読売新聞教育取材班の『大学の実力2013』(中央公論新社)を入手しました。今年の夏に,同社が全国の大学を対象に実施した調査の結果が集録されています。
642大学ということは,本年5月時点の全大学数(783校)の82.0%がカバーされていることになります。読売新聞の大学調査の回答率は,年々上がってきているようですね。
さて中身はといえば,表紙にあるように,各大学の退学率,卒業率,および就職状況などが仔細に明らかにされています。昨年までのものと違う点は,学部別の数値が掲載されていることです。これはスゴイ。
また,卒業後の状況調査も,カテゴリーの区分けが細かくなっています。就職者については,正規,契約,そしてパート等の3者の組成が分かるようになっています。就職率というと,「どうせ,バイトとかも含むんでしょ」などと揶揄されることが多いのですが,この資料の数値を使えば,そういう疑問もはねのけることができます。こちらもスゴイ。
このデータを使えば,各大学の学部ごとに,正規就職率のような指標を計算できます。この資料の表紙に書かれているような,「偏差値によらない進路選びの新基準」としても参考になることでしょう。
これから,本資料の数値をエクセルに入力して,データベースを作っていこうと思います。しかし,分析の欲望を抑えられません。私が非常勤として勤務する武蔵野大学の6学部のデータだけを入力し,各々の卒業生の進路構成を明らかにしてみました。
①~③の数は,当該資料に掲載されているものです。④は,卒業生数からこれらの数を差し引いて出しました。カッコ内の数値は,卒業生数です。
ほう。武蔵野大学は,学部を問わず,正規就職率が7割を超えています。全体の中での位置はどうだか分かりませんが,健闘している部類に入るのではないでしょうか。薬学部と看護学部は,正規就職率が95%超!。ただ,文系の学部で,無業者率が2割近くになっていることにも注意しなければなりませんが。
さあ,642大学の各学部について同じ統計をつくったらどうでしょう。明の部分(正規就職率)に注目するのもよし。暗の部分(無業率)に注意するのもよし。これらの指標の分布が,設置主体(国公私)でどう違うか,偏差値でどう違うか,という興味ある分析も待っています。
データベースが完成するまで,しばしお待ちください。