「授業のひまつぶしに最適な鉛筆の芯アート」という記事を見かけました。授業中の退屈しのぎに鉛筆をカッターでガリガリやる子どもは多いですが,彼らが作るにはあまりにハイレベルな作品例が示されています。
http://www.gizmodo.jp/2015/07/post_17615.html
私が中学の頃,国語の授業中,鉛筆の全体を削ってトーエムポールを作っている男子生徒がいました。これがなかなかの出来栄えで,1本もらったのを覚えています。聞くところによると彼は美大に行ったとのことですが,今はどうしているのやら・・・。
芸術の道は厳しいといいますが,美大の卒業後の進路というのは,全体に比して惨憺たるものです。昨日,ツイッターでグラフをつくって発信したところ,見てくださる方が多く,「他の専攻も知りたい」というリクエストがありました。
https://twitter.com/tmaita77/status/625955041195601921
なるほど,大学生の卒業後の進路といっても,専攻によって大きく違いますしね。文学,社会科学,工学・・・というような大雑把な専攻ごとの進路は前に出したことがありますが,それよりも下った小専攻単位の進路構成はまだ明らかにしてませんでした。ここにて,それをやってみようと思います。
2014年度の文科省「学校基本調査」に,同年春の大卒者の進路が,細かい専攻別に掲載されています。下記サイトの表74です。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001056000&cycode=0
原表で設けられている進路カテゴリーは,以下の8つです。
①:進学者
②:正規の職員の就職者
③:正規の職員でない就職者(非正規就職者)
④:臨床研修医
⑤:専修学校・外国の学校等入学者
⑥:一時的な仕事に就いた者
⑦:左記以外の者(その他)
⑧:不詳・死亡
これら8つの内訳をとるのは煩瑣なので,5つに簡略化しました。①と⑤を足して「進学者」,②と④を足して「正規就職」,⑦と⑧を足して「その他・不詳」とした次第です。あとは同じです。
大学卒業者全体(56万5573人)でみると,進学が12.6%,正規就職が67.4%,非正規就職が3.9%,一時的な仕事が2.6%,その他・不詳が13.4%,となっています。新聞等で報じられている数値と近いですね。進学でも就職でもない「その他・不詳」は1割強で,これもよくいわれる数値と合致しています。
同じ内訳を,細かい専攻別に出してみました。下表は,その一覧です。卒業生数が100人に満たない専攻は,ペンディングにしています。
この表は資料としてご覧いただければと思いますが,正社員就職率が80%超と,その他・不詳が15%超は赤字にしてみました。
正社員率は,厳密には,就職の意志のない進学者をベースから抜いて出さないといけませんが,まあ就職に有利な専攻の参考値としてご覧ください。トップは看護学で,この専攻の卒業生の92%は正社員就職を果たしています。需要ありますものね。*厳密な専攻別の正社員就職率は,前に「日経デュアル」の論稿で出したことがあります。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=3276
一方,おめでたくない「その他・不詳」率の赤字は,人文・社会系や芸術系に多くなっています。トップは美術専攻の34.3%です。3人に1人が,進学でも就職でもない近似ニート?? まあ,留学準備とかの者も多いとは思いますが。
自作のトーテムポール鉛筆をくれた彼も,美大ということですから,おそらくこの専攻に行ったのではないかと思われますが,今はどうしているのやら。まあ私も,かつての級友から同じように思われているのかもしれませんが。