですので,当該の記事がよく読まれています。データを更新し,失職する人が増えることで,「首をくくる」人の数がどうなるかを,シュミレートしてみようと思います。
総務省の『労働力調査』に,失業率の長期推移が出ています。働く意欲のある労働力人口のうち,職探しをしている失業者が何%かです。自殺率は,厚労省『人口動態統計』に計算済の数値が出ています。人口10万人あたりの年間自殺者数です。
失業率が1953年以降の推移となってますので,この年から最新の2018年までのトレンドを見ましょう。
戦後の66年間の経験事実ですが,シンクロしていますねえ。失業率が上がると自殺率も上がる。90年代の不況期で上がり,最近の好況期で下がっているのもそっくりです。相関係数は+0.7006となります。男性だけに絞ると,相関はもっとクリアーです。
これは相関関係ですが,「失業⇒自殺」という因果関係を推認するのは容易いでしょう。貨幣経済が浸透しきった日本では,収入が途絶えることは,生をも脅かすことになります。親族や知人とも会いにくくなり,孤立も深まります。この国では,失業は経済的にも社会的にも痛手なのです。
66年間の経験データから,失業率(X)と自殺率(Y)の関係を定式化すると,以下のようになります。
Y = 1.9589X + 14.274
失業率が1%アップすると,自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)が1.9589上昇する,ということです。
過去の長期トレンドから得たこの式をもとに,想定した失業率ごとに,自殺率がどうなるか,年間自殺者の実数はどうなるかを,シュミレートしてみます。2018年の失業率は2%ほどですが,これを上記の式のXに代入すると,自殺率(Y)は18.2となります。人口を1億2千万人と仮定すると,年間自殺者の実数は2万1830人です。現実の数値と近いですね。
多項式や指数関数式にすると,予測の精度がちょっと上がりますが,話を分かりやすくするため,単純な一次式でいきます。
1%刻みで,失業率1%から20%までの事態を想定してみました。2018年の失業率は2%ほどですが,コロナショックでこれが5~6%になると,自殺者数は2.8万人,3.0万人を超えてしまいます。
これは,世紀の変わり目の平成不況期で経験していたことです。われわれロスジェネが大学を出た頃は,年間自殺者3万人超の暗黒の時代でした。コロナ収束まで1年はかかるという見通しもありますが,経済停止が長引くと,失業率は軽く5%を超え,再び自殺者3万人超の時代にバックしちゃいそうです。
それだけで済めばまだしも,失業率が2ケタになったら,目を覆いたくなる事態になります。失業率10%で自殺者4.1万人,15%で5.2万人,20%で6.4万人です。南欧のスペインは,このレベルの失業率がデフォルトですが,お国柄もあってか,自殺は少なく社会を維持できています。しかし,日本だと大変なことになりそうです。前々回の記事でも言いましたが,「自己責任」の内向性の強い国民ですので。
上表から,失業率が1%上がると,年間自殺者が2351人増えることが知られます。労働力人口を6700万人とすると,そのうちの1%,つまり67万人の雇用がなくなることで,自殺者が2351人増えると。
ヤフーのトップニュースで,コロナの影響で失業者77万人という事態もあり得る,という物騒な予測が発表されてました。77万人が失職したら,「首をくくる人」が3000人近く出るのではないでしょうか。
身震いがしますが,過去の経験事実を定式化し,それに当てはめたシュミレート結果はこうです。思考停止の経済活動制限を続けたら,社会は崩壊しそうです。濃厚接触が不可避な危険な業種のみ制限,段階的な制限等,分別のある策はいろいろあります。
さすがに政府もマズイと考えたのか,西村経済再生相は部分的な制限緩和を掲げ,明後日に「スマートな生活様式」なるものを発表するそうです。どういうものか,楽しみに待ちましょう。
ピンチはチャンス,コロナで社会は変わる…。無責任に私もこういうことを書いてきましたが,そんな悠長なことを言ってられぬほど,社会の危機状況が色濃くなってます。飲食店の経営者は収入激減,国の支援金も要件が厳しく,認められたにしても支給は何か月も先。「もう首をくくるしかない」。こういう悲痛な声も聞かれます。
前に,失業率と自殺率の時系列推移の相関関係を明らかにしたことがありますが,こういう時期ですので,当該の記事がよく読まれています。データを更新し,失職する人が増えることで,「首をくくる」人の数がどうなるかを,シュミレートしてみようと思います。
総務省の『労働力調査』に,失業率の長期推移が出ています。働く意欲のある労働力人口のうち,職探しをしている失業者が何%かです。自殺率は,厚労省『人口動態統計』に計算済の数値が出ています。人口10万人あたりの年間自殺者数です。
失業率が1953年以降の推移となってますので,この年から最新の2018年までのトレンドを見ましょう。
戦後の66年間の経験事実ですが,シンクロしていますねえ。失業率が上がると自殺率も上がる。90年代の不況期で上がり,最近の好況期で下がっているのもそっくりです。相関係数は+0.7006となります。男性だけに絞ると,相関はもっとクリアーです。
これは相関関係ですが,「失業⇒自殺」という因果関係を推認するのは容易いでしょう。貨幣経済が浸透しきった日本では,収入が途絶えることは,生をも脅かすことになります。親族や知人とも会いにくくなり,孤立も深まります。この国では,失業は経済的にも社会的にも痛手なのです。
66年間の経験データから,失業率(X)と自殺率(Y)の関係を定式化すると,以下のようになります。
Y = 1.9589X + 14.274
失業率が1%アップすると,自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)が1.9589上昇する,ということです。
過去の長期トレンドから得たこの式をもとに,想定した失業率ごとに,自殺率がどうなるか,年間自殺者の実数はどうなるかを,シュミレートしてみます。2018年の失業率は2%ほどですが,これを上記の式のXに代入すると,自殺率(Y)は18.2となります。人口を1億2千万人と仮定すると,年間自殺者の実数は2万1830人です。現実の数値と近いですね。
多項式や指数関数式にすると,予測の精度がちょっと上がりますが,話を分かりやすくするため,単純な一次式でいきます。
1%刻みで,失業率1%から20%までの事態を想定してみました。2018年の失業率は2%ほどですが,コロナショックでこれが5~6%になると,自殺者数は2.8万人,3.0万人を超えてしまいます。
これは,世紀の変わり目の平成不況期で経験していたことです。われわれロスジェネが大学を出た頃は,年間自殺者3万人超の暗黒の時代でした。コロナ収束まで1年はかかるという見通しもありますが,経済停止が長引くと,失業率は軽く5%を超え,再び自殺者3万人超の時代にバックしちゃいそうです。
それだけで済めばまだしも,失業率が2ケタになったら,目を覆いたくなる事態になります。失業率10%で自殺者4.1万人,15%で5.2万人,20%で6.4万人です。南欧のスペインは,このレベルの失業率がデフォルトですが,お国柄もあってか,自殺は少なく社会を維持できています。しかし,日本だと大変なことになりそうです。前々回の記事でも言いましたが,「自己責任」の内向性の強い国民ですので。
上表から,失業率が1%上がると,年間自殺者が2351人増えることが知られます。労働力人口を6700万人とすると,そのうちの1%,つまり67万人の雇用がなくなることで,自殺者が2351人増えると。
ヤフーのトップニュースで,コロナの影響で失業者77万人という事態もあり得る,という物騒な予測が発表されてました。77万人が失職したら,「首をくくる人」が3000人近く出るのではないでしょうか。
身震いがしますが,過去の経験事実を定式化し,それに当てはめたシュミレート結果はこうです。思考停止の経済活動制限を続けたら,社会は崩壊しそうです。濃厚接触が不可避な危険な業種のみ制限,段階的な制限等,分別のある策はいろいろあります。
さすがに政府もマズイと考えたのか,西村経済再生相は部分的な制限緩和を掲げ,明後日に「スマートな生活様式」なるものを発表するそうです。どういうものか,楽しみに待ちましょう。
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