緊急事態宣言が解除され,徐々に生活が普通に戻りつつあります。街もにぎわってきました。
公務員試験や教員採用試験は日程延期の自治体が多いみたいですが,東京都の教員試験は例年とあまり変わりなく,筆記の一次試験は7月12日に実施されます。余談ですが,私のバースデーです。
あと一か月ちょいですが,これから勉強を始めるという「困ったちゃん」もいることでしょう。今からやる場合,もう賭けに出るしかありません。その方法を指南いたします。まず,実務教育出版から出ている,以下の2冊をお買い求めください。3000円もいきません。
『教職教養らくらくマスター』(2021年度)
『教職教養の過去問224』(2021年度)
らくらくマスターは要点を抽出した本ですが,手に取ってみると,結構ボリュームがあることに気付くはず。これを今から全部覚えることは不可能です。そこで,データのチカラを借ります。冒頭に,以下のような出題頻度表が出ています。
本書にはトータルで112のテーマ(原則,見開き2ページ)が盛られていますが,過去5年間の試験で,各テーマの内容が何回出ているかをカウントしたものです。5年間で5回の必出は赤,5年間で4回の頻出はグレーのマークをしています。
東京都の必須と頻出のテーマは,以下のようになっています。
東京では,教員の服務②と心理学史が毎年出るようですね。教員の服務が重視されているのは,近年,教員の不祥事が続発しているからでしょう。
服務は内容が多いので①と②に分けてます。①は職務上の3つの義務,②は身分上の5つの義務ですが,後者が毎年出題されています。公務員としてしてはいけないこと,ないしは制限されていることです。生徒へのわいせつ行為は,地公法が禁じる信用失墜行為の典型。アルバイト(営利事業従事)は,任命権者の許可を得るという条件で許されています。政治的行為は,一般の公務員は自分の自治体の外でなら許されますが,教育公務員は全国どこででも禁止です。
心理学史は,文章を提示して,誰について述べたものかを問う形式に尽きます。主著や学説のキーワードを知っていれば対応できます。『らくらくマスター』の該当テーマに掲げられている,人物一覧表を見ておけば十分です。赤シートでの暗記学習を反復しましょう。
あとは,学習指導要領,憲法,教員研修,発達心理学などが頻出のようです(5年間で4回)。該当テーマに出ている文章,条文の重要箇所を赤シートを使って覚えられたい。
東京都の受験者は,上記の表に示した15のテーマに絞って学習をしてください。これなら,1か月あれば可能です。繰り返しますが,今からだともう山を張るしかありません。
これで出題確率の高い内容を押さえられますが,知識のインプットでは不十分で,実際の問題形式にも慣れないといけません。そこで,2冊目の『教職教養の過去問224』の出番です。上記の15テーマの過去問を解くのです。
らくらくマスターとテーマ構成が対応してますので,該当の過去問も探しやすいはず。教員の服務の過去問は,266~271ページに載っています。
全国の過去問を機械的に載せるのではなく,広範な知識を吸収できる良問を精選しています。問題の隣のページに解説を掲げ,学習がしやすいように配慮もしています。解説も詳細にし,それぞれの選択肢について,どこが誤りなのかを丁寧に説明しています。
東京都の受験者は,上記の15テーマについて,『らくらくマスター』での知識吸収と,『よく出る過去問』での問題演習をやっておけば,にわか勉強としてはパーフェクトです。残された1か月ちょいの時間を最も有効に使う手段は,コレです。
時間に余裕があったら,5年間に3回出されたテーマも押さえるとなおよし。必出・頻出のテーマを潰し,余力があれば,ちょっと学習の射程を広げると。
他の自治体受験者の方も,『らくらくマスター』冒頭の出題頻度表をみれば,最も効率的なにわか勉強の戦略を立てることが可能です。すがるべきは,仏壇の仏様でも,先輩の体験談でもありません。過去の経験的事実(データ)です。
必修の教職教養はむろん,自分の教科(小学校は全科)もやらないといけない。どうしよう,どうしようとあたふたしてないで,上記の『らくらくマスター』と『教職教養の過去問』をポチってください。教職教養については,ここでお教えした戦略で,負担をかなり緩和することができます。
本当は,年始あたりから勉強をはじめ,教員として身に付けるべき素養(教職教養)の全体像を押さえるのがいいのですが,それをしなかったことを今から悔いても仕方ありません。受験生諸氏の健闘をお祈りします。