先週の木曜に公開された日経デュアルの記事では,幼子がいる共働き世帯の夫の家事分担率を出したのですが,関心を持ってくださる方もおられるようです。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=4493
しかし,これはあくまで平均値であり,夫の家事分担率がどのように分布しているかも知りたくなります。全然していない0%の夫もいれば,欧米並みの3~4割,中には半分(50%)以上の夫もいることでしょう。今回は,6歳未満の子がいる共働き世帯の夫の家事分担率分布を明らかにしてみようと思います。
総務省『社会生活基本調査』(2011年)の公表統計の中に,共働き夫婦の1日あたりの家事時間階級をクロスさせた表があります(下記サイトの表64)。19の時間階級が設定されていますが,10時間以上の階級はまとめて以下の14階級としました。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001040666&cycode=0
①なし (0.0分)
②30分未満 (15.0分)
③30分~ (37.5分)
④45分~ (52.5分)
⑤1時間~ (90.0分)
⑥2時間~ (150.0分)
⑦3時間~ (210.0分)
⑧4時間~ (270.0分)
⑨5時間~ (330.0分)
⑩6時間~ (390.0分)
⑪7時間~ (450.0分)
⑫8時間~ (510.0分)
⑬9時間~ (570.0分)
⑭10時間以上 (660.0分)
夫14×妻14の196セルがあるわけですが,( )内の階級値を使うことで,各セルに含まれる夫婦の夫の家事分担率を計算しました。たとえば,夫が⑤で妻が⑨の夫婦の場合,家事分担率は,90/(90+330)=21.4%となります。夫婦とも①の世帯は,家事分担率が計算できませんので分析から除外します。
私はこのやり方で,6歳未満の子がいる共働き夫婦の家事分担率の分布を出してみました。平日は1917世帯,土曜は2091世帯,日曜は2130世帯の分布です。以下に,5%刻みの相対度数分布表を掲げます。
曜日を問わず,家事を全然しない夫(0%)が最も多くなっています。平日は59.9%,土曜は43.2%,日曜は34.2%です。
その一方で,欧米並みに3割以上家事をこなしている夫も少しはいます。その比重は,平日で13.9%,土曜で31.9%,日曜では40.4%,5人に2人なり。
上表の分布を簡略化したグラフも載せておきましょう。表の14カテゴリーを5カテゴリーにまとめ,タテの帯グラフにしてみました。
平日から土曜,日曜になるにつれ,家事を全然しない夫は減り,代わって家事メンが増えてきます。といっても,夫の分担率0%の比重が目立つのは,何ともさびしい。夫婦とも正社員の世帯のデータでみたら様相はまた異なるでしょうが,これがわが国のデュアル世帯の家事分担の現状図です。
先日の日経デュアル記事では平均値を示しましたが,平均値に比べて高いか低いかという二者択一ではなく,最初の分布表をもとに,全体の中でご自身の状況がどの辺りに位置するのかを読みとっていただきたいと思います。
たとえば,平日に4割の家事を引き受けている旦那さんは,全体の上位8%に位置しています。2割のパパさんは,全体の上位5分の1です。
今回の分布データは,末子の年齢別に作成することも可能です。0歳の乳児がいる世帯ではどうか,イヤイヤ期の1~2歳の子がいる世帯ではどうか・・・。公的統計から,こうした診断表を作成することもできます。随時,手掛けていきたい仕事の一つです。