国立青少年教育振興機構の『子どもの読書活動の実態とのその影響・効果に関する調査研究』(2013年)のローデータを眺めていたら,「世帯年収」と「よく読む新聞」という変数がありましたので,両者をクロスしてみました。
http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/72/
その結果をグラフにしたものをツイッターで発信したところ,見てくださる方が多いようなので,ブログにも載せておこうと思います。まずは実数の原表をご覧いただきましょう。双方の設問に有効回答を寄せた,20~60代の成人5209人の分布表です。
ヨコの年収分布は,下が厚く上が細いピラミッド型です。母集団の構造がよく反映されています。各層がどの新聞をよく読んでいるかをみると,年収が最も低いⅠの層では全体の4割近くが「あまり読まない」と答えています。
しかし,年収が上がるにつれ回答の分布は変わっていき,年収1000万超の層では朝日新聞をよく読んでいる者が最多です。1500万超の階層(Ⅵ)では,3割ほどが朝日新聞をよく読んでいるようです。
これは両端の様相ですが,Ⅰ~Ⅵへとシフトするにつれ,回答の構造はどう変わるか。上記の原表のデータをグラフ化してみましょう。ツイッターに載せた図と同じというのでは芸がないので,ちょっと工夫をします。ここでは,Ⅰ~Ⅵの各階層の量も表現することとします。数字をみてお分かりのように,リッチなⅤやⅥの階層は量的にはわずかですしね。
よく読む新聞の分布をタテ,各階層の量をヨコの幅で表現すると,以下のような図になります。
年収が上がるほど,新聞をあまり読まない人間は減ってきます。それと,よく読む新聞の組成も変化するようで,富裕層ほど,朝日新聞をよく読む者の比率が高くなっています。日経新聞も同じ傾向を呈しています。
なるほど,各紙の読者の平均年収を調べたニュース記事がありますが,それと一致しています。
http://news.ameba.jp/20140916-86/
これを見て思うところありという方も多いでしょう。みなさんの議論の参考資料として,ここに展示しておきたいと思います。