2016年5月22日日曜日

死ぬ確率

 昨日の読売新聞Web版に,「死亡保険はムダ? もしもの確率は何%なのか」と題する記事が載っています。内容はだいたい想像がつくでしょうが,無駄な保険を少し見直してはどうか,という主張です。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160520-OYT8T50039.html

 上記の記事では,「もしもの確率」の計算結果が示されていますが,国民トータルだけでなく,年齢別の数値も知りたいもの。年齢によって,命を落とすリスクはかなり異なることは,言うまでもありません。

 私は,今年で40歳になります。バリバリの働き盛りの年齢ですが,最新のデータを使って,この年齢の死亡率を出してみましょう。

 2014年の厚労省『人口動態統計』によると,同年中の40歳の死亡者は,1744人となっています。悪性新生物(がん)による死亡者は476人,交通事故による死亡者は41人です。外国人は含まない,日本人のデータです。

 同年10月時点における,40歳の日本人人口は約195.6万人(総務省『人口推計年報』)。これらの数字から,40歳のトータルの死亡率,がんと交通事故の死亡率を試算すると,以下のようになります。

 トータルの死亡率 0.089% (1,122人に1人)
 がんの死亡率 0.024% (4,109人に1人)
 交通事故の死亡率 0.002% (47,707人に1人)

 健康なステージですので,さすがに低いですね。がんの死亡率は0.024%,4,109人に1人ですか。がん検診で陽性の診断結果が出ても心配することはない,多くが誤診だという論がありますが,なるほど,そういう気がしなくもないです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mamoruichikawa/20160503-00057271/

 しかし,もっと年をとると数値も変わってきます。全年齢について,上記の3つの死亡率を出してみましたので,その一覧表を掲げます。みなさんにお馴染みのの表記にししています。


 青年期や中年期までは,ネグリジブル・スモールといってもいいくらい低いですが,加齢とともにリスクは上がってきます。

 今日,戦争孤児作家の西村滋さんの訃報に接しましたが,91歳だったそうです。上表によると,この年齢のトータルの死亡率は13.3%。さすがにこの年齢になると,7人に1人が命を落とすと見込まれます。

 現在では,人々の不安の心理につけこんで,いろいろな保険商法が幅を利かせていますが,冒頭の読売新聞記事がいうような,「もしもの確率」を眺めてみると,考えが変わることもあるかと思います。

 あれこれ不安に苛まれていても,キリがありません。冒頭の記事でいいことが書かれていますので,引用しましょう。

 「心配しすぎて,やりたいことができなくなったり,不安を抱えたりするとストレスも抱えることになってしまいます。ストレスは,健康にとって大敵です」。

 不安を抱くことは,リスクを高めることにつながります。「死ぬときは,死ぬ」。私はこういう気構えをもって,いつ死んでも悔いがないよう,奔放に生きています。そろそろ健診に行く予定ですが,重度のがんが見つかり,「余命*年」と宣告されても,生活にあまり変化はないでしょう。