2011年4月20日水曜日

教採の出題傾向分析①

 学校の教員になるには,大学で教職課程を修め,教員免許状を取得しなければなりませんが,これは必要条件であっても,十分条件ではありません。教員になるには,教員採用試験を突破しなければなりません。

 受験者数を採用者数で除した競争率を出すと,2010度の教員採用試験の場合,小学校が4.4倍,中学校が8.7倍,高等学校が8.1倍,特別支援学校が3.4倍,と報告されています(文科省ホームページ)。決して低い倍率ではないようです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/senkou/1300242.htm

 さて,その試験で全校種共通に問われるのが,教職教養です。内容は大きく,①教育原理,②教育史,③教育法規,および④教育心理からなります。これらは,教職課程の講義のテキストや市販の参考書などで,だいたいカバーできます。しかし,各県独自の教育施策に関連する問題が出されることもあります。業界用語で,「ローカル問題」というものです。地方分権化の中,こうしたローカル問題の出題頻度が高まってきているように思います。

 私は,2007年度から2011年度までの5回の教員採用試験において,ローカル問題が出題された回数を自治体別に調べました。資料源は,時事通信社『教員養成セミナー』2011年3月号の36~37頁です。


 その結果を,日本地図で表現しました。黒色は,この期間中一貫して,ローカル問題が出題されている県です。茨城,埼玉,東京,滋賀,高知,宮崎,および鹿児島が該当します。4回は,福島と千葉です。これらの都県では,2012年度試験でも,ローカル問題がかなりの確率で出題されるとみてよいでしょう。


 黒色の7都県について,最新の2011年度試験(2010年夏実施の試験)で出題された施策の内容を示すと,上記のようです。学校教育指針の概要や,教育振興基本計画について問われています。

 教育基本法第17条第1項は,政府に対し,教育振興基本計画を策定することを求めていますが,地方公共団体も,それに依拠して,独自の基本的な計画を定めることとされています(第2項)。各県の教育振興基本計画は,教育委員会のホームページなどで閲覧できますので,確認しておく必要があるでしょう。埼玉県については,以下のURLから閲覧することが可能です。
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/saitamakyouikuplan.html

 これから,機会をみつけて,さまざまな角度から,教員採用試験の出題傾向を分析し,結果をご覧に入れようと思います。