高校生を対象とした都教委の体力テストは,結果が学校別に公表されているスグレモノです。前回は,各高校の体力水準を偏差値と関連付けてみたのですが,若き高校生の体力は,在籍している学校のランクときれいに相関していることを知りました。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/seisaku_sport-8.htm
この調査では,生徒の体力だけでなく,各種の生活習慣も調べています。私は,生活習慣の乱れが高校ランクとどう関連しているかを知りたくなりました。結果はだいたい想像がつきますが,それをデータで明らかにすることは無駄ではありますまい。
私は,2014年度の調査対象の都立高校168校(島嶼部除く)について,2年生男子の朝食欠食率と長時間ケータイ使用率を拾いました。前者は朝食を食べない生徒の比率であり,後者は1日にケータイを3時間以上見る生徒の割合です。いずれも,原資料に計算済みの数値が掲載されています(上記サイトの第5章PDF)。
前回と同様,一切加工をしていない原表を掲げます。偏差値は,下記サイトのものです。高校の掲載準は,原資料と対応しています。No1は日比谷高校,No2は三田高校,・・・です。
http://www.geocities.jp/toritsukoukou2/
朝食欠食率,長時間ケータイ率とも,高校によってかなり違います。前者は0.6%~25.5%,後者は6.4%~66.7%ものレインヂがあります。スゴイ差ですね。
これが各校の入試偏差値とどう関連しているかですが,黄色の最上位校(偏差値70以上)と青色の最下位校(40 or 39)をみると,前者より後者で高くなっています。
もう少し幅を広げて,偏差値65以上の21校と偏差値45未満の27校を取り出し,朝食欠食率と長時間ケータイ使用率のマトリクス上に散りばめてみると,下図のようになります。
偏差値が低い高校は,欠食率,長時間ケータイ率とも高いゾーン(右上)に多く分布していますが,高偏差値の高校はその逆です。
残りの高校も入れたら,どういう傾向になるでしょう。私は,偏差値と生活の乱れの2指標が判明する158高校を,入試偏差値の水準に依拠して6つの群に分かちました。偏差値45未満(27校),45以上50未満(49校),50以上55未満(28校),55以上60未満(20校),60以上65未満(13校),65以上(21校)です。
そして群ごとに,朝食欠食率と長時間ケータイ使用率の平均値(average)し,上図の同じ座標上にプロットしてみました。下図がそれです。円の大きさによって,各群の学校数も表しています。量的に最多のⅤ群(49校)の円が,最も大きくなっています。
偏差値が下がるにつれて,左下から右上にシフトしていきます。欠食率,長時間ケータイ率とも上がっていく,ということです。
学力,体力に加えて,生活習慣の乱れも,在籍学校のランクと相関していることが知られます。これは,各高校に入学する生徒の質というインプット要因の影響といわれるかもしれませんが,在学中にかけてそれが強化されるというスループット要因の存在も疑われます。
これまでの教育社会学の研究成果からすると,後者の組織的社会化の影響が強調されてしかるべきです。あとは前回の最後とダブりますので,ここで筆を置くこととします。