2014年3月4日火曜日

都内49市区の子どもの総合診断①

 1月13日の記事では,複数の指標を使って,47都道府県の子どもの総合診断をしたのですが,それよりも下った市区町村レベルの診断はできないものかと前から思っていました。

 これまでは資料上の制約から断念していたのですが,最近は,自県内の地域別のデータを積極的に公表している自治体もあります。たとえば東京都です。昨年度から体力テストの市区町村別結果も公表していますし,学力テストにしても,情報公開申請をしたら地域別の平均正答率を出してくれました。

 今回と次回の2回にかけて,複数の指標を用いて,東京都内49市区の子どもの総合診断をしてみようと思います。あくまで試行ですが,他の自治体で類似の取組がなされるための礎になればと存じます。また,情報公開の促進が図られることも願います。

 私は,A)発育,B)能力,C)逸脱という3つの観点のもと,6つの指標を収集しました。下の表は,その一覧です。それぞれ2つずつです。


 ここでいう子どもとは,公立の小学生をさすものとします。の資料から必要な数字を採取して,上記の6指標を49市区別に計算しました。学力の指標として算数Bを使うのは,他科目に比して地域分散が大きいからです。

 その結果をまとめると,以下のようになります。最高値には黄色,最低値には青色のマークをつけました。上位5位の数値は赤色にしています。


 どの指標でみても,結構な地域差がみられます。西部の武蔵村山市は,小学生の虫歯率と肥満率がトップです。子どもの発育の歪みが相対的に顕著です。学力のトップは文京区,いじめ率のトップは足立区ですか・・・。

 おっと,つい細部に入ってしまいましたが,今回の主眼は,6指標を総動員して,各市区の子どものすがたをトータルに診ることです。そのためには,水準や単位が異なる各指標の値を同列のものに揃える必要があります。

 ここでは相対順位に依拠して,各指標の値を1~5のスコアに換算しましょう。1~9位は5点,10~19位は4点,20~30位は3点,31~40位は2点,41~49位は1点,とします。下表は,このやり方で換算した5段階スコアの一覧表です。


 何やら5段階の通信簿みたいですが,これで,性格の異なる6指標を総動員した多角診断が可能になります。

 試みに,文京区と足立区の子どもの診断カルテをつくってみました。大都市という基盤を共通にしながらも,その上で暮らす住民の階層構成が異なる2地域です。


 相対評価であぶり出したものですが,両地域の違いが明らかですね。上表のスコアを使うことで,他の地域のカルテも作成可能です。自分の地域のカルテをつくってみてはいかがでしょう。エクセルでもよし,方眼紙の手書きでもよしです。

 次回は,6指標のスコアを合成して,49市区の子どものすがたを総合評価する一元尺度をつくり,ランキングにしてみようと思います。さらに,それが各地域の社会経済指標とどう相関しているかもみてみたいところ。お楽しみに。