昨晩,卒論ゼミの学生と一杯飲んでました。飲んだ後の眠りはかなり深いのか,私の場合,翌朝は,早く目が覚めてしまうのです。別にやることがないので,ブログでも書くかと,少しズキズキする頭を抱えながら,パソコンに向かってます。
さて,再び物騒な話題に戻ることをお許しください。今回は,殺人被害に遭う確率を計算してみたいと思います。簡単にいうと,殺される確率です。去る12月17日の朝,茨城県の取手駅前で,無差別殺人未遂事件がありました。容疑者の若者は,「人生を終わらせたかった」と語っています。生きづらい世の中,自棄(ヤケ)を起こした人間による,こうした凶行に,いつ自分も遭遇するかと,危機感を抱いている人も少なくないでしょう。この点について,数字をお見せしたいのです。
2009年の厚生労働省『人口動態統計』によると,他殺による死亡者は479人と報告されています。同年の人口全体に占める比率を出すと,10万人あたり0.4人です。つまり100万人に4人,約分すると,25万人に1人というところです。25万人といえば,私が住んでいる多摩市のお隣の府中市の人口にほぼ相当します。1年の間に,同市の住民に1人が不幸にして殺人に遭遇する,ということです。確率的には,かなり低いです。不謹慎な言い方ですが,宝くじに当たるよりも難しいかもしれません。では,この率を時代別・年齢層別に細かく出し,例の社会地図で表現してみましょう。
図をみると,最近は,安全色(青色)で染まっています。昔のほうが,物騒であったようです。ブラックゾーンは,1955年の20代に見出されます。当時のこの層は自殺率も高いのですが,自殺する者も多ければ,殺される者も多い,ハンパじゃない状況であったようです。この世代は1930~35年生まれ,現在,70代後半から80歳あたりの方々ですが,幾人かの方に若き頃のお話をうかがうと,一様に「大変だった」とおっしゃられます。なるほど,上記の図から,さもありなんです。今日の若者の生きづらさの打開策は,もしかすると,この世代の体験に求められるかもしれません。
あと一点,注目したいのは,子どもの殺人被害です。今日,子どもが危ない,危ないといわれますが,殺人被害率をみると,昔のほうがはるかに高かったようです。0~9歳でいうと,1950年が3.2,2009年が0.4です。現在,各地で行われている,子どもを守る取組に水をさすのではありません。ですが,このような状況認識は重要であると存じます。